プロローグ:我ら、【キラキラ★ベリベリキューティーガールズ】!
新連載よろしくお願いします。
「ゾンビーズ! よくも人々を苦しめたな! 覚悟しなさい!」
「べ、別に、ゾンビが怖いとか思ってないんだからね!」
「楽しそうですね! よーし、やりますよー!」
街に溢れるゾンビたち。それを見下ろすのは四人の少女。
それぞれお揃いのゴージャスドレスを着たお姫様のような格好とは似合わず、彼女らは戦隊を名乗る集団ですの。
……そしてちなみに、わたくしもその四人の中の一人なのですが、セリフを全部奪われてしまいましたわ……。
あ、そうそう。
「自己紹介がまだですわよ。ゾンビに相手に意味があるとは思えませんが」
「あっ、そうだった!」
「べ、別に忘れてたわけじゃないし! 今から言おうと思ってたんだからね!」
「早くしましょう〜。ぶちのめしたいです」
最後の声、怖いですわね。
まあ構いませんわ。いっせーのーで、で揃えますわよ。
「「「「世界を救うのは我らなり! 我ら、【キラキラ★ベリベリキューティーガールズ】!」」」」
正直言って恥ずい。恥ずいですわ。
そうしてわたくしが恥ずかしがっている間に、他三人がゾンビたちをボコボコにして街から消してしまいます。
結局わたくしは何のためにいたのやら……。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「さて、と。
……ご挨拶が遅れて申し訳ございませんわね。
わたくし、【キラキラ★ベリベリキューティーガールズ】のリーダーですの。
名前? 名前は言えませんの。そういう決まりなんですのよ。
それと、身分証明証はお出しできません。それも身バレにつながりますわ。年齢? そんなの教えるわけがないでしょう。頭ぶっ潰れてやがりますの?
これが職務質問ということは十分に理解できておりますわ。
けれども明かしてはいけない。これが戦隊としてのルールである以上、たとえ警察の方でも個人情報の公開はお断りしておりますの。
……しつこいですわね。ちっ、他の奴ら、さっさと帰りやがりましたわね。
わたくしのことは直ちに忘れなさい。さもなければあなたの首が飛ぶか、世界が滅ぶとお思いなさいな。
ええ、ええ。
では他のメンバーも帰ってしまいましたし、わたくし帰らせていただきますわね。ごきげんよう。
……やめろって言ってるんですのよ!!!」
警察官に呼び止められたわたくしが逃げようとすると、銃を向けられましたわ。
あら、侮られているみたい。少し癪に触ったので軽く吹っ飛ばして、そのまま帰ります。
どうしてこんなことになってしまったのか……。
わたくしは真っ赤なドレスを引きずって歩きながら、「はぁ」と深くため息を吐いたのですわ。