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魔性のアンデッド   作者: アデビィ
第一章

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あのあとエラノアさんは、一人で少し落ち着きたいということだったので、僕はエラノアさんへのプレゼントを買いに来た。さすがにオークション会場は例の騒動で一時閉鎖されているので、今回は街での買い物だ。

ここも結構賑わっている。新鮮な魚介類もたくさん並んでいるし、プリン・グルス帝国産の野菜や果物、穀物類も豊富に揃っている。

驚いたのは、白米も様々な種類が揃っていること。

さすがに日本の白米のような丸く短いジャポニカ種ではないが、お米というだけでありがたい。

これにお味噌とかお醤油とかあればなぁ……日本人の血が滾るのに…


お高いごはん屋さんもそこそこあるようだ。

パエリアみたいなものとかグラタンみたいなものもあるし、パスタもある!!カルボナーラとかすごく美味しそう… …うどんは…ないか… ちっ…


…1食2,350レオ… 感覚2,350円のカルボナーラ…ひぃ…高…


まあでも大丈夫。


……なにせ、手元には22億5000万1300レオがある。

この世の全てが手に入るといっても過言ではないぜ!


とはいえ、予算は2億レオ以内にとどめておこうと思っている。一応これから商人になるつもりなので、多額の軍資金はほしい。そして当面の生活費も考慮すると、2億レオほどなら美味しそうなごはん屋さんにも行けるし、お高めのプレゼントもできる。


エラノアさんに、本気で喜んでほしい。




…さてさてさーて…なにを買おうかな…


…というか、何気に本気でプレゼントを考えるのって久々かも。

大学もフル単取ることに必死で、勉強ばっかりしてて友だちもあんまりできなかったなー…知り合いしかできてないかも…


最後になにか大きめのプレゼントをしたのは、海老原先生のときかも。高校生のとき。


たしかお子さんが産まれたってことで、ネクタイ…いやネクタイピン…? あー…いや…ハンカチ…?


…まあとにかく、当時としては大きめのプレゼントを海老原先生にあげたな。頑張ってその時だけバイトしてたもんなー。


……海老原先生…どうしてるだろ…というか健君は元気に先生への反抗期を迎えてるんだろうか。義理とはいえ僕はお兄ちゃんだからな。心配だよー。元気にしてたらいいなー。





僕が高校を卒業したときに、海老原先生…『海老原 利幸』さんは僕を養子にした。健君が1歳…になってるかなってないかくらいだったな。

僕は親の借金返済のために、高卒で働いて、得たお金で株式をして、少しずつ返済していくために、大学を諦めていた。いろんなことを勉強したかったけど、そんな状況ではないと思ってた。


そんなとき、海老原先生は僕を養子にして、大学に行かせてくれた。でもその代わりに条件を出してきた。


利幸「【僕の名前】、大学に行ってもいいけど、代わりに… 将来俺らを養ってくれ。笑 そして、お前がしたい勉強をとことん突き詰めてこい。だったら大学までのお金は出す。

つまりな? 幸せになってほしいんだよ。お前に。


今まで相当辛い…とは思ってないのかもしれないが、心は衰弱しているはずだ。ゆっくりでいい。回復していけ。そんで強くなれ。人に優しくできる人になれ。

そのためには知識と経験も必要だろう。だからその石造りは俺が責任持ってする。


お前は今まで、自分のしたいことだけをして生きてきたオトナにしか出会っていない。

俺から言わせれば、そんな奴らはオトナじゃない。

いいかい?ほんとのオトナってのはな?



自分にされて嬉しいことを、他の人に快くできる人、優しくできる人だ。



嫌々じゃないぞ?快くだ。快く人に優しくできるヤツが、真のオトナだ。俺はそう思う。


…だからな?俺もまだオトナじゃないんだよ。笑

時々、嫌々ながらするときがあるし、本当にその人のためになってるのかわからないときがある。空回りしまくりなんだよ…萎えるよなぁ…?笑


…でも、実際にできたらさ?すっっごく嬉しいんだよ。心地いいんだよ。それでその感覚を知ってるとさ?今度自分がされたときに心から、『ありがとう』って言えるんだよ!笑


結果的に、もらったときよりあげたときのほうが幸せに感じるんだよ。笑 不思議だよなー…笑

昔のすごい人も言ったたんだよ。『受けるより与えるほうが幸福』って。それなー?って思うよなー。笑



あ、あと、

人によってされたいことって違うだろ?例えば、ある人は悩みをただ聞いてほしい人もいるし、ある人は悩みの解決策を教えてほしい人もいる。

つまり、他の人に優しくできるオトナって、その人のことを本気で考えられる人の事でもあると思うんだよ。


その人の事を必死で本気で考えて、心から向き合っていきたいと思い、それを行動に移せる人がオトナ。


だからな?俺はオトナになりたいし、お前にもオトナになってほしいんだ。そのためには、お前を大学に行かせるように面倒を見ることだと思う。もちろん、ほんとにお前が大学にいきたいならな。


俺にオトナへの一歩を歩ませてほしい。いいかな?【僕の名前】。」



自分にしてほしいと思うことを他の人にもする。



僕は海老原先生のこの想いを聞いて、オトナになりたいと思った。

そして僕は今、オトナになれるかもしれないチャンスを手に入れた。 ターゲットはエラノアさんだ。笑







……とはいえなー…何気にエラノアさんのこと、ちゃんとは知らないんだよなー…うーん…

なにが一番喜ぶんだろ…ぬいぐるみ…なわけないか…

アクセサリー…? あーいやそういうのあんまりつけてないな。エラノアさん。


武器…? いやー…素人だから何がいいのか分からないな… ギターとか弾かないのに、ギタリストにギタープレゼントするようなもんだな…


うーーん………




…………あ。











(数時間後………)



ナナシノ「エラノアさーーん?」


エラノア「……ん…?どうしたの?」(目元が赤い)


ナナシノ「…ご飯食べに行きません?笑 良さそうなご飯屋さん見つけたんですよ〜。笑」


エラノア「えーっと……」


ナナシノ「…もしかして食欲ありませんか…?ごめんなさい…」


エラノア「……ううん…逆…結構お腹空いた…笑 急すぎてびっくりしただけ。笑」


ナナシノ「…ふぅー…よかったー… じゃあ行きますか?」


エラノア「うん。笑 着替えてくるから待ってて。笑」


ナナシノ「はーい。 ……」


(数十分後…)


エラノア「お待たせ~。笑 行こっか?笑」


ナナシノ「了解です! パスタとかお好きですか?」


エラノア「パスタ…?」


ナナシノ「あー…麺に魚介類とか入れて、ソースと絡めて食べる…」


エラノア「あー!うどん?」


ナナシノ「そうそう。うどん。



うどん!?」


エラノア「え?うどんでしょ? 小麦粉に卵とか入れて混ぜて作った麺にチーズソースとかミートソースとかかけて食べるヤツ。あんまりパスタとは言わない気がするよ?」


ナナシノ「…バグるバグる…脳がバグる…うどんがパスタなの…? 気持ち悪い…」


エラノア「でもうどん…?結構高いんじゃない…?」


ナナシノ「なーに言ってるんですか〜。笑 僕らは22億レオ以上持ってるんですよ〜?笑」


エラノア「あ、そっか。そうだった。笑 フルコースとかも全然いけるね。笑」


ナナシノ「……ふふふ…笑 そうなんです…フルコースいけるんです!!」


エラノア「…え!?ほんとにフルコースいくの!?」


ナナシノ「はい!!今日はとことん美味しいものを食べます!!美味しい食べものは元気の源ですから!」


エラノア「……ありがとう…ゾンくん…笑 …でも、大丈夫だよ?」


ナナシノ「…え?な、なんでですか!?あ、僕の格好がドレスコード違反だから!?」


エラノア「違う違う。笑 …ゾンくんが私のことを考えて元気づけようとしてるから、それでお腹いっぱいだよ。笑 …ありがとう。笑」


ナナシノ「……… …わかりました!!じゃあもう居酒屋行きましょう!!」


エラノア「え?」


ナナシノ「お高い高級なものよりも、ジャンキーで絶対美味しいものをたくさん食べましょう!!そしてたくさん飲みましょう!!」


エラノア「いやいやいやいや!!ゾンくん未成年でしょ!?お酒はだめでしょ!!」


ナナシノ「……だから僕普通にゾンビなんですよ。成人した。」


エラノア「またその話〜? てか話したと思うけど、私本物のゾンビたくさん見てきたんだからね?そういう嘘にはさすがに引っかからないんだから。」


ナナシノ「…どう説明すればいいんだろ… …あ!そうだ!

じゃあ僕の身体を強めにぎゅ〜してみてくださいよ!」


エラノア「え!?♡ ゾ…ゾンくん大胆…♡♡」


ナナシノ「勘違いやめてください。キモいです。」


エラノア「わかってるってぇ〜♡ でも、お言葉に甘えて、ちょ〜強めにぎゅ〜しちゃおー♡♡」


(ぎゅ〜♡♡♡



…グチャァ…!!! ボタ…グチ…)






エラノア「…………










ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」


ナナシノ「ね?笑 ゾンビでしょ?笑 何気にちゃんとハグとかしてなかったですからねー。さっさとしとけばよかったなー。笑」


エラノア「………へ!?は!?ど…え!?



…ほんとに…ゾンビなの…?」


ナナシノ「だからずっと言ってるじゃないですかー。何故か周りにはゾンビとして見られないけれど、ゾンビだって。」


エラノア「……いや、ちょっと待って?

ならどうしてゾンくんは発狂したり、苦しんだりしてないの?


私言ったよね?ゾンビになると死ねないから、永遠に苦しむって。どういうこと?」


ナナシノ「そんなこと言われても…… てか治癒魔法かけてくれませんか?再生能力がある指輪をはめててもさすがに負荷かけすぎてるんで。」


エラノア「あー…はい…わかった… …って私魔法苦手なんだって!」


ナナシノ「えーー……しょうがない…じゃあ待つか…」


(40分後)


ナナシノ「はいー!元通り! やっぱり新しく再生したら身体が思うように動かせますねー!ひゃっほー!」


エラノア「……なるほどね。もともと狂ってるから、これ以上苦しんだりしても狂わないってことね。納得した。」


ナナシノ「は?なにナチュラルにディスってんですか?」


エラノア「…とにかく、話を聞かせて?いつからゾンビになったの?」


ナナシノ「…最初から…? 僕らがはじめに出会ったときに僕は目が覚めたんですよ。」


エラノア「……ん?なにそれ…どういうこと…?」


ナナシノ「僕、異世界から転生してきたんです。」


エラノア「……は?」


ナナシノ「…まあそういう反応になりますよね…


僕が居た世界は、今いる世界とは全然違うんです。

魔法もないし、魔物もいない。国もこの世界よりたくさんあって、戦争や貧困が絶えないんです。」


エラノア「……ほぉ…? と…とにかく…一回死んで、この世界にやってきて、死んでるままってこと?」


ナナシノ「ですね。」


エラノア「……なるほど…全然なるほどではないけど…なるほど…」


ナナシノ「とりあえずご飯食べてながら話しません?僕お腹空いて死にそうなんですよ…」


エラノア「もう死んでるじゃない。」


ナナシノ「………エラノアさん?オトナになりませんか?」









僕らは近くの居酒屋へ向かった。 居酒屋というか、なんかパブみたいな感じ。ヨーロッパの居酒屋。

僕とエラノアさんは、向かい合って座っている。

エラノアさんはビール。僕はノンアルカクテルだ。僕も普通にカクテルを飲もうとしたら、エラノアさんに睨ませたので、ノンアルで我慢だ。

ビーフジャーキーとポテトが到着し、メインのうどん…つまりパスタが来るまで、さっきの話の続きをしていた。



エラノア「…なるほど。ほんとに異世界から来たんだね?」


ナナシノ「はい。で、気がついたらあの森の中にいて、歩いていたら時々足がもげたり、鼻がもげたりして、重傷状態だったわけです。」


エラノア「なるほどね…私から見たら、ゾンくんはかわいい男の子に見えるよ? そして、怪我してるところも男の子が大怪我してるようにしか見えなかった。それはどうしてなの?」


ナナシノ「…僕が思うに、スキルの仕業ではないかと。」


エラノア「………スキル…?なにそれ。」


ナナシノ「え!?異世界といえばスキル、異能力でしょ!?」


エラノア「なによそれ。笑  …あ、特技のこと?」


ナナシノ「そうそう。そういう系のやつですよ。」


エラノア「でも特技はなにかの才能があって、それを努力して磨くことで得られるものよ?そんな何もしてないのに特技が身につくとは思えない。」


ナナシノ「……ということは…磨けば僕も最強主人公に!?」


エラノア「さー…?磨くって言ってもどうやって?私の場合、プロフさんから教えてもらって、練習したから身についたのよ?」


ナナシノ「エラノアさんの特技ってなんですか?」


エラノア「私は早く動ける特技。単純だけどね。」


ナナシノ「……え?なんか名前とかないんですか?」


エラノア「…なんで特技に名前がいるの?」


ナナシノ「いやいや!なんか、ゴムゴムの◯とか、◯の呼吸壱の型とか、なんかそういうかっこいいやつないんですか!?」


エラノア「…………考えたこともない… たしかに、なんか便利なのかも?」


ナナシノ「え、じゃあ僕が名前つけていいですか?」


エラノア「うん。いいよ?笑」


ナナシノ「…早く動ける…スピード…俊足…瞬足…それは靴か…えーっと…


『颶刃』とか?笑」


エラノア「ぐじん…?なにそれ。」


ナナシノ「台風みたいな風のパワーとスピード、そしてエラノアさんの特徴的な刀。 ぴったりじゃないですか!?」


エラノア「……ゾンくんが頑張って考えてくれた名前だもんね。笑 うん。気に入ったよ。笑 ありがとう♡」


ナナシノ「あ!そうそう。プレゼントあるんですよ。」


エラノア「え!?♡♡ まさか…指輪…?♡」


ナナシノ「…裁縫セットです。お店の人に聞いて、一番かわいくて実用的なものにしました。糸と布もたくさんあります。」


エラノア「……ゾンくん…




…ありがとう……ありがとう…… 指輪より…もっと嬉しい…


私が裁縫好きなの…知ってたの…?」


ナナシノ「…実を言うと、それは知りませんでした。

でも、常に裁縫の針や道具を持っていて、大切に保管されているので、もしかしたらと思って。笑

喜んでもらえて嬉しいです。笑」


エラノア「ゾンくん…ありがとう…ほんとに…


ゾンくん…改めて… 私ゾンくんのこと好き…ほんとに…恋愛とか関係なしに…好き…大切…ありがとう…




ありがとう……笑♡」


……



よかった。笑 少しオトナに近づいたかも。海老原先生。笑

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