22:希歩とアマンダは能天気なので
……一悶着ありましたが、一応イエローを繋ぎ止めることには成功。というか、元々出て行くと言っても相手の素性もわからないのですから仲間に入るなんてできっこありませんわ。
落ち着いたところで本題ですわね。
「グリーンさん。あなた一人ではございませんわね? 他に何人いらっしゃるのかしら?」
「二人だよ。今、うまいこと人避けをしてるはずだ。そろそろ来る頃だよ」
と、ちょうどその時でしたわ。
「お待たせ!」
「チャチャッと片付けて来たで〜」
現れたのは、橙色と紫色のビキニを着て、同色の仮面を被った少女たち。カツラなのでしょうか、髪も同じ色ですわ。
彼女らがおそらくグリーンさんの仲間なのでしょうね。おそらくはオレンジとパープルってところかしら。
わたくしが彼女らに会釈すると、お二人は驚いたような顔でこちらへ寄って来ます。
「誰〜? 誰なの〜」
「めっちゃ可愛い子やん! 羨ましいわぁ」
そんなにジロジロ眺め回されるとあまりいい気はいたしませんが、いちいち言うのも面倒臭いのでやめましたわ。
さて……彼女らとの関係はどうしましょう。わたくしたち以外に闘う乙女がいるとわかったのは収穫ですけれども、だからと言って頼れるわけではございませんものね。
と、考えている最中のことでした。
「ワタシは【キラキラ★ベリベリキューティーガールズ】のブルーです! あなたたちとお友達になりたいです! お名前は?」
橙色と紫色の仮面少女たちはそれぞれ嬉々として、予想通りの名前を言いました。皆さんネーミングセンスが単純すぎますのよねぇ。
というかブルー、急に知らない相手に『お友達になりたい』って……! そういえばわたくしと初めて出会った時もそう言われましたけれど!
そして超友好的なのは一人だけではございませんでした。
「私もみんなと仲良しになりたいな。せっかく同じヒーローと出会えたんだもん!」
ピンクまで、キラキラ笑顔でそうおっしゃるのです。
一方、オレンジとパープルなる彼女らは、出会って一分も経っていない相手からそんなことを言われたのですから、さすがに困惑していらっしゃいますわ。グリーンは対応を決めかねているようです。
イエローはため息を吐きながら誰にともなく、「希歩とアマンダは能天気すぎるのよ」と呟いていますわ。
わたくしもまったく同じ気持ちですわ。友好的なのはよろしいですが、あまり過度になると自分の身を危うくする場合だってありますのに。
けれどそれを言っても、ピンクとブルーは「大丈夫大丈夫」で済ませてしまいます。どこが大丈夫なのかしら。
こうなったらもう、どうなっても知りませんわ!
……結局、二人の圧に押し負ける形で、彼女ら――【パンチング・ヒロインズ】はわたくしたちのチームと友好関係を結ぶことになりました。
まもなく警察車両などが来たので一旦撤退、再びわたくしのお屋敷へ皆さんを招くことになってしまいましたの。
はぁ……。こんな大人数、父が認めてくれるかしら……。