13話
「白銀の剣、レイナ」
「黄金の弾道、ミラ」
「漆黒の盾、カレン」
「暖光の癒し、ユイナ」
『我ら、ワルキューレ・コード。本日も、戦場を制圧します』
「では、——開始だ」
ワルキューレ・コードお決まりの挨拶が決まり、配信が開始した。私だったら恥ずかしさのあまり倒れそうな挨拶だ。
私たちの挨拶でもかなり恥ずかしい⋯⋯のだが、仕方ない。私達も挨拶をしよう。
「今日も始めるよー!フルールチャンネルのリーダー!リンネとー?」
「アリサと」
「サーシャと!」
「セリナだよー!」
『私たち、フルールです!』
私たちの挨拶も決まり、コメント欄は大いに盛り上がっているようだ。
『コラボ配信きたー!!』
『2000円:推し×推しのコラボ、最高以外の何物でもないです』
『生きてて良かった⋯⋯』
『今日も我らが戦乙女、麗しい!!』
うんうん、良い感じだ。今回の配信は、ワルキューレ・コードチャンネルで行われ、投げ銭は両チャンネルで二等分することになっている。今回は視聴数よりワルキューレ・コードと繋がりを持つのが大事だが、盛り上がるに越したことないからね。
「今日はコラボ配信だ。コラボ相手は、最近話題沸騰中のフルールチャンネル!」
「レイナさん、コラボお誘いありがとうございます!ご紹介いただきました、フルールチャンネルのリーダー、リンネです!戦士たちの皆さん、よろしくお願いします!」
『よろしくー!』
『リンネちゃん可愛いー!』
『レイナ様のお美しさに引けを取らない⋯⋯!』
『レイリン、あると思います』
戦士たち、というのはワルキューレ・コードのファンネームだ。私渾身の配信用スマイルは、戦士たちにも好評なようで何よりである。
「今日はフルールと一緒に、この16階層をチャレンジするぞ。まずはお互いの戦闘スタイルを見てもらおう」
そうレイナさんが言うと、ワルキューレ・コードの四人が横並びに立つ。統一装備が華やかで、見ていると軽く感動さえ覚えるほどだ。
16階層の適正ランクは4級。2級探索者で構成されたワルキューレ・コードからすれば、相手にならないレベルだろう。
16階層の敵はミノタウロス。頭が牛になってる巨人で、手には立派なバトルアックスが握られている。更に団体行動を取るため、ミノタウロスが3匹で徒党を組んでいた。
「行くよ。活性促進」
まずはユイナさんのスキルが発動される。ユイナさんのスキル、活性促進は、サーシャのスキル⋯⋯という事になっている加護と大体似たような効果のスキルだ。自然治癒能力上昇など、活性促進にはリジェネ効果もあるのが特徴と言えるだろうか。
活性促進の効果を受け、ほんのり光るワルキューレ・コードの方々。続いて、カレンさんが盾と槍を構えて突進の姿勢を取る。
「行くぜええええええ!!」
凄い勢いで突進したカレンさんの大槍が、一番近くのミノタウロスを貫く。さすが2級探索者なだけあって、4級が適正ランクのミノタウロスは一撃らしい。
カレンさんがミノタウロスを倒したと同時に、他のミノタウロスがカレンさんに攻撃を加える。カレンさんは、その攻撃に合わせて盾を翳した。
「金剛外皮!!」
金剛外皮は、スキル使用者の防御力をグンと上げるスキルだ。皮膚が鋼鉄のように硬くなり、所持品の耐久性も上がる。そのため、ミノタウロスの持つ鋭利な斧の一撃も、カレンさんの白金の縦には傷一つ付けることができない。
「カレン!そのまま抑えててくれ!戦技強化発動!はぁぁぁっ!!」
レイナさんがスキルを発動し、凄い速さでミノタウロスに接近。レイピアでミノタウロスを串刺しにする。
レイナさんのスキル戦技強化は、戦闘に関する技術を飛躍的に向上させる能力だ。たとえば、敵との間合いを詰めるための足捌きや、達人のような剣技など。そういったものをスキルによって再現できる。元の習熟度に倍率をかけるスキルなので、スキル無しでの戦闘技術の特訓が欠かせないスキルでもある。
私とアリサが持っている⋯⋯ことになっている身体強化は、身体能力の強化に特化した能力をしているが、戦技強化は、技術の最適化による強化スキルである。かっこいい。
「後は任せて。弾道制御」
最後に、ミラさんのスナイパーライフルがミノタウロスの眉間を貫く。弾道制御は、銃弾の弾道を思いのままに操ることができる。ミラさんはそのスキル持ちの中でトップクラスの力を持っており、その弾は後ろの敵すら確実に撃ち抜くという。付いた二つ名は『必中のミラ』だとかなんとか。
こうして、ワルキューレ・コードの皆さんにより、ミノタウロス三体は瞬く間に撃破されたのだった。




