【四コマ漫画風短編小説】先生、デートしてください
以前試験的に書いた、
『【四コマ漫画風短編小説】先生、結婚してください』
の続編です。
リクエストを頂けたので勇躍として書かせて頂きました。
地の文がなく、背景や設定を伝えるのがめんど……、難しいので、よろしければ先に前作をお読みください。
https://ncode.syosetu.com/n7587gu/
なお、黒森 冬炎様御主催「ソフトクリーム&ロボ~螺旋企画~」参加作品の『螺旋の恋歌』も同シリーズとなりますので、併せてそちらもどうぞ。
【明日は休みだ学校もない】
「先生、明日はお休みですよね」
「えぇ。学校は休みですし、特に残務もありません」
「じゃあお願いがあるんですけど」
「お泊まりは無理ですよ。さぁ階下のお家にお帰りなさい」
「ち、違います! 許してもらえるなら玄関にスタンバイしているお泊まりセット取ってきますけど!」
「旅行に行く時にでも使ってくださいね」
「そうじゃなくて、明日どこかに遊びに、ってあぁ、先生に背中をぐいぐい押されるのも新鮮……!」
「君は何でも楽しさに変えますね」
【一人昼まで眠れそう】
「で、明日遊びに行きたいと」
「はい」
「どうぞ」
「良いんですか!?」
「休日の君の行動まで縛る気はありませんから」
「やったぁ! じゃあ明日は思いっ切り」
「私は昼過ぎまで寝ていますので」
「えっ」
「えっ」
【断ったと思ったら進んでいた。何を言って(略)】
「何でそうなるんですか。一緒に遊びに行きましょうって話ですよ」
「てっきり明日は食事の支度ができないという断りかと」
「違います。でもそんなやり取りも夫婦っぽくて良いです」
「それは良かったですね。おやすみなさい」
「待ってください。そんな優しい言葉では誤魔化されませんよ」
「突き放したつもりだったのですが」
「で、どこに行きます?」
「一緒に出かける事は決定事項なのですね」
【何でも良いが一番困る】
「仕方ありません。どこに行きたいですか」
「先生とならどこでも良いです」
「では近所のスーパーに買い物に行きましょう」
「新婚夫婦みたいで良いですね。ご近所様にもアピールできますし」
「スーパーでは遊びに行くとは言いがたいですね。子ども向け遊園地にでも行きますか」
「子どもが生まれた時に備えての下見ですね。先生からそんな積極的な提案をしてもらえるなんて嬉しいです」
「考えてみると少々退屈かも知れませんね。山間のダムでも見に行きましょうか」
「山間……。ちょっとした手違いで無くなる終電……。泊まるのは温泉宿が良いと思います」
「詰将棋の王将は、きっとこんな気分なのでしょう」
【蛙の親は蛙】
「じゃあ色々すっ飛ばして温泉宿に行きましょう」
「お泊まりとなれば、叔父さん達に相談しないといけませんね」
「父はともかく母は駄目です」
「おや、そうなのですか」
「教える迫り方が古いんですよ。あれでは参考になりません」
「味方を得たと思ったら伏兵だったとは」
「でもひなびた温泉宿の雰囲気だったら合うかも知れませんね」
「一度叔母さんに怒られたら良いと思いますよ」
【憧れの行く末】
「では映画に行きましょう」
「素敵ですね。憧れのデートコースです」
「それは良かった」
「学割のために学生証を出して、『親子ですか?』と聞かれた時の返しは、『先生です』と『婚約者です』のどっちが良いですか?」
「当日は私が支払いますから、学生証は出さないでください」
「でも出さないと18禁の映画には入れないかも知れませんよ」
「君の憧れのデートとは何なのですか」
「先生との既成事実に至る道です」
「そんな当然みたいな顔をされましても」
【行き当たりでばったり】
「なかなか決まりませんね」
「原因は分かっているのですが」
「優柔不断な先生も好きですけど」
「何故か責任を転嫁されました」
「ならいっそ決めないで、現地で決めましょう」
「分かりました。君が友達とよく行く街はどこですか?」
「薮市や久順市辺りですね」
「では六部景にしましょう」
「休みに生徒と会うと照れちゃう先生可愛い」
「ばったり会ったらただでは済みませんからね」
【時間厳守】
「では明日十時にお迎えに行きますね」
「分かりました」
「寝坊しても良いですよ。起きていなかったら合鍵を借りて起こしに入りますから」
「絶対に寝坊しません」
「そうしたら先生の寝顔を撮ったりベッドに潜り込むという楽しみも」
「今から明日に備えて寝る支度をします」
「そんなに明日が楽しみだなんて嬉しいです」
「何故伝わらないのでしょうこの恐怖」
【恐ろしい朝が来た】
「おはようございます先生」
「おはようございます。良い天気ですね」
「では早速行きましょう」
「分かりました」
「腕を組んでも良いですか?」
「体調が悪くないなら、腕を貸す必要はないでしょう」
「そこで腕を組みたいから『体調が悪い』と言ったら、家に帰らせるつもりですね」
「手強くなりましたね君も」
【貴方色に染まりたくて】
「そうだ先生。私のこのふんわりワンピース、いかがですか?」
「良く似合っていますよ」
「気合いを入れましたから」
「そうですか」
「先生の好みの服は何ですか?」
「特に好みというものはありませんが」
「じゃあウエディングドレスと白無垢両方着ますね」
「話題の飛躍が凄まじい」
【誤った謝り】
「さて、どこから回りましょうか」
「あのホテル、入ってみたいです」
「昼間から何を考えているのですか」
「ランチバイキングが美味しいそうなんですよ」
「そうでしたか。それは失礼をしました」
「結婚式の料理の見当も付きますしね」
「謝らなくても良かったような気もします」
「初めての夜の予行演習を今からするのも悪くないですね」
「今後君に謝るのは慎重に行いますね」
【その怒りは殺意にも似て】
「あ、先生、この映画観ましょう」
「ホラーですか。てっきり恋愛ものを推してくると思っていましたが」
「ホラーなら怖くてしがみついても許してくれますよね?」
「今は感染拡大防止の為、ひと席ずつ空けての視聴となるようですね」
「……私はウィルスを許さない……!」
「君の顔がホラーになってます。可愛い顔が台無しですよ」
「先生に可愛いって言われたー」
「さて今のうちに恋愛映画に意識を向けさせましょう」
【涙の数だけ強く攻めるよ】
「映画、素敵でしたね」
「それは良かったです。ずび」
「ブラック企業で働かされてた女の子が異世界で映画を作って幸せになる、最高でした」
「やはり幸せな結末は良いものです。ずび」
「先生の泣いてる顔も見れたし」
「仕方がないでしょう。感動は止められないものです。ずび」
「じゃあ私の先生への想いも、止められない事が伝わりましたね」
「止まりました。今止めました」
【君の望むハッピーエンド】
「先生もハッピーエンド、好きなんですね」
「君のハッピーエンドに付き合う気はありませんが」
「そう言うと思ってました。だから私も考えているんです」
「何をですか」
「先生を付き合わせないハッピーエンドを」
「……」
「とても、とても寂しい結末ですけど」
【終わらない物語】
「私の望むハッピーエンドは、妻として先生を看取って十三回忌を済ませた後、同い年になったのを見計らって、家族に看取られ幸せに旅立つ事です」
「付き合わせるどころか組み込まれていました」
「そして来世でも運命に導かれて結ばれる……」
「終わらせる気すらないとは」
「先生に看取られて幸せに旅立つ結末は諦めたんですから、褒めてくださいよ」
「生徒は褒めて伸ばすものですが、君は必要以上に伸び伸びしてるので」
「一緒に旅立ちたいなとも思ったのですが、確実な方法が心中しか無かったので」
「よくぞ諦めてくれました。偉いですよ」
【行きたかった場所はすぐ側に】
「次はどこに行きますか?」
「自宅を選択したいのですが」
「えっ、お家デートですかお家デートですね二人きりの時間を楽しむ大人の休日プランですね!?」
「まさかここで本日最大級の食いつきを見せるとは」
「お昼と夕食の買い物をして帰らないと! あ、普段は遅くなるからとさせてもらえないお洗濯やお掃除も、今日はやる時間がありますね!」
「君のその異常なやる気が、させない本当の理由だと気付いてください」
「そうだ夕食にお酒を飲みたくなるような料理を作れば、先生の気が緩んで今日が二人の記念日になるかも!」
「帰宅したら即頭を撫で倒す事に決めました」
【開始一分でベッドに沈む】
「はへ……。へんへぇ……、わらひ、ひあわへぇ……」
「それは何よりです」
「へんへぇは……?」
「はい?」
「へんへぇは、ひあわへ……?」
「さて、どうでしょうね」
「……へんへぇも、ひあわへやないと、やら……」
「幸せの強要とは、君も我儘ですね」
【幸せな週末】
「……ぅゅ……」
「君の事です。昨日はあまり眠れなかったのでしょう」
「……ぁぃ……」
「子どもの頃から本当に変わらない」
「……ぃぁぅ……」
「違いませんよ。君は可愛い可愛い、私のいとこです」
「……ぇへぇ……」
「……おやすみなさい」
【休日にありがちな後悔】
「はっ!」
「おはようございます」
「せ、先生! い、今何時ですか!?」
「七時二十八分ですね」
「あ、朝の?」
「君を一晩うちに置く訳が無いでしょう。そろそろ家に送りますよ」
「うわー! 失敗したー! 先生の匂いのするベッドに幸せを噛み締めすぎて、四度寝までしちゃうなんて!」
「君本当に失敗したと思っているんですかね」
【悪徳商法も真っ青】
「しかも勝負服のワンピースがしわしわに……」
「着たまま寝たらそうなりますね」
「先生が脱がせてくれたら良かったのに」
「服よりも貞操を大事にしてください」
「私の初めては先生が予約済みですよ」
「した覚えのない予約は、キャンセルさせてほしいですね」
「その場合は違約金として先生の初めてを頂戴します」
「小学生の時に寝ている私の唇を奪っているのですから、それで清算済みでしょう」
【胃袋は掴むもの】
「じゃあ先生、また明日」
「明日は私は出かけますので」
「そうなんですね……。何時に帰りますか? 夕ご飯は何が良いですか?」
「当たり前のように夕食作りを自分のものにしてますね」
「先生がカレーと鍋料理以外のレパートリーを増やせたら考えてあげます」
「それだけ作れれば十分じゃないですか」
「駄目です。先生には長生きしてもらわないと」
「嬉しい言葉ですけど、君のハッピーエンドプランを聞いた後だと複雑ですね」
【夕方の帰還】
「せ、先生? お帰りなさい! でも何でうちに……?」
「これを渡そうと思いまして」
「……! このワンピース……!」
「お気に入りを皺にしてしまいましたから」
「嬉しい……! 早速着てみます!」
「玄関先で着替えようとするのはやめなさい」
「先生になら見られても恥ずかしくないですよ?」
「例えおしめまで替えた仲だとしても、十八になったら恥じらいは必要だと思いますよ」
【結局部屋で着替えました】
「ぴったりです……!」
「やはり良く似合いますね」
「先生から服をもらうならウエディングドレス一択だと思っていましたけど、普通の服でもこんなに嬉しいなんて……!」
「恐ろしい要求を胸に秘めてましたね」
「しかも測ったようにぴったりなんて……。愛を感じます」
「君が聞いてもいないのに、身長体重スリーサイズを逐次報告するからですよ」
「覚えていてくれたなんて、嬉しい……!」
「店員さんからは変質者を見る目で見られましたが」
【そして追いかけっこはまだまだ続く】
「私、ますます先生の事が好きになりました」
「オーバーフローして0になりませんかね」
「まだまだもっともっと好きになりますよ。私が世界で一番先生を好きな女になります」
「他に対抗する人はいないので、これ以上何もしなくて良いですよ」
「唯一無二の女……! つまり今日こそお泊まりセットの出番の日!」
「おやすみなさい」
「待って先生! せんせーい!」
読了ありがとうございます。
この二人の話は終わらせるのが難しいですね。
女子高生が全く手を緩めないのと、先生が厳しく突っぱねたりしないので、いつまでも続いてしまうという……。
今回も気が付けば地の文無しで4500文字以上……。恐るべし女子高生!
でも楽しく書けました。
この二人はテーマさえ決まればいくらでも書けそうです。
だから恐ろしい……!
甘いようで甘くない、少し甘いラブコメにお付き合い頂き、ありがとうございます。




