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一般人男性の就職

「…」


もう何回目か分からないお祈りメールが表示されているパソコンの前で、俺西神 慧(ニシガミ ケイ)は茫然としていた。

俺は昔から子供が好きで、その影響で小学生のころから保育士になりたいと思っていた。そして、俺はその夢を叶えるために大学へと行き、保育免許を取ったのだ。だが、問題はここからだった。家や駅の近くの保育園や幼稚園に面接に行ったのだが、俺は落ち続けた。その理由は簡単、俺の顔が怖いうえに身長がでかいため、園児を怖がらせてしまうっという理由だ。


「こんなのありかよ!?」


俺はやけになり、パソコンのキーボードを叩いた。俺がキーボードを叩くと、変なボタンを押したせいかパソコンの画面が真っ暗になった後、どこかのホームページの画面に切り替わった。


「…ペンギン、ハウ…ス?」


画面にはペンギンハウスという託児所ホームページが表示されていた。スクロールでホームページを見ていると、試験に受かれば誰でも教員になれることが書かれていた。


「……怪しいけど、募集してみるか」


この際、子供に携わる仕事につければ何でもいいと思った俺は、ペンギンハウスという託児所に書類を送った。その後、ペンギンハウスから試験の日程や試験会場などが書かれたメールが届いたのだが、


「…自前の武器?」


俺は必要な物が書かれているところに、自前の武器と書ている所を見ては首を傾げた。

試験に武器なんているのか?

何故試験に武器がいるのか分からないまま、俺は試験に受けることになった。


───────────


試験当日、俺はスーツを着て試験会場に来ているのだが、他の就活生と思われる人たちが明らかにおかしい。

頬に傷があるおじいさんや、マフィアを連想させるような姿をした大男、顔にいかついタトゥーを入れた女性など、明らかやばそうな人が大半を占めていた。

本当に託児所の就職試験か疑ってしまい、何度もメールを確認したが、ここであっているらしい。

俺はできるだけ絡まれないように、試験会場の端のほうで気配を消して、試験が始まるのを待った。

しばらくすると、入り口から数人が人形を乗せたカートを運んできて、試験者全員に子供にそっくりな人形を配り始めた。


『テステス、マイクテスト…ん゛っん゛…皆様、本日はお集まりいただきありがとうございます…只今から本日行われる試験の内容を説明いたします』


全員に人形が渡り終えたのか、今回の試験内容を説明するアナウンスが流れ始めた。


『試験内容は、先程スタッフから渡された人形を五分間暗殺者(・・・)から守るという、至って簡単な内容です。なお、試験者から暗殺者への反撃はしてもかまいません…それでは、試験はこの放送が終わてから十秒後に始まります。あっ、今回暗殺者側は実弾を使用するため、死なないように頑張ってください。それでは、試験開始です」


放送が終わった俺は、その場で硬直した。

暗殺者?実弾?死ぬ?これ、託児所の就職試験だよね?回目か分からないお祈りメールが表示されているパソコンの前で、俺西神 慧(ニシガミ ケイ)は茫然としていた。

俺は昔から子供が好きで、その影響で小学生のころから保育士になりたいと思っていた。そして、俺はその夢を叶えるために大学へと行き、保育免許を取ったのだ。だが、問題はここからだった。家や駅の近くの保育園や幼稚園に面接に行ったのだが、俺は落ち続けた。その理由は簡単、俺の顔が怖いうえに身長がでかいため、園児を怖がらせてしまうっという理由だ。


「こんなのありかよ!?」


俺はやけになり、パソコンのキーボードを叩いた。俺がキーボードを叩くと、変なボタンを押したせいかパソコンの画面が真っ暗になった後、どこかのホームページの画面に切り替わった。


「…ペンギン、ハウ…ス?」


画面にはペンギンハウスという託児所の教員募集のページが表示されていた。スクロールでページを見ていると、試験に受かれば誰でも教員になれることが書かれていた。


「……怪しいけど、募集してみるか」


この際、子供に携わる仕事につければ何でもいいと思った俺は、ペンギンハウスという託児所に書類を送った。その後、ペンギンハウスから試験の日程や試験会場などが書かれたメールが届いたのだが、


「…自前の武器?」


俺は必要な物が書かれているところに、自前の武器と書ている所を見ては首を傾げた。

試験に武器なんているのか?

何故試験に武器がいるのか分からないまま、俺は試験に受けることになった。


───────────


試験当日、俺はスーツを着て試験会場に来ているのだが、他の就活生と思われる人たちが明らかにおかしい。

頬に傷があるおじいさんや、マフィアを連想させるような姿をした大男、顔にいかついタトゥーを入れた女性など、明らかやばそうな人が大半を占めていた。

本当に託児所の就職試験か疑ってしまい、何度もメールを確認したが、ここであっているらしい。

俺はできるだけ絡まれないように、試験会場の端のほうで気配を消して、試験が始まるのを待った。

しばらくすると、入り口から数人が人形を乗せたカートを運んできて、試験者全員に子供にそっくりな人形を配り始めた。


『テステス、マイクテスト…ん゛っん゛…皆様、本日はお集まりいただきありがとうございます…只今から本日行われる試験の内容を説明いたします』


全員に人形が渡り終えたのか、今回の試験内容を説明するアナウンスが流れ始めた。


『試験内容は、先程スタッフから渡された人形を五分間暗殺者(・・・)から守るという、至って簡単な内容です。なお、受験者から暗殺者への反撃はしてもかまいません…それでは、試験はこの放送が終わてから十秒後に始まります。あっ、今回暗殺者側は実弾を使用するため、死なないように頑張ってください。それでは、試験開始です」


放送が終わった俺は、その場で硬直した。

暗殺者?実弾?死ぬ?これ、託児所の就職試験だよね?

俺が困惑していると、銃声が聞こえて、俺の頬を弾丸のようなものが通り過ぎ、ゆっくりと後ろを見ると、壁にアニメや映画でよく見る弾丸がめり込んでいた。


「あっ……これ、マジでやばいやつ…」


俺がそう呟いた次の瞬間、目を疑いたくなるほどの弾丸が、俺や試験者に目掛けて飛んできた。


「なんでこうなるんだよー!」


俺は人形に弾丸が当たらないようにいしながら走りだした。

ふと他の試験者を見ると、拳銃を持って、弾丸が飛んでくるほうに向かって撃っていた。

自前の武器って、そういうことかよ…!

俺はようやく武器が必要だった意味を理解したが、今はそれどころではない。あのアナウンス通りなら、飛んでくる弾丸は本物だろうから、もし変なところにでも当たれば、俺はあの世逝きだ。

死にたくない、ただその一心で人形を抱えて狭い会場内を必死に逃げ回った。


「おい腰抜け!目障りだからさっさと死ねや!」


「逃げ回るだけで、試験を受かると思ってるの?」


時々、俺に向かって罵倒してくる奴らが居るのだが、今はそんなことどうでもいい、俺はただ生きて、帰りたいのだ。もう試験とかどうでもいい。

こうして、俺は試験が終わるまでの五分間、人形を抱えて必死に弾丸から逃げまくった。


────────────


『そこまで!…皆さん、お疲れさまでした。これにて試験を終了とさせていただきます…今から人形の回収を行うので、その場にてお待ちください。人形を回収された人から、帰宅していただいて構いません。本日は、誠にありがとうございました』


試験終了のアナウンスが流れ、人形を渡してくれたスタッフが、一人一人丁寧に人形の状態を確認しながら回収していた。

そんな中、俺は汗だくの状態で息を荒げていた。五分間も全力で走ったのだ。別におかしいことではないだろう。

息がだいぶ整ってきたので顔を上げると、そこで見たものはもう悲惨な者だった。

何名かの受験者が血を流して倒れており、身動きを取ってないのだ。さらに、壁や床には弾痕と血痕が出来ていた。

試験中は死なないの一心で、周りを見ていなかったが、こんなことになっているとは…

今にでも逃げ出そうとしていた俺の前に、スタッフさんが人形の回収をしに来たため、俺は人形をスタッフさんに渡し、脱兎のごとく会場を後にした。


────────────


試験から数日経った。

俺は家族を心配させたくないので、試験内容を黙っていた。それに、どうせ落ちると思うから。

別の場所を探さないとな~っと思いながらリビングに向かうと、


「あら、慧くん…試験どうだった?」


母さんと母方の祖母が、愛犬にサツマイモを与えている所だった。


「まぁ、ぼちぼち…」


誤魔化すような返事を俺が祖母に返すと、


「これ、アンタ宛に封筒来てたわよ」


母さんが俺宛の封筒を渡してくれた。

差出人を見ると、ペンギンハウスと書かれていたため、俺は手紙の封を切っては、お祈りメールでありますようにと、願いながら中にあった畳まれた紙を出して広げた。


「えっ…」


そこには採用と書かれていた。


「慧くんおめでとう…!」


「よかったね慧」


いつの間にか、俺の背後から顔を覗かせて採用通知書を見ていた母さんと婆ちゃんが喜んだ。


「ちょっまっ…」


俺が止めようとした時にはもう時遅し、婆ちゃんは関東の方に住んでいる叔母達に連絡を送っており、母さんは仕事場に居る父さんに連絡していた。父さんの仕事場は、父方の祖父が社長を務めている所のため、父さんに採用されたという情報が行くと、おじいちゃんもそのことを知ることができるのだ。

今更、採用を断るなんてことをやって、皆をショックさせたくないため、俺は引くに引けない状態となってしまった。


────────────


「…それじゃあ、行ってきます…」


春、採用を断れなかった俺は、ペンギンハウスの方が用意したシェアハウスに引っ越すため、近くの駅の改札前で家族と婆ちゃんに見送られていた。

要らない荷物は既にシェアハウスに送っており、俺が持っている荷物はスマホや充電器、財布などの必要最低限の物ばかりだ。


「身体に気を付けてね?何かあったら、すぐに言ってや?」


「わかってるよ…」


母さん以上に心配してくれる婆ちゃんに返事を返し、俺は皆に背を向けた。


「いってらっしゃい!」


皆が声を揃えて言ってくれたため俺は、


「行ってきます!」


笑顔を浮かべて返事を返し、電車に乗り込むためにホームへと向かった。

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