12話
「今日はよろしくお願いします!」
「はい。よろしくお願いしますね」
私は、最寄りのダンジョンで合流したレイナさんと握手を交わす。他の面々も、それぞれワルキューレ・コードの皆さんと挨拶していた。さすが大人気配信者、最早芸能人みたいなオーラを感じる。
最近は私たちを一目見ようと、ダンジョンの入り口付近や低階層に野次馬が絶えないのだが、今日はワルキューレ・コードの追っかけも来ているようで、軽くパニックが起きていた。あんなに人からスマホ向けられたのは、生まれて初めてだった。後で配信でこういう事はしないよう、お願いしないとなぁ。
レイナさんは、銀に近い白の髪を腰まで真っ直ぐ伸ばしている。切れ長の青い瞳が、彼女のクールさを際立たせている。噂では北欧人とのハーフらしい。ワルキューレ・コードの統一装備⋯⋯白金の煌びやかな鎧に身を包む彼女は、まさに戦乙女を体現したかのようなビジュアルだ。
「あの、そんなにまじまじと見られると⋯⋯」
「わわっ!す、すみません!ついお綺麗でしたので⋯⋯!」
「ふふっ、リンネさん程じゃありませんよ」
レイナさんがクスクス笑う。うーん、なんて儚げな笑い方か⋯⋯。美少女、ありがとうございます。
「というか、レイナさんはDIVERとしても、人間としても先輩なんですし、敬語はやめてください!」
本当は23歳です、とは言えない。戸籍上、日本では18歳なのだから。⋯⋯そう言えば、私の不老って何歳まで誤魔化せるんだろう⋯⋯いや、今考えなくて良いことか。
私の言葉にレイナさんは少し考え、首を縦に振った。
「それじゃ、そうさせてもらおうかしら」
「はい!ぜひ!」
「リンネさん⋯⋯いえ、リンネと呼ばせてもらっても良い?」
「勿論です!」
私がレイナさんの手を両手で握り、ぶんぶんと振り回す。視界の端に、ただならぬオーラでレイナさんを見ているアリサが見えているのだが、いったん見えない振りをしよう。帰ってからが怖いが⋯⋯。
私はその調子で、他のメンバーの人たちと挨拶をする。
ミラさんは、ふんわりした淡い金髪で、ゆるふわガールな印象を持っている。顔つきも優しい。それが故に、背負ってるスナイパーライフルの違和感が半端ない。ファンタジー感あるワルキューレの装備と、現代感マシマシのスナイパーライフル⋯⋯意外と合うな。
カレンさんは、黒髪を短く切り揃えた、スポーティなビジュアルだ。高校時代はバスケットボールで全国大会に出場したことがあるらしい。アリサの盾より大きな白金の盾が眩しい。
ユイナさんは、ミルクティーベージュの髪をストレートに伸ばしており、なんだかお姫様みたいなビジュアルだ。腰には護身用のハンドガンを持っているが、彼女は基本的に戦闘に参加しない。うちのサーシャと同じようなポジションである。
全員可愛い。勿論、アリサ、サーシャ、セリナの方が可愛いのだが、日本の⋯⋯しかも探索者に限って言えば、全員第一線を張れるレベルの顔面偏差値をしている。スポンサー企業提供の装備も煌びやかで、これは人気が出るのも頷ける。
これは余談だが、ダンジョン用の装備や武器は、ダンジョンの外に持ち出すことは出来ない。その為、全員装備をダンジョンの管理施設に預け、ダンジョンの更衣室で装備を行う決まりになっている。装備は、スキルで作られた特殊な保管庫により、ダンジョンの管理施設間で自由に移動して装備することが可能だ。つまり、沖縄のダンジョンで装備を預け、北海道のダンジョンに行った場合でも同じ装備を身につけることができる、という事だ。
「コラボ内容はシンプル。一緒にチームを組んで戦う、それだけよ」
「分かりやすくて良いですね!」
「ええ。それじゃ、配信を開始しましょうか」
私とレイナさんは、お互いドローンカメラを起動し、配信を開始した。
視界の端にコメントが流れ始める。
『きたあああああ!!』
『ワルキューレ×フルールとか神回確定』
『これは伝説の始まりに過ぎない!』
伝説の始まりって⋯⋯そんな大袈裟な。
そんな事を思っていた私は知らなかった。今回の配信が、DIVE史上——いや、世界初の伝説的偉業を成し遂げる配信になることを。
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嬉しかったので、今日は二話投稿させていただきます(12時と20時)。
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