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「え、ちょっと待って⋯⋯あの子たち、何?」
「新人⋯⋯だよな?いや、ありえないって⋯⋯」
現代日本に突如現れたダンジョン。その中でも、本来ならベテランが攻略する地帯。
ここにはオーガと呼ばれる、大鬼のモンスターが出現する。並の陸軍であれば、1体につき1小隊が必要なレベルの危険なモンスターである。
そこに現れたのは——四人の美少女だった。
ひときわ目を引くのは、黒髪の少女。
少女よりも大きなサイズの槍を構えており、その肉体が普通の少女と異なるのは一目瞭然だ。
その前に立つのは、赤髪の少女。
巨大な盾とロングソードを軽々と扱い、まるで一歩も引く気がない。
後方には、柔らかな雰囲気を持つ、薄紫髪の少女。
彼女は警察が使うような身を守るシールドと自動小銃を持つ。装備は一般的なものだが、彼女の持つ柔らかな雰囲気が、戦場の雰囲気と噛み合わず目眩がする。
そしてもう一人。活発な雰囲気を持つ金髪の少女。
二本のダガーナイフを両手に持ち、防具自体は最低限のものを装備している。いかにも盗賊やアサシンといった出で立ちだ。
「いきます!加護!」
「ありがとー!じゃあ行くよー!加速!!」
——次の瞬間。
金髪の少女が視界から消えた。
「は⋯⋯?」それを見ていた誰かが、気の抜けた声を漏らす。
金髪の少女が全員の視界で捉えられたのは、オーガの背後に回り込んだ金髪の少女が、迷いなく刃を走らせている姿だった。
巨体の肉が裂け、血が噴き出す。
痛みに気が付き、遅れて振り向いたオーガが、怒りの咆哮を上げる。
だが——
「遅い」
赤髪の剣士が、正面から踏み込んだ。
振り下ろされたロングソードが、オーガの脚を容易く断ち切る。
その威力は凄まじく、傷を与えるどころではなく、その脚が完全に切り離されるほどだった。思わずオーガは膝をつく。
そしてその瞬間、黒髪の少女が一歩踏み出した。
「——喰らえ!!」
放たれたのは、微かに雷を纏った槍の一撃。それはオーガの頭部を貫いた。
オーガは力尽きてその場に倒れる。周囲の人々は、その異様な光景に言葉を失っていた。
「嘘だろ」
「今の⋯⋯一瞬だぞ⋯⋯?」
「あの子たち、何者なんだ」
だが、当の四人は——
「はい、お疲れ様でしたー!」
「サーシャのバフ、今日も最高だったわね」
「えへへ⋯⋯ありがとうございます!」
「ねえねえ、今の動きカッコよくなかった?」
まるで散歩でも終えたかのように、穏やかに笑い合っていた。
——その光景は、あまりにも異質だった。
そしてその様子を、上空から捉える機械が一つ。
配信用AIドローンカメラ。
その映像は、リアルタイムで全世界に配信されている。
『セリナちゃんの神速の一撃、見たか!!』
『速すぎて草。ドローンカメラ置いてったやん。後でアーカイブをスローで見返そ』
『アリサ様も凄かった!!オーガの足なんて、あんな簡単にぶった斬れるのか!?』
『ワイ元探索者。ゴブリンを斬ろうとして剣を振ったら、腕の筋肉で剣止められて反撃喰らったンゴ。あれはトラウマだったンゴね。オーガの足なんて、木の幹くらいあるから絶対無理ンゴよ』
『リンネたんの槍も相変わらず凄いよな。なんか凄すぎて雷纏ってなかった?雷神姫とか二つ名付くんじゃね』
『フルール最強!フルール最強!フルール最強!』
コメントが、爆発的に流れていく。そして、その中心に立つ黒髪の少女——西條凛音は、ふとカメラに視線を向けた。
「⋯⋯あ、これちゃんと映ってたっぽいね」
軽く手を振る。それだけで、コメント欄がさらに加速した。
『可愛すぎるんだが!?』
『チャンネル登録しました』
『50000円:一生ついて行きます』
『30000円:もうチャンネル登録してた』
異世界を救った、元勇者パーティは、現代ダンジョンで超人気配信者として、そして最強の探索者として、その名を地球で轟かせることになる。




