15:次々に現れる怪物
「「「「世界を救うのは我らなり! 我ら、【キラキラ★ベリベリキューティーガールズ】!」」」」
小桜さん――ピンクの『桜吹雪』のサポートで家屋の屋根へと上がり、まるで空から現れたかのように見せたわたくしたちは、声を揃えて言いましたわ。
怪物に襲われていた人々の視線が、一気にこちらへ向きます。そんな不審者を見るような目で見つめられると不快ですわね。もっとも、彼らにとってわたくしたちは不審者以外の何者でもないのでしょうけれど。
と、そんなことを言っている場合ではありませんでしたわ。
現在、街にエイリアン的な見た目をした何かが大量発生しており、それを食い止めるためにわたくしたち、ここにおりますの。
「エイリアーン、私たちが相手だよ!」
ピンクが叫びます。エイリアーンってそのままのネーミングですわね。センスないですわ。
彼女に続きイエローが悲鳴のような声を上げました。
「べ、別に全然平気なんだから! き、気持ち悪くないけど、とっととぶっ飛ばしてやりましょ!」
「エイリアーン、このお姉さんが可愛がってあげますからね〜」
ブルーが金髪を揺らして笑いました。ブルー……アマンダさんは、ちょっとあれですわね。ドMなところがあるようですわね。
――気を取り直して。
「さあ、行きますわよ!」
言うが早いか、『桜吹雪』と『聖水の弾』と『地割れ』がエイリアンたちを襲い、一瞬で皆殺しにしてしまいました。
あら……わたくしの出番、ございませんわね?
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「シオリ、じゃなかったイエロー、そのドレスとってもとっても似合ってましたよ。まるで聖女みたいでした〜」
「そ、そう。あたしが可愛いのは当然でしょ?」
「イエローちゃんもブルーちゃんもすっごく強くてびっくりしちゃった。私も次はもっと頑張ろう!」
盛り上がっている三人を横目に、わたくしはテキパキと救急車と警察を呼ぶなどの後始末をやっておりました。
わたくしがリーダーなのですから責任を負わねばならないのは理解しております。理解しておりますが、あまりにもこれはひどい仕打ちだと思いますわ!
だって、戦いの時、わたくし完全に不必要だったじゃありませんの。リーダーたる者最前線に出るのではなかったですの? なのに他のお三方が倒してしまっては、わたくしはただの後片付け係ではありませんか。
でも楽しそうな彼女らを邪魔するわけにもいかず、後始末が終わると撤退宣言をして、帰っていくのでした。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
――またある時。
「出たなドラキュラーズ!」
「こ、コウモリが怖いとかじゃないし!」
「血の匂いがしますね〜」
「「「「我ら、【キラキラ★ベリベリキューティーガールズ】!」」」」
名乗りの時以外完全に取り残されたわたくし。
例によってピンク・イエロー・ブルーのチームでドラキュラーズはあっという間に滅ぼされ、わたくしの出る幕は少しもございませんでしたわ。
後片付けをしながら、わたくしは考え事に耽ります。
最近、毎日のように怪物が出現しているのですが、これは一体どうしてでしょう?
あんなものが自然発生するはずがありません。誰が送り込んでいるのか……ずっと考え続けているのですが検討もつきませんわ。
他三人が戦闘専門であるがため、わたくし一人で調べをつけなくてはならないのですが、わたくしとて限界があります。これでも名家のお嬢様、今までは老婆やに何でもやっていただいておりましたので。
……疑問は解けぬままにまた明日もわたくしは【キラキラ★ベリベリキューティーガールズ】のレッドこと後始末係として活躍をするのでしょう。