11:名前決め論争
「これから戦隊として活躍していくんですよね? なら、名前決めた方が良くありません?」
キラキラと青い瞳を輝かせたアマンダさんの言葉に、わたくしは思わず唸りましたわ。
そもそもわたくし、戦隊として活躍していくなどという気は微塵もないのですが……相手は三人、反論してもどうやら無駄のようですわねぇ。
ここは、清く諦めるべきでしょう。
「わたくしは名前など何でもよろしくてよ。先ほど小桜さんのおっしゃっていた『乙女戦隊』でいいのではないかしら?」
そう思ったのですが、横槍を入れて来たのはやはり志水さんでしたわ。
「あたしは絶対反対! お、乙女って小っ恥ずかしいじゃない! もっと言い方があると思うわ!!!」
「もしかしてシオリったら乙女じゃないんですか〜? どんな男と付き合ってるんです?」
「ぜ、全然違うし! あたし、まだ乙女なんだから! 生粋の乙女なんだからぁ!」
あらあらまあまあ、志水さんとアマンダさんの仲はよろしいこと。
でも確かに乙女という言葉はあまり良くないような気も致しますわ。例え今全員が乙女であったとしても、いつそうでなくなるかはわかりません。ここは女子校ですが、他の場所で異性と関係を持つこともあるかも知れませんものね。
ですが、小桜さんは少し不満そうですわ。
「だってあの手紙にだって選ばれし乙女って書いてあったんだよ? 『乙女戦隊』はどこかロマンがあって素敵だと思わない?」
「お、思わないわよ! 学園のアイドルだからってなんでも勝手に決めないでよね! あたしは、『お姫様チーム』がいいと思うわ!」
「何ですのそのネーミングセンスは……」
わたくしは思わず呆れてそう漏らしてしまいました。
正直名前などどうでもいいですが、『お姫様チーム』だけはなしですわ。第一、わたくしは令嬢ではありますが姫ではありませんし、他の方々などただの庶民でしょう?
そのまましばらく小桜さんと志水さんのくだらない言い争いが続き、あくびを堪えるに苦心していると、アマンダさんが突拍子もない名前を思いつきましたの。
それは――。
「ねえねえシオリ、キホ。ワタシすっごくいい名前閃きました! その名も、『キラキラ★ベリーグッドキューティーパワフルバージンガールズ』です!」
もはやなんと言っていいのやら……。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
結局、わたくしたちのグループ名は【キラキラ★ベリベリキューティーガールズ】に決定されました。
これはわたくしがアマンダさんを全力で説得したおかげですわ。バージンが無くなっただけでもマシと言えるでしょうが、恥ずい。あまりにも恥ずいですわっ!
でも皆さん納得したようなので、わたくしは黙っておくことにしましたの。
まったく、先が思いやられてなりませんわね……。