28:最終日の事件!?
「おはよう、今日もいい朝だね」
朝早く、わたくしが廊下を歩いていると小桜さんに声をかけられました。いつもはねてらっしゃる時間なのに、やけに早いですわねぇ。
――そうでした、今日は最終日。きっとウキウキして起きてしまったに違いありませんわ。
「おはようございます小桜さん。今日の最終試合、楽しみですわね」
「うん! 頑張ろうね」
廊下の窓から差し込む朝日が柔らかくわたくしたちを包み込み、暖かな日差しを届けます。
そろそろ皆さん起こしませんとね。最終日、寝坊はしていられませんもの。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
それは、皆さんに声をかけて回り、朝食をふるまった後のことでしたわ。
早速訓練に赴こうとしたわたくしたちは一旦部屋へ。そこでそれぞれヒーロースーツに着替える手筈になっていたのですけれど――。
「あら、ないですわね?」
昨日まで確かにタンスの中にしまっていたはずの真紅のドレスがございませんわ。
しばらく探しましたが見つかりません。別邸の使用人が盗っていったのかしら、と少し考えましたが、ここの部屋には恥ずかしいものが色々とあるので立ち入ることを禁止していたはずですわ。
なら、一体ドレスはどこへ行ってしまったのでしょう……?
誰か呼ばないとと考え部屋を出ると、そこには騒いでいる人物たちがおりましたわ。
「……だから違いますってば」
「じゃ、じゃあ、誰がドレスを盗むっていうのよ!? あたしの部屋に入るのを許してたのはアマンダだけでしょ!?」
「そりゃあまあ確かにそうなんですけど……」
地味な少女と金髪碧眼美少女。
志水さんとアマンダさんですわ。どうやらこちらもドレスを紛失しているご様子ですわね。
「志水さんにアマンダさん、いかがしましたの?」
「あたしのドレスがないの! アマンダがどっかやったんだわ!」
「ですからワタシじゃないですってば〜。だってワタシのドレスまでないんですよ?」
あら、それは大変です。
わたくしは小桜さんの部屋へ赴き、彼女にも話を聞きました。すると案の定、彼女のドレスも消失しているとのこと。
こうなると異常事態……いいえ、事件ですわ。
【キラキラ★ベリベリキューティーガールズ】のヒーロースーツもといドレスが揃って無くなるなんて普通のことじゃありませんもの。それに、ドレスだけではなく、仮面やら何やら一式盗られていましたの。
一応【パンチング・ヒロインズ】に確認をしてみると、彼女らはみんなビシッとビキニを着こなしておりました。どうやら無事のようですわね。
……ふむ。怪しいですわ。ともかく、
「今日の最終試合のためにも早くこの『ドレス消失事件』を解決いたしましょう」
「どうやってだ?」碧海さんが首を傾げます。
「――このわたくし、財前梓を舐めないでくださいまし。金と財力と権力でこの事件を華麗に解きほぐして見せましてよ」
わたくしはそう言って、不敵な笑みを浮かべたのでした。