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魔性のアンデッド   作者: アデビィ
序章

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9

エラノアさんと一緒に、ホーロビルを旅立ってから2週間、いよいよオレオ王国の港、『オレオレオ』にやってきた。

ここから北西方面へと向かい、隣国、『プリン・グルス帝国』へと船で行く。



『プリン・グルス帝国』は、血族を重んじるオレオ王国とは違い、プリン・グルス帝国に土地を持ち、ある程度の成果と納税を行えば、誰でも国民になれる。


…ただ現実的には、他所の国から来て、国民になれるだなんてとても無理だ。

まず納税額がとても高い。 たしか所得税は年に500万以上は払わないといけなかった気がする。税率は5%なので、少なくとも国民になるには1億稼がないといけない。えっと…たしか通貨は…


『チップス』?だったかな? ちなみにオレオ王国の通貨は『レオ』。


チップスとレオの為替相場は1:1。 

つまり『1チップス』=『1レオ』。


この世界の強国はオレオ王国とプリン・グルス帝国の2カ国だ。この2カ国が揺らぐことは絶対と言っても過言ではないくらい揺らがないので、この2カ国間の為替相場は1:1なのだ。


この2カ国間は貿易をバンバンしているので、仲が良さそうに見える(実際、貿易をしている場面を直で見ると、本当に仲良しに見える)が、どうやら冷戦状態らしい。

この2カ国間の戦争はしょっちゅう起きているとのこと。冷戦状態が長い現状がとても不思議な話らしい。


…と言っても、230年ほど続いてるので、エルフやドワーフなど、長寿の種族でないのなら、案外本当に仲良しなのかもしれない。




プリン・グルス帝国は、7つの島『プディン群島』と、広大な『グルス平原』を領土に持つ、この世界で一番広い国だ。

広いからこそ、たくさん食料を作り出すことができ、食料自給率は世界一高い。小麦やトウモロコシ、家畜も多く、魚もそこそこ採れる。食べ物にとても恵まれた国だ。

しかしオレオ王国とは違い、鉱床などの天然資源や、武器屋などの加工資源を輸入に頼っている。


まさにオレオ王国とは対を成す国が、プリン・グルス帝国なのだ。




そしてどうやら、これから行くプリン・グルス帝国の港に、冒険者ギルドの本拠地があるそうで、そこでしか冒険者登録、商人登録ができないようだ。


冒険者になれば、ワイルドで生きた心地がする。とエラノアさんは興奮気味に話していた。…いつも興奮してるけど…


商人になれば、様々な品物と出会えるし、ものの売り買いができるので、冒険者よりお金は貯まるし、なにより知的好奇心などが満たされていくらしい。


一応、冒険者でもある程度のものの売り買いは行えるが、商人のほうが商売の自由度が高いし、大規模に商売を行うとなると商人にならないといけないらしい。


…もちろん、僕はこの異世界ライフを満喫したいので……





……






…長く生きたいから商人になるつもりだ。


冒険者だなんてとてもとても。だってゾンビだよ?雑魚モンスターだよ?

危険すぎる。無理。強い仲間もエラノアさんしかいないし。他にいたとしても足手まといになるって。すぐに死ぬって。だーめだーめ。 


もう死んでるけど。







とにかく、僕はこの異世界で、悠々自適に、人のためになって心身ともに健康な生活を送りたいんだ。


危険なことなんかしたくない。だから変な勝負もしない。リスクは基本的に回避。安定こそ至高の生き残り戦術。



…それに、たぶん『魔性』も商人向きなスキルだと思う。

だって人の心をほぼ自由に操れるんだもん。たぶん。



でも、どこかの国に移住して、そこだけで商人として生きていくつもりもない。世界中を旅して、色んな人と出会って、色んなものや文化を知りたい。



…だから、まあ結局仲間集めはしないといけないかな。

その情報収集がてら、商人登録をしてこようと思う。





…これから僕、ナナシノゾンビィ(仮名)は、『魔性のアンデッドの商人』だ!!


頑張るぞー!!!












エラノア「ゾンくん?♡ そろそろ船に乗る時間だよ?♡ ちゃんとチケットは買えたかな?♡♡」


ナナシノ「あ!まだです! えっと…チケットは…




……3000レオ… …








…あ、てか一文無しだ。 これじゃあチケット買えないや笑


テヘペロ笑






……






やべーじゃん!!!!!???????




どどどど…どーしよ………


…すみません、エラノアさん…チケット代奢ってくれませんか…?」


エラノア「もちろんよー♡♡ まっててねー♡♡










………… ごめん。ゾンくん。 もうお金ないや。」



ナナシノ「………










終わった…もうここで僕の商人異世界ライフは終わったんだ…


あぁ…」



【????】「おーーい!そこの嬢ちゃん!!??


大丈夫か? 金ねぇのか?」


ナナシノ「そ…そうなんです…はぁ…どーしよ…」


【????】「俺がやろうか?」


ナナシノ「…え!?いいんですか!?」


【????】「もちろんだぜ! 可愛い子には旅をさせろって言うだろぉ?笑


俺はソルト・ザレス・マスト。

港育ちのおっさんだ! よろしくな!!嬢ちゃん!」


ナナシノ「えっと…ザレスさん?



ほんとにありがとうございます!!恩人その2です!」


ザレス「え…?二人目なのか?俺は。


まあいいけど…笑


あ、あとその船俺も乗るから。よろしくな!」


ナナシノ「はい!ほんとにありがとうございます!いやぁ…ほんとに運が良かった…こんなイケオジの人に助けられるだなんて…良かったぁ………」


ザレス「は!?♡♡ イ、イケオジ!?♡♡


や…やめろよぉ……♡♡♡」



(ブー!ブー!ブー!ブー!)


ん? サイレン?


ザレス&エラノア「あちゃー…」


ナナシノ「え?なにが?」


ザレス「残念だな?嬢ちゃん。 大雨予報だ。それに野蛮な水中の魔物もやってくるかもしれねぇ。


こりゃあ出港は延期だな。」


ナナシノ「えーーー!!!!」


ザレス「あ、せっかくだ。 オークション見に行くか?色々売ってるぞ? 家具とか、古本とか、あと武器具。宝石もあったかな? 俺的には魚だな♡ たまに大目玉なヤツが…♡♡」


ナナシノ「へー!じゃあ行ってみますか? エラノアさんは?どうしますか?」


エラノア「行くに決まってるじゃなーい♡♡ ゾンくんとオークションデート♡♡ 楽しみー♡♡」


………



もういい加減めんどくさいな。この人。

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