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2話

「はい。手続き完了です。戦闘系スキル:身体強化(エンハンス)でスキル登録いたしますね」


 スキルや探索者系統の手続きをする役所は、普通の役所と異なり日曜日も空いていて助かる。

 私は、スキルの登録手続きを恙無く終えた。ステータス偽装の魔法を使い、私のスキルを帰還者(リターニー)ではなく、身体強化(エンハンス)として登録を行った。異世界のルールにも適用できるとは、つくづく便利な魔法である。


 帰還者(リターニー)は、世界に一人しか所持者がいない、レアリティSのスキル——ユニークスキル——であり、その能力がバレると間違いなく面倒になる。だから、レアリティDだが順当に強い身体強化(エンハンス)で登録しておく方が良いと判断した。

 ちなみに、スキルのレアリティと強さは一致しない。テレビで見たことあるが、絶対落下不可(ノードロップ)という、落下物を必ずキャッチするというSランクスキル所持者が居た。基本的に何も役立たないが、受験時期になると彼のスキルにあやかりたい親が沢山でたらしい。


 私は、手付きをしてくれた受付の人に感謝を伝える。


「ありがとうございます。探索者手続きもお願いします」

「た、探索者ですか⋯⋯?」


 ついでに探索者手続きもしてしまおう。私たちの能力柄、探索者として稼ぐのが一番手っ取り早いだろうから。


 探索者とは、世界各地に聳え立つ塔——ダンジョン——を攻略する者を指す。

 弁護士や会計士のように探索士と呼ばない——国家資格を必要としない——理由は、探索者の管理を国ではなく世界が行っているからだ。

 世界探索者機関——World Investigator Organization——、通称WIOが管理する探索者は、世界中のスキル所有者が就く事が出来る。探索者はダンジョン内でモンスターを討伐する許可が与えられ、その中での武器・防具の携帯を許可されている。もちろん、窃盗や殺人など、ダンジョン外でも明らかな行為は罪に問われるが、銃刀法違反などの一部法律は、ダンジョン内では効力を発揮しない。


 ダンジョンにはモンスターが存在し、攻撃的なスキルを持つ人が多くダンジョン外よりも暴力に溢れている。故に、あまり女性の探索者は居ない。だから、受付の女性も驚いているのだろう。


 それでも、女性はしっかり手続きをしてくれた。役所でスキル登録の手続きが必要なため、大抵の役所がWIOへの探索者登録手続き業務を請け負っており、おかげでスムーズに手続きが完了した。素晴らしい限りだ。オンラインで手続き出来たら完璧なんだけど、スキル鑑定はオフラインでしか出来ないので仕方ない。


「こちら、探索者証になります。説明は必要ですか?」

「大丈夫です」

「かしこまりました。それでは、手続き以上となります。お疲れ様でした」


 最低ランクである9級の探索者証を受け取った私は、それを財布に閉まった。世界共通のランク制度として、選ばれたのはシンプルなアラビア数字だった。ランクは9から1まであり、数字が小さくなるほどランクが高くなる。

 顔付き身分証として探索者証を使う層が一定数いるので、9級の探索者は結構多い。実際に探索者として働いている人で最も母数が多いのは7級だ。7級までは自動小銃(アサルトライフル)で余裕を持って倒せるくらいのモンスターを倒すだけで行けるからだ。6級くらいから緩やかに人が減っていき、3級以降は、職業探索者の0.1%にも満たない。1級ともなれば、各国に数人いる程度である。


 その後、異世界娘3人の分の探索者登録を手伝う。帰還者(リターニー)の能力で、召喚先から一緒に着いてきた3人は、どういう訳か日本国籍を持っていた。それぞれ西條(さいじょう)有紗(ありさ)西條(さいじょう)紗々(さしゃ)西條(さいじょう)芹那(せりな)だ。全員、西條家の養子ということになっている。めちゃくちゃご都合主義な能力だが、まぁ良しとしよう。

 ついでに、スキル登録も済んでいる事になっていた。アリサは私と同じ身体強化(エンハンス)。サーシャはレアリティCの加護(ブレッシング)。セリナはレアリティDの加速(アクセラレーション)だ。先ほども言った通り、スキルのレアリティは希少性を示すもので、能力の強さを示すものではない。気持ち、サーシャのスキルがちょっとレアなだけで、全員戦闘を行うには申し分ないスキルだ。実際にはもっと強いけど。

 そのため探索者登録はパパっと終わることができた。これで全員、晴れて9級探索者である。

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