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寄り道みたいな通学路
「ねえ、結衣。昨日から思ってたんだけど──」
「なに?」
「こうやって手つないで歩くの、すげぇ幸せ」
「……言葉にしないでよ、恥ずかしい」
「でも言いたくなる。付き合えたのが嬉しくて」
その正直さが、結衣の胸をきゅっと締めつける。
歩き慣れた道が全然ちがう場所のように感じた。
そして、信号待ちのとき。
浩太が少しだけ近づいて、小声で囁く。
「今日もさ……帰り、一緒に帰ろ?」
「うん。むしろ毎日そうしたい」
「じゃあ決まり」
小さく笑い合う。
そのやりとり一つひとつが「好き」という気持ちをゆっくり育てていく




