24:休暇へ向けての準備
SL学園も学期末。
多くの生徒たちが休暇期間について、楽しげに話していらっしゃいますわ。
毎朝屋敷から通うわたくしとは違い、大抵の生徒が寮を借りておりますから、実家に帰るのはまたとない機会らしいですの。
そんな中、わたくしは話題からハブられ、ポツンと一人でいましたわ。――今までは。
今年は何が違うって?
決まっているじゃありませんの。合同訓練――もとい合宿のための準備に忙しいのですわ。
「梓ちゃん、うちは大丈夫みたい。休みの間もよろしくね」
「財前家なら心配ないだろうってママが……。べ、別に、お泊まりが楽しみでおねだりしたわけじゃないんだからね!」
「ワタシは全然OKですよ〜」
とりあえずは小桜さん、志水さん、アマンダさんからそれぞれ本当に大丈夫なのかを聞いて回りました。
わたくしたち、所詮は中学生ですので、自分勝手には決められませんの。でも皆さん来てくださるようで良かったですわ。
それから、【パンチング・ヒロインズ】についての下調べ。
これはかなり手間がかかりましたけれど、彼女らの情報を入手することができましたわ。なんでも、ここから少し離れたとある都市を拠点として活躍しているらしいですわね。どうやら怪しい者ではなさそうで安心いたしました。
その他にもまだまだありますわ。
例えば、仮面製作。
仮面を作ろうと思い至ったのは、【パンチング・ヒロインズ】が仮面をつけていたのを見たからですわ。
いつも野次馬などに顔を見られないようにするので必死でしたが、仮面さえあればその心配もございませんわ。今まで以上に職務質問される可能性は高くなりますが、どちらにせよ一緒ですもの。
彼女らは仮面舞踏会用の物を被っておりましたが、わたくしたちは完全に顔全体を隠す仕様の物を買い、そしてそれぞれ思い思いの飾り付けをすることになりましたわ。
そしてその結果――。
「できましたわ!」
「「「おお〜」」」
……赤、ピンク、黄、青。
まるでハロウィンの仮装のための物かと思うくらい派手派手で奇抜な仮面ができあがりましたの。
とてもじゃありませんけれどヒーローの仮面には見えませんわ……。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ともかく、他の諸々の手配も整え、これで準備は万端。
きちんとSL学園の終業式も済ませました。【パンチング・ヒロインズ】の皆さんは後でいらっしゃる模様ですので、いざわたくしの別邸へ出発!ですわ。
一体どんな休暇になることやら……不安で仕方ありませんわねぇ。