1話
以下の短編の連載版です
https://ncode.syosetu.com/n4329lx/
短編で書いた所まではサクサク投稿していきます
『おめでとうございます!あなたのスキル、帰還者の条件を達成しました!今から、あなたを元の世界へ帰還させます!』
遂に終わったか⋯⋯。
私、西條凛音は、五年前のある日、突如として異世界の勇者として召喚された。数々の出会いと別れを繰り返し、私は今日、魔王をこの手で討ち滅ぼした。
それと同時に、脳内にファンファーレが鳴り響き、私の体は青く発光し始める。
「アリサ、サーシャ、セリナ。本当に、私の故郷に着いてくるの?多分、もうこっちには帰って来られないよ」
「今さらリンネの居ない世界なんか、生きてたって仕方ないでしょ」
「そうですよ!私たちは、死ぬまで一緒に戦うと誓った仲じゃないですか!」
「そうそう!リンネには、ちゃーんと私たちのこと、責任取ってもらわないといけないしね!」
「みんな⋯⋯」
私と手を繋いでいたアリサ、サーシャ、セリナの勇者パーティ仲間たちも、私と同様に青い光で包まれていく。五年間共に死線を潜り抜けてきた仲間であり友であり⋯⋯恋人であり⋯⋯。とにかく、彼女たちと離れ離れになるのは私も辛かったので、こうして着いてきてくれて、嬉しい限りだ。
私は勝利の吉報を書いた手紙を連絡用の使い魔に預け、帰還者のスキルを発動させた。
◆
西暦2000年。スキルという超能力を持つ人間が現れた。それと同時に、世界各地にダンジョンというモンスターが蔓延る巨大な塔が発生した。
スキルは、18歳になったタイミングで発現する。私のスキル、帰還者も類に漏れずだ。
私のスキル、帰還者は、スキル習得と同時に能力が強制発動する。能力は、勇者召喚を行っている世界のどこかで勇者として召喚され、その目的が果たされれば、能力発動タイミングの元の世界に戻って来れる、という能力だ。控えめに行ってクソ能力すぎる。
とまぁ、このスキルにより、私は18歳になったタイミングで異世界に勇者として召喚され、そして帰ってきたという訳だ。
「おー!これがリンネの世界!本当に異世界だ!!」
「な、何もかも、私たちの世界とは違うみたい⋯⋯!」
「ほらリンネ!早速街を案内しなさいよ!」
「は、はい」
勇者パーティとして共に旅をしたアリサ、サーシャ、セリナが私の部屋でぎゃいぎゃい騒いでいる。今は西暦2024年の5月5日。私が18歳になった日の朝9時頃だ。5年ぶりの日本製ふかふかベッドでの睡眠をもっと楽しみたかったが、異世界に興味津々なお姫様たちが居ては仕方ない。
私は、クローゼットにあった服から適当に何着か見繕い、彼女達の身なりを日本現代風にチェンジする。
「ん⋯⋯リンネの服、キツいわね⋯⋯」
「流石、5年間一切成長しないお胸を持つリンネの服だね!」
「そ、それは勇者の加護で不老だったんだから仕方ないでしょ!」
「そもそもアリサさんは、私たちの中でダントツの巨乳じゃないですか」
「仕方ないわね。とりあえずこっちの世界で私達用の服も買いましょ」
「すみません⋯⋯まだお金無いです⋯⋯」
スキル、帰還者は転移先の異世界で得た力を引き継いで、元の世界に戻ってくるスキルだ。私の場合、向こうの世界のルールがRPG的なレベル制だったため、レベルやら魔法やら必殺技なんかを引き継いでいる。当然、所有物も引き継いでいて、向こうの世界では億万長者といえるほどの金も持っているのだが、それはあくまで異世界の通貨だ。日本では使えないし、日本円に変換することも出来ない。ただの金の塊である。
金の売買は結構面倒な事が多いし、突然別の世界からもたらされる大量の金貨となると、それ相応の対応が求められて非常に時間がかかる。
つまり、異世界では億万長者だった私も、一般高校生のお小遣い程度しか、お金を持っていないのだ。悲しいことに。
両親の仕事柄、一人で住んでいるアパートを四人で出る。18歳になった者かつスキルが発現した者は、役所に行ってスキル所有手続きを行う義務がある。ついでに、探索者登録も済ませるとしよう。




