23:合同訓練へ
小桜さん、志水さん、アマンダさん、そしてグリーンさん、オレンジさん、パープルさん(本名は教えていただけませんでしたわ)をどうにかこうにか財前家に入れることができました。
今まで友達など一切作らなかったわたくしです。こんな大人数と仲良くするなんて信じられない、と疑いの目を向けられましたけれど、まあ仕方がないでしょう。父には納得していただけましたし。
というわけで、わたくしの部屋にて会議の開始ですわ。
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「合同訓練ですの?」
「そうだ。一度に二つのグループが集うだなんていう機会、滅多にないだろう? だからそれを活かして訓練を行おうと思うんだ」
話し合いの途中、グリーンが持ち出した意見にわたくしは食いつきました。
合同訓練。なんだか面白そうな響きですわ。
「確かに、ですわね。こちらのメンバーも能力を授かってはいるものの、まだ力を出しきれていない気がいたしますのよ。特にわたくしの『苛烈な炎』など使い道がなくて……。どこが苛烈なのかわからないくらいですわ。ねえ皆さん、訓練についていかがですか?」
わたくしがメンバーのお三方に問うと、やはりと言いますか三者三様の答えが返って来ました。
小桜さんは「何それ、やりたい!」と意気込み。
「合同訓練!? く、訓練なんていらないわ!」と明らかに嫌そうな態度を見せる志水さん。
そしてアマンダさんといえば「ワタシ、わざわざ訓練しなくてもぶっ殺せばどんどん強くなると思いますけど〜」という『経験さえあれば』みたいな意見ですわ。確かにそれも間違ってはいないのですが。
「でも効率的に能力を向上させるには、訓練がいいとわたくしは思いますわ。ただ……どうやって行うのかはわかりませんが」
「だ、だからいらないって言ってるじゃない! どうせ痛いことするんでしょ! そうでしょ!」
「シオリ、ちょっとうるさいですよー。ワタシは痛いこととか大歓迎ですし、シオリの痛みも背負ってあげます」
志水さんはアマンダさんが押さえておいてくださっているので大丈夫ですわね。
その一方で、わたくしの問いに答えたのは、関西弁女――パープルでした。
「こういう時のお約束って言ったら合宿やん。そろそろあんたらの学校も休み入るんとちゃう?」
「ええ。そろそろSL学園も休暇に入る頃ですわね。普通の学校でもそうなのですか?」
「基本は一緒だね〜。でもすごいよね〜学園に通ってるお嬢様キャラって二次元でしか見たことなかったよ〜。リアルにもいるんだね〜」
口を挟んできたオレンジに頷きながら、わたくしは考えます。
彼女らがもしも敵の差し金だったとしたら? もしそうであれば、彼女らから提案して来たこの作戦に乗ってやるのは愚策かしら。
いいえ、もしかすると相手の正体を掴めるかも知れませんわ。それに向こうがただの善意なのであれば、これ以上嬉しいことはございません。
こうなれば行く一択ですわね。
「では皆さん。次の長期休暇の際に合同訓練を行う。これでよろしいですわね?」
「OK! うわあ、楽しみだなあ」
「よ、良くないわ! そんなの絶対嫌なんだから!」
「アズサとキホがいいならワタシはいいですけど? まあ、シオリには黙ってもらっておいて」
よし。なんとか了承は得られましたわね。
グリーンさんは「こちらとしてもありがたい」と言っておられますし、オレンジ&パープルさんも異論はないようですわ。
では、
「わたくし、休暇に別邸へ行く予定がありますの。その時に皆さんにいらしていただきましょう。歓迎いたしますわ」
合同訓練開催場所はわたくしの別邸近く。そう決めて、その日は解散となりましたわ。
そうして、皆さんは口々に何やら言いながらも、そういうことで了承してくださいました。
さて……父の説得に骨を折るでしょうが、頑張るしかありませんわね。