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魔性のアンデッド   作者: アデビィ
第一章

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17

バンバーグ「あ…ああ…ど…どうすれば…『あの方』へ捧げるべきものなのに…… ……


…くそ…!!くそくそくそくそ!!!!!!

いくらお前がかわいいからって許されないぞ!!

舐めやがって…!クソガキがぁ!!!!


決闘だ!!!貴様に決闘を申し込む!!私…いや!もう猫は被らない!!俺と決闘しろ!!貴様が何者なのか暴いてやる!!」


ナナシノ「…は?いやいや、ちゃんと合意しましたよね?落札額の25%を払うから、僕の好きなようにさせてもらうって。だいたい、僕は弱いゾンビなんですよ。そろそろまた足とかも腐ってきたし。怪我しそうなことはしたくないんですよ。

てか、その『あの方』って誰なんです?恋人かなにか?」


バンバーグ「…はははは!!!!!俺と?『あの方』が、恋人だと?笑


そんな恐れ多い関係なわけなかろう!!


『あの方』は俺の師匠であり、恩人、そして父なのだ!!『あの方』は無知で孤独だった俺に、特別にこの世の金の流れを叩き込んでいただいたのだ!!俺は『あの方』のためならどんな手を使ってでも邪魔者を排除し、俺の命が尽きてもいい!!『あの方』にとって、俺は特別な存在であり、優秀な手駒なのだ!!


そんな優秀な俺が、貴様は『あの方』の邪魔者だと判断した!!

よってここで皆の前で貴様を殺してくれる!!


こう見えても俺は身体強化型の魔法使いでね…貴様など本気の俺にかかれば塵ひとつ残らぬわ!!!


しかし特別に…貴様には苦しんで死んでもらう!!


たとえ貴様にどれほど強い味方がいようとも、そいつもろとも始末してくれる!!!


こんなインフレーション騒動を簡単に見逃すわけがないだろう!!!



死ねぇ!!!!!!!!!」


エラノア「さがって!!ゾンくん!!!」



(エラノアはすぐにナナシノの前に現れ、バンバーグの紫のオーラでまとわれた拳を、針のように鋭く、とても頑丈な刀で受け止める。)


ひっ!! め…目の前でガチの殺し合いが行われてる…!!


(バンバーグはすぐにエラノアと距離を取り、お互い睨み合いながら牽制し合う。


エラノアは、いつもののほほんとした目尻がたれているイケメンお姉さんの雰囲気から、大切なものを死ぬ気で守ろうとする母親、いや阿修羅のような雰囲気に変わっている。つり目で、少しの動作も見逃さない用心深さも伺える。


こんなに心強い味方はいないだろう。



それに対してバンバーグは殺意に満ちた表情である。

彼の中のメンツやプライド、なにより『あの方』のためならどんなことでもするという覚悟。

それが一つの殺意として統合されている。間違いない。彼は本気だ。)



なんだあのおっさん!!なんか両足から赤いオーラみたいなの出してるんだけど!!絶対やばい!!


さ…さすがエラノアさんでも…


(エラノアはバンバーグの猛攻にひたすら耐えている。バンバーグは踊るように攻撃し続ける。

右ストレートに見せかけた左ローキック。そのまま左ストレート。右ハイキックからの左回し蹴り。

彼は基本的に足技で攻撃してくるが、時々全体重を右か左の拳に乗せて攻撃してくる。


そしてその攻撃全てに程よい身体強化魔法を乗せ、一発一発の攻撃に殺意を表してくる。


エラノアはナナシノという守護対象がいなければ、バンバーグの猛攻をカウンターで返し、少し呼吸を乱す程度で済んだのかもしれない。

バンバーグと違ってエラノアは攻撃に魔法を乗せることができない。よって圧倒的なスピードで刀を振り回し、そのスピードを力として使い、綺麗な太刀筋を敵にお見舞いするのだ。

しかし敵がバンバーグだけとは限らないこの状況で、常にナナシノのことを想いながらバンバーグの攻撃を受け止めなければならない。

彼女の得意技であるスピードによる華麗な太刀筋は、バンバーグにはお見舞いできないのだ。


ではどうするのか。彼女は待っている。待ち続けている。


バンバーグの攻撃の本気とは、どれほどなのかを。)



エラノア「なるほど…!案外やみくもに攻撃してるわけじゃないんだね…!!


ありがたい!!おかげでパターンが見える!!」




(エラノアはバンバーグの癖を見抜いた。

それは、彼は必ず右からの攻撃の次は右からの攻撃、左からの攻撃の次は左からの攻撃を行うという癖、そして必ず均等に行うという癖だ。


彼は意識的に足技を多用し、時々拳の攻撃を行う。

そのとき、彼は連続して攻撃を行えるように、回転しながら攻撃してくる。


例えば右ハイキックをしたら、そのまま彼は右回転をし、その回転を応用して右拳に体重と魔法を乗せ攻撃してくる。


…簡単に言うとベイブレードみたいな戦い方をするのだ。右回転なら右回転のまま攻撃し、左回転なら左回転のまま攻撃する。


そして彼は右回転と左回転を均等に行う。

右回転をしたらまた右回転の攻撃をするのは25%ほど。基本的には交互に行う。


そして1分間には右回転攻撃と左回転攻撃の比率は必ず1:1になる。


つまり、予測が用意なのだ。





エラノアはそこに着目した。





だんだん、バンバーグはエラノアの攻撃に押されていく。


そして、またしてもバンバーグはエラノアから距離を取る)




バンバーグ「…ちっ…!」


エラノア「ごめんねぇ…? ……惚れた男の子を絶対守りたいの。そう簡単には失わせない。」


バンバーグ「ふふ…!そうか!!!もういい!!苦しめて殺すのもやめだ!!


確実に殺す!!!!」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



…はぁ…バンバーグ…何してるんだ…?


実に、実に残念だ。私の労力は無駄だったな。


やはり使えんやつだったな。オレオ王国のオークションに配置してよかった……損害が少ない。


オークションというものも飽きてきたころだ。潮時だろう。


邪魔者はどんな手を使ってでも排除する。


しかし…あのゾンビ…実に面白い…この世界のダイヤモンドに着目するとは。

今世でのジュエリー加工人が役立たずだったからな。あれほどのダイヤモンドを加工する技術者を有していたとは。実に欲しい。


たしか…30億レオだったか…私ならもう少し安く抑え、簡単には手に入らないが、何世代かが働き続けた末にやっと手に入り、それがその家系の地位と名誉と金の象徴になるような存在にするがね。

やつは目先の利益しか見ていないが、先見の明はある。


ふむ…さては…やつも… …そんなはずはないか。


まあよい。本当に邪魔者かどうかはこれからだろう。

幸い、私もやつも寿命で死ぬことはない。


末永くお付き合いしようじゃあないか。ゾンビくん。




『聖性の救世主』であるこの私とね。




…さて…そろそろこの会場を捨てるか。バンバーグも用済みだ。噛ませ犬め。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




バンバーグ「…!!!あ…ああ!!!笑


ははははは!!!貴様ら!!!終わったな!!!

『あの方』だ!!『あの方』が現れた!!!


あぁ…なんと神々しい…まさに救世主…何にも揺るがない…聖性…!!


…マー………


あ゙あ゙あ゙!!! あ゙が…!! な…なんだ…!!苦じぃ…!


貴様らぁ……!なにか…したなぁ…!!!無駄なことを…!『あの方』が来たの…… あ゙あ゙あ゙あ゙!!」


エラノア「だ、大丈夫!?ど…」


バンバーグ「あ゙あ゙あ゙?? そ…そんな…お待ち下さい…!!やめ…」




僕は目を疑った。




バンバーグがいきなり、自分の首を締め出した。


顔が紫色になり、声にならない声を出し続けている。

とっくに死んでいるはずなのに、彼は苦しみ続けている。

白目をむき、口が痙攣し、泡を吹いている。


そして、驚くスピードで肉体が腐り始めている。


…ゾンビのよう…いや…



ゾンビだ。






バンバーグ「やだ…苦しい…たすけて… シーチュ…会いたい…あれ…?名前…なんだっけ… 俺は誰…? 『あの方』は誰…? シーチュ…って…なに…? 大切な人…?あれ…?あ゙が…お…お腹すイた… 痛イ…イタい…ヤダ…ヤダヤダヤダ…ナンデ…『アノカタ』…ヤメテ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ…あ゙…あ゙あ゙あ゙あ゙…



あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙」





…バンバーグは発狂とともに首を絞めていた手を頭に置き、苦しんでいる。完全にゾンビになった。

肉はただれ、紫色から緑色になり、血管は青く、白目で焦点が合っていない。

ただ報われない苦痛と欲求、そして殺意が彼を動かしている。


エラノア「まずい…これで8人目ね…!


…問答無用…!」




エラノアさんはゾンビを見つめ、青く輝く液体をゾンビに投げつけた。


ゾンビ「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!!!!

イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!」


ゾンビはさらに肉が溶け、地面に落ちる。眼球も転がり、もともと人間だったのかも疑うような姿形となった。


エラノア「ごめんなさい…痛いよね…でも…これが一番あなたを楽にする方法なの…我慢してね…







…針刀早葬……!!!!」





その時、エラノアさんはゾンビの首を一瞬で切る。確実に…ゾンビが楽になるように…優しく…優しく撫でるように断ち切る。

エラノアさんの目からは、うるうると慈愛の水滴がたれている。


エラノア「ごめんなさい…ごめんなさい…できるだけ…できるだけ苦しませずに…」


僕はここで納得した。なぜエラノアさんの刀は針のように鋭くなっているのか。なぜ毎晩研いでいるのか。




それは、敵を少しでも苦しませずに葬るためだったんだ。





ゾンビは切られたあと、なにも声をあげず、静かに腐った肉塊へと変化した。そこから赤黒い染みがポタポタと落ちている。


この場所には…

ゾンビの肉塊と赤黒くツヤのあるサラサラした血液…

エラノアさんのキラキラと輝く涙…

そして、ギラギラ輝く色とりどりの宝石たちが混在している。

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