10:乙女戦隊?
――翌日。
わたくし、小桜さん、志水さん、アマンダさんの四人は、またしても談話室に集っておりました。
昨日のあのバトルの詳しい説明をするんですの。実際にはわたくしにもよくわかってはいないのですが、一番最初に手紙が届いたのはわたくしですので、自然とそうなってしまったのですわ。
わたくしは今までの経緯をさらっと話しました。
とはいえ、わかっていることは非常に少ないですわ。あの手紙が誰から送り付けられたのか、同封されていたタネは何なのか、能力はどこから発生するのか。
そこはおいおい調べる必要があるでしょう。
「……そういうわけであなた方は正体不明な力を手に入れたわけですの。そしてわたくしも同様ですわ」
話し終えると、他三人はしばらく黙り込んでいらっしゃいました。
そして数秒後に最初に口を開いたのは小桜さんでしたわ。
「つまり、あれじゃない? これって戦隊なんじゃない?」
「戦隊? それはどういうことですの」
「あるじゃん、悪の組織と戦うヒーローみたいなやつ。実際、この手紙を読めばそうとしか思えないよ」
例の手紙を持ち出し、文面を見せつけながら小桜さんは続けます。
「この世界には何かわからないけど悪い未来が近づいてる。それを未来からやって来たスーパーロボットが私たちに助けを求めて、この手紙を仕込んだんだよ。それで見事力に目覚めた私たちは、世界の悪と戦うってこと。よく子供向けアニメとかであるでしょ?」
わたくしは首を横に降りました。申し訳ございませんがそのようなものはわたくし、観ておりませんのよ。
でもわたくしと違って一般家庭の子であろう志水さんや、日本のアニメに興味があるらしいアマンダさんはうんうんと頷いていらっしゃいます。わたくしだけ場違い感が半端ないですわ……。
「つ、つまり、あのゴキが怪人で、あたしたちにスーパーヒーローになれってわけ!?」
「おおー。面白そうじゃないですか。やはりこの国は最高ですね。祖国ではこのような楽しいこと、経験できませんでしたよ〜」
アマンダさん、この国の『普通』はそんなのではございません。
ともかく、どうやら小桜さんたちの考えは間違っていないようですわ。わたくしはすっかり蚊帳の外ですが。
「あの化け物がどこから来たかはわからないけど、『乙女戦隊』としてそれと戦うのが私たちの役目なんじゃないかな。選ばれし乙女なんだよ、私たちは」
わたくしには到底理解できませんでした。
そもそもからしておかしいですわ。元々お友達だったらしい志水さんとアマンダさんはともかく、わたくしと小桜さんは互いに何の接点もありませんもの。
手紙の送り主はなぜわたくしたちを選び、わざわざ力を与えようと考えたのでしょう? 全くの謎ですわ。
でもどうやら後には引けないことだけがわかり、少しばかり憂鬱な気分になりましたの。
学園生活だけでもう手一杯だというのに……と。
でも他の方々は意外と乗り気なご様子でしたから、まさか嫌だとは言えなかったのでしたわ。