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17話

「悪魔⋯⋯アークデーモン、だと⋯⋯?」

「嘘だろ!?あれは都市伝説だって⋯⋯!」

「実在したんだ⋯⋯悪魔が⋯⋯」

「逃げるしか無い⋯⋯」


 ワルキューレ・コードの方々が、アークデーモンと名乗るモンスターを見てから、異様に怯え出している。どうやらかなり強いそうだ。

 私は、WIOから貸し出されている、モンスター解析用カメラでアークデーモンを写す。これは、写真に撮った画像データをAIが解析し、該当するモンスターの情報を教えてくれる便利アイテムだ。


《解析結果》

モンスター名:見つかりませんでした

適正ランク:見つかりませんでした

特性:不明


 解析結果を見ると、なるほど。何も分からないことは分かった。となると、レイナさんに聞くのが一番早そうだ。


「あの、アレは何なんですか?」

「あれはアークデーモン⋯⋯適正ランク1級(・ ・)悪魔(デーモン)の⋯⋯上位にあたるモンスターだ」

「1級モンスターの上位モンスターって⋯⋯」

「そうだ。つまりあれは、ルールの範囲外⋯⋯『特級』と呼ばれる化け物だ」

『特級って何!?』

『1級の上とかあるの!?』

『シャベッタアアアアアアア!!!!』

『みんな、逃げてー!!!!』


 なんと⋯⋯9から1級までしか無いと思われていた探索者の等級、及びモンスターの討伐適正ランクだが、その上『特級』があったのか⋯⋯。

 しかも、目の前のアレがその『特級』らしい。なんという巡り合わせだろうか。運が悪いにも程がある。


 敵のステータスを鑑定する、といった便利な能力は持っていないが、なんとなく伝わってくる強者のオーラ。魔王軍の分隊長クラスはありそうなオーラを感じる。確かに、これならセリナが『強い』と呼称するのも納得だ。

 私はサーシャに耳打ちし、不安に打ち勝つ勇気の魔法と、最高のバフ魔法と最高のデバフ魔法をお願いした。勇気の魔法により恐怖心が和らいだのか、脂汗が出ていたレイナさん達に、冷静な表情が戻る。


「すまない、取り乱した。私たちが時間を稼ぐ。君たちは逃げなさい」

「!?何を————」

「速く行きなさい!!戦技強化(コンバット)発動!!」

『なんで!!レイナ様も逃げて!』

『リンネちゃま!!今のうちに逃げるんだ!!』


 冷静になった筈のレイナさんに突き飛ばされると、そこにアークデーモンが立っていた。シンプルに、凄まじいスピードで接近してきたのだ。危ない危ない。

 一番近くに居たレイナさんは、レイピアを取り出して神速の突きをお見舞いする。普段よりも強いバフをかけられた突きは、彼女自身の最高を更新しただろう。


 しかし、アークデーモンはその全てを余裕の表情で防ぐ。それも、毎度レイピアの突きを親指と人差し指で止め、わざと離して再度突かせた所を、同じように二本指で止める。それは、圧倒的な戦力差が産んだ余裕——ほぼ遊びであった。


『嘘⋯⋯だろ⋯⋯』

『レイナ様の神速の突きが効かない!?』

『こいつ、止めてないか!?』


弾道制御バレット・コンプリート!!」


 ミラさんのスナイパーライフル弾が、アークデーモンに向かう。しかし、アークデーモンはそれを防ぐことすらしなかった。眉間に飛んできた銃弾は、アークデーモンの肌を貫くことなく、ぽとりと地面に落ちた。

 負けじとミラさんが何発も銃弾を放つが、それは一つもアークデーモンに傷を付けることは無かった。


『スナイパーライフル効かないとか何事!?』

『あれって、戦車の装甲とか貫くヤツだよな!?』

『みんな、逃げて!!お願い!!』

『WIOには通報した!早く助け来いよ!!』


「オラオラァ!金剛外皮(ウルトラハード)ォ!!」


 スキルを発動させたカレンさんが、レイナさんを守るために突っ込んでくる。アークデーモンはそれを面白そうに嗤い、左腕を軽く振るった。


「ぐっ!?があああああっ!!?」

「おやおや、利き腕ではない方で、軽く爪を当てただけですのに⋯⋯脆いですねぇ」

『うわああああああああ』

『カレン!!!!!!!』

『カレンは大丈夫なのか!?なぁおい!!』


 それだけで、カレンさんの白金の盾は真っ二つに切れ、カレンさんの鎧も、スキルで強化された外皮も切り裂き、肩から胸下まで斜めに切り傷が出来ていた。傷口からは鮮血が吹き出る。


「カレン!!よくも!!!」


 ユイナさんがハンドガンを撃ちながら駆け寄ってくる。アークデーモンはカレンさんをサッカーボールのように蹴り上げ、吹っ飛んだカレンさんがユイナさんを巻き込んでいく。何本か骨が折れたであろうカレンさんとユイナさんは、それで倒れた。


『ユ、ユイナちゃんまで!!』

『カレン!本当にカレンが死んじまうよ!!』

『なんなんだよコイツ、魔王かよ!!』

『俺、今からここのダンジョン行く!!』

『バカお前、足手まといになって死ぬだけだ!!』


 コメント欄が荒れる中、レイナさんが怒りの声をあげる。


「カレン!ユイナ!貴様ぁぁぁ!!」

「あはははっ!そんな鈍い突きが当たるワケ無いでしょう!」

「レイナ!危ない!」

「豆鉄砲を撃ったところで、私には何も効きませんよォ!!」


 ミラさんがスナイパーライフルで援護射撃を行うが、アークデーモンには本当に何も効いていないようで、レイナさんの突きを止めては離す遊びを繰り返している。


 うん、これアレだな。ワルキューレ・コード、大ピンチっぽいな。

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