43:『魔王』への憤慨
突然、わたくしたちと同行したいと言い出したグリーンさん。
わたくしはその言葉に思わず耳を疑い、しかし彼女の目が真剣そのものであるのを確認して、それから口を開きました。
「聖水のおかげでずいぶんと状態が良くなったとはいえ、パープルさんはまだ万全とは呼べない状態ですわ。早くあなたがたの拠点に連れて帰って差し上げませんと」
「それは朱莉……オレンジがやってくれるはずだ。ボクはこんなところで戻るわけにはいかない。パープルが死にかけたのだって元々はボクを庇ったせいなんだから。――負けてばかりは嫌なんだよ」
まあ、グリーンさんのせいであんなことに……? 合同訓練の際は完全無欠な雰囲気を漂わせていたグリーンさんが庇われるとは考えづらいですけれど、今日の敵は特別に強いですから油断したのかも知れませんわね。
悔しげに下唇を噛みながらわたくしに頭を下げる彼女を見て、一体どうしたものかとしばし悩んでしまいましたわ。けれど、
「……どうせあのお三方なら認めてしまうでしょうね。わかりました、では、あなたも一緒に『魔王』と戦うことを認めますわ」
わたくしが断ったところでピンクとブルーが頷いてしまうに決まっていますもの。
それにオレンジさんがパープルさんを連れ帰ってくださるのなら心配はいらないですし、グリーンさんの意思も固いようですからこうなったら仕方ありませんわ。清く受け入れましょう。
「ありがとう」
固く握手されてしまいましたわ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「それにしてもあの『魔王』、許せませんわ」
自分の遊びのために命まで奪うような危険な行いをするなんて。わたくし、かなり憤慨しておりましたの。
パープルさんは親しい仲というわけではありませんでしたけれど、我が別邸にて数日間滞在していただき、その上合同訓練まで行った相手ですもの。傷つけられて許せるはずがございません。
それに他にも大きな被害を各地に与え続けているのです。今だってもしかするとわたくしの知らないの街で怪物――ロボットたちが暴れ回っているかも知れませんし。
胸の内に怒りの炎がメラメラ燃え上がり、知らず、手に真紅の炎が灯っておりましたわ。
――絶対ぶちのめしてやりますわよ。
『魔王』の早期の討伐が望まれる現状、ぐずぐずしてはいられませんわ。
わたくしは急いでグリーンさんの同行を仲間たちに伝えましたの。
「えっ、本当? じゃあよろしくね、若菜ちゃん」
「ま、まあいいけど……」
「レッド、グリーンを仲間に入れるんですか〜? また一緒に戦えるなんてワクワクです!」
「よろしく頼むよ。キミたちの迷惑にならないようにだけは気をつける」
ピンクとブルーは予想通り行為的。先ほど体力消耗から復活したばかりのイエローは若干渋りながらも首を縦に振ってくださいました。
こうしてグリーンさんと【キラキラ★ベリベリキューティーガールズ】の共闘が決定いたしましたの。パープルさんを連れ帰るオレンジさんを見送ると、早速わたくしたちも『魔王』が待っているであろう場所へ共に向かって再出発したのですわ。