18:謎は深まるばかり
「ロボット……ですって?」
アマンダさんの言葉に、わたくしたちは驚愕してしまいましたわ。
だってそうでしょう? ミイラ男というのはもちろん想像上の怪物ですから何らかの方法で作り出したのだとは思っておりましたが、まさかロボットだなんて。
「これ見てください」
アマンダさんがそう言って、ミイラの半身の断面を見せつけます。
腰から下のないミイラの死体、その断面には金属のようなものが見えますわね。
「他にもたくさんのメカがいっぱいついていて、ワタシにはどうなってるかよくわかりません。でもわかるのは、これが生物じゃないってことです」
他にも、解剖したらしい怪物の手足などの破片を見せてくださいましたわ。
確かにその全てを見ると、一見するだけでは構造が難解な機械部品が詰め込まれており、明らかに人間の手によって作られたことが窺えます。どうやらわたくしどもが今まで戦っていた怪物たちは、誰かに操作されているロボットだったということのようですわね。
「……それなら納得がいきますわ。街に巨人やらゾンビやらが出現するのはあまりにも不可解でしたのよ」
「でも」小桜さんが口を挟みました。「それっておかしくない? 人間にこんな高度なロボットが作れるの? 歩くだけじゃなく呻き声を上げて、人を襲うんだよ?」
「それくらいできますわ。ロボット研究は今や想像以上に進んでおりますの。その技術を悪用する者もいないとも限りませんわ」
不可解だった状況が解け、わたくしはホッと安堵しておりましたわ。
わたくし、不思議な力だとか宇宙人やら、そういうものは信じない性分ですの。でもこれで説明がつきますわ。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! じゃああたしたちの能力は何だって言うのよ!? これは明らかに異能力でしょうが!!!」
「それはおそらくあのタネに何か特殊な成分が仕込まれており、それによって人体に影響を及ぼし、あのような膨大な力を発揮するようになったということなのでしょう。つまり、敵は自らの子分であるロボットたちを、自らが用意したヒーローによって倒させるという茶番劇を楽しんでいるわけですわ」
わたくしがそう言うと、他の皆さん黙ってしまいました。
まあ、そうですわよね。希望と夢を求める乙女にこの事実を突きつけるのは少しばかり申し訳ないような気もいたしましたけれど、でも現実は無情というものですわ。
「さて……謎は深まるばかりですわね」
このヒーローごっこが誰かが仕掛けたことだとわかっても、その張本人の足取りが掴めそうにもありません。
しばらくまた、わたくし一人で捜査するしかありませんでしょう。でも今回の解剖の結果は、大きな収穫になりましたので良しといたしましょうかしら。