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ログ・ホライズン外伝 白神様の立て直し  作者: コロッセオ
第1章 アキバ少年窃盗団事件
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第3話 作戦実行日


〈円卓会議〉から数日が立ち、遂に窃盗団捕縛作戦の日がやって来たのだ。

アキバのシンボルでもある〈銀葉の大樹〉の下には48人の〈冒険者〉達が集まっていた。その中には、〈ホネスティ〉のシゲルと雪丸の姿もあった。


「おぉ、シロエ!」


「シゲルさん、来てくださったんですね」


〈三日月同盟〉からセララを含めた新人組の16人、小規模ギルド〈新しき大地〉からはユーマ、ピンキー、ツガルMUSIC♪、ルック、デイジー、ヒバリの6人、〈黒剣騎士団〉に所属しているグラン&フェリシア夫妻の子供達であるアルメリア、レッカ、フィオナの3人、〈西風の旅団〉からはソウジロウ、ナズナ、イサミ、カワラ、キョウコ、フレグラント・オリーブ、ドルチェ、くりのんの8人。そして〈記録の地平線〉からはシロエ、直継、アカツキ、トウヤ、ミノリ、ルンデルハウス、五十鈴の7人、〈ホネスティ〉からはシゲルと雪丸が参加する事になった。


「少し、人数が足りないようだが……」


「それなら、もう呼んでありますよ。あっ、来たみたいです!」


シロエが手を振ると、少し離れた先にこちらへ向かってくる〈冒険者〉の一団が見える。

それは、シゲル達も見覚えがある人物で、チャイナドレスを着た六人の少女達の姿があった。


「あの子達は確か……?」


「はい、中華料理店を営む生産系ギルド〈シャンシャン〉のメンバーですよ」


「そうか! なるほど、道理で見た事ある顔ばかりだと思ったぜ」


「シロエはん、お久しぶりやな~!」


「遅れてしもうて、申し訳あらしまへん」


「リンリンが寝坊なんかするからですわ!」


「麗華、いらんこと言わんといてぇな! あっ、ウチはリンリンやねん、よろしゅう頼んますわ!一応、〈シャンシャン〉のギルマスをやっておんねん!」


「ウチは妹のユンユンでーす! よろしゅうお願いしまーす!」


「伊集院麗華ですわ! 麗華とお呼びになって下さいませ!」


「琴葉と申します、よろしゅうおたのもうします」


「あ、あの……ライチです、よろしくお願いします……!」


「あ、あんずですっ。よ、よろしくお願いします……!」


シロエ達の前にやってきた六人は一斉に自己紹介を始めた。


「おう、嬢ちゃんたち、今日も元気そうだねぇ!」


「皆さん、こんにちは」


ナズナとソウジロウがリンリン達に挨拶をする。


「おっ? 〈西風〉のギルマスやん!」


「ほんまや、うちらラッキーやなぁ!」


「ホントやなぁ、こないな有名人に会うなんてな!」


「そうどすなぁ、ほんまにそう思うでぇ」


「えっ!? 有名って……僕がですか!? うぅ……そんなに褒められると照れちゃいますよ……!」


「…………」


(……おい、このハーレム野郎を誰かどうにかしてくれ)


その様子を見ながらシゲルは心の中で呟く。


「ん? アンタ、どっかで会った様な……」


〈シャンシャン〉のギルマス、リンリンがシゲルの方へ向くと、ジロジロと見つめる。


「あぁ、この前アンタらの店に来た客だよ。なっ、雪丸」


「はい」


「あぁ、思い出したで! ほな、アンタらが〈ホネスティ〉なんやな!」


「そういう事だな。それにしても、よく俺達の正体が分かったな」


「そりゃ分かるで!何せ、〈ホネスティ〉には、噂に聞く『腹黒眼鏡』がいるんやろ?」


「……そりゃあ〈記録の地平線〉のギルマスだ」


「……え? ちゃうの?」


「リンリン、『腹黒眼鏡』とはシロエ様の事ですわよ」


「えっ!? そやったんか!」


リンリンの間違いに、麗華が指摘した。が――


「はい、シロエ様こそが、アキバの街で最も有名な〈円卓会議〉の立役者にして、〈黒剣騎士団〉を率いる『狂戦士』の異名を持つ、アキバの風雲児なのですわ!」


彼女も大分認識がズレていた。


「違う違う、混ざってる混ざってる! クラスティさんとアイザックさんが混ざってるから!」


「あぁ、そうなんですのね。では改めて、シロエ様こそ、〈D.D.D〉を率いるヤマトサーバー最強を誇るギルドマスター、〈放蕩者の茶会〉の元参謀にして〈西風の旅団〉のギルマスを務める超絶イケメンの中の超絶イケメンである『黒剣』シロエ様なのですわ!」


「だから混ざってるんだってば!!」


「シロの異名が段々おかしな方向になっていく……」


それを誤解してしまったのか、シロエの事をよく知らない新人〈冒険者〉達が徐々にザワつき始めた。


「な、なんだよそれ……マジなのか?」


「本当らしいぞ。シロエさんは、アキバの街では黒幕みたいな存在らしいんだよ」


「えぇーっ!? それじゃあ、悪者じゃないですか!」


「違うよっ、僕は全然悪くないよ!! 悪いのはその人であって、僕ではないよ!!!」


シロエは必死に弁明するが、残念ながら誰一人として聞いていない。


「シロ~、お前も隅に置けないなぁ~」


ナズナはニヤニヤと笑みを浮かべながらシロエの肩に手を置く。


「違いますから! 本当に違っているんですよ!」


「主君……私は信じているぞ……!」


「アカツキまで!?」


アカツキは何故か感動している様子だった。


「あの……、そろそろ始めて貰ってもよろしいでしょうか?」


「何時まで待たせるつもりなんだお前ら」


シゲル、雪丸、直継、ミノリ達年少組の4人とセララ、そして〈新しき大地〉の6人とナズナ以外の〈西風〉メンバーは下らない茶番劇を呆れながら様子を眺めていた。


「……あぁ、ごめんなさい。もう始めますので、皆さん、少しだけ待っていてください」


シロエは何とかその場を落ち着かせると、全員を見渡す。


「皆さん、集まっていただきありがとうございます。今回の作戦は窃盗団捕縛が目的です。今回集まっていただいたのは、殆どが同年代もしくは、〈西風〉を除けば戦闘系ではないギルドの〈冒険者〉です。つまり、皆さんは盗賊退治は初めてでしょうし、不安があると思います。しかし、安心して下さい。今回は大規模襲撃とは違い、相手も人数も少ない小規模の戦闘になります。ですので、連携さえしっかり出来れば、勝てない戦いではありません」


「おぉ……流石だなぁ。シロの言う通り、初めてだろうけど大丈夫だ。俺たちがサポートするぜ!」


「そうですよ! みんな頑張りましょう!」


「はい! 私も精一杯がんばります!」


「任せておいて下さい!」


「ボクたちだって負けませんよ!」


直継とソウジロウの言葉に、新人組や〈新たなる大地〉のメンバーが呼応した。


「それでは、留守の方は任せてくださいにゃ」


「皆さん、気を付けてくださいね。アルメリア達も、シロエさん達に迷惑を掛けちゃダメよ?」


「はーい!」


にゃん太とアルメリア達の母フェリシアが見送り人として、参加者達に声を掛ける。


「それでは、捕縛作戦開始!」



作戦開始から数十分後、その動きを嗅ぎ付けた窃盗団達に動きがあった。


「へっへっへっ、大量大量」


「今日も楽勝だったな!」


「さてと、そろそろズラかるとしますか」


 窃盗団らしき三人の少年の姿が見えた。少年達は店の裏口から出ようとした。


 だがそれを、直継が見逃す筈がなかった。


「見つけたぞ!」


「何!?」


「ッチ、予定よりも見つかるのが早い!」


「逃げるぞ!」


「待て!」


直継が呼び止めるが、窃盗団の3人は一目散に逃げ出した。


「逃がすか!」


 直継はそのあとを追うが、〈守護戦士〉は機敏性はそんなに高くない為に追いつく事が出来ない。


「くそっ、速いな!」


「私の任せろ!」


「ちみっこ!」


窃盗団の少年達が路地裏から出ようとすると、いつの間にかアカツキが先回りしていた。


「何だと!?」


「おい、どうなってるんだ?」


「知らねぇよ!」


「今だ! 捕えろ!」


アカツキがそう言うと、三人の少年達の頭上から巨大な捕獲網が降りてきた。


「うわぁ! なんだこれ!」


「クソッ! 放せっ!!」


「やめろぉ!!」


三人が抵抗するが、抵抗空しく捕縛されてしまった。


「よし! 捕まえたぞ!」


「やりましたね!」


「あぁ、この調子でドンドン捕まえる祭りだぜ!」


アカツキは念話でシロエに連絡する。


「主君、三人ほど捕縛することに成功した。紋章の付いたバンダナをしているが、合っているか?」



「あぁ、間違いないよ。間違いなく窃盗団であることの証だ」


 作戦と言っても、内容は単純だ。

 アキバ外の警備を手薄にすることにより、子供達の侵入を敢えてさせ、中に入れた子供達を閉じ込めておいてから、窃盗団を捕まえるというものだ。とどのつまり、餌をおびき寄せる戦法だ。ただし、外の警備の数はそれ程、少なすぎないこと。寧ろ、万が一の場合、逃がしてしまうと後が持たないので、外側の警備はやや少なめ程度にしている。A~E班は捕縛班、F~J班には街の中側と牢屋の警備、捕縛した窃盗団の回収、K班とN班は街の外側の警備を担当している。


「アカツキ、よく見つけてくれたね」


『ふっ、私は主君の忍びだからな』


アカツキは自慢げに言う。


「その子達の回収は近くに居るH班に任せておいて。アカツキは引き続き窃盗団の捕縛をお願いしたい」


『分かった。任せたぞ』


「了解。ナズナ、ソウジロウ、ユーマ、行くよ」


「はいよ」


「「はい!」」


シロエ達は、アカツキとは別に捕縛された窃盗団の少年達を、牢屋を設置された場所まで連れて行く。


「とりあえず、君達はこの中で大人しくしている事だね」


「ちくしょー……」


「クソッ!」


「捕まっちまった……」


少年達は悔しそうな表情を浮かべている。


「お前ら、もう終わりだな!」


「自業自得ね」


「これに懲りたら、もう二度と窃盗なんかするんじゃないわよ!」


「全くです!」


 牢屋を守るツガルMUSIC♪、ヒバリ、ピンキー、ルックのJ班である4人は、三人の少年に対して叱咤の言葉を投げかける。


「……あの子達は確か」


「はい。先日、〈西風の旅団〉に絡んだ子達ですね」


「そういえばそうだったね」


シロエは以前〈西風の旅団〉に絡んだ子供達を思い出していた。


「さぁ、みんな! このガキンチョ達をしっかり見張っておくんだよ!」


「「「了解!」」」


ツガルMUSIC♪達4人はそれぞれ、3人の少年を牢屋内に放り込むと、しっかりと鍵を閉めた。



「要するに、アキバに侵入した窃盗団のガキ共を、街の中に閉じ込めるって訳だな」


「名付けて、『籠の鳥』大作戦だ!」


「ってアカツキさんが言うのかよ!」


直継とアカツキが作戦内容をざっくりと説明すると、トウヤがアカツキにツッコミを入れる。


「今、これで何人捕まえたんだ? ざっくり数えると十人前後くらいか?」


「十二人だな」


「アカツキさん、数えるの早っ!」


「全て記憶している」


「でも、順調に進んでますね!」


ミノリは嬉しそうに声を上げる。


「そうだな。しかし、相手は窃盗団だし、いつどんな手を使ってくるかも分からない。油断は禁物だ」


「何で? 相手は俺とミノリくらいの連中だろ?」


「いや、相手も一筋縄でいかないさ。多分、この戦法はすぐにバレると思う。シロもそう確信しているだろう」


「悪知恵の働く子供程、厄介な者はいないからな」


「それに、まだ作戦は始まったばかりだ。気を引き締めていくぞ」


「はい!」


「おう!」


「分かっている」


「その意気だ。じゃあ、そろそろ次の場所に行こうか」


「あぁ」


「次はどこに行くんですか?」


「ジュエリーで金目のものが盗まれたらしい。そこに向かうぞ」


「よし! 行くぜ!」


「あぁ」



一方その頃、シロエ達が窃盗団の少年達を牢屋に連れて行って数分後、G班(シゲル、カワラ、キョウコ、雪丸)では……


「〈西風〉の、そっちはどうだ?」


「カワラだよーっ。いい加減、名前覚えてよねぇ」


「悪い悪い」


シゲル率いるG班は主に街の警備と捜索を担当している。望遠鏡で屋上から街を見下ろしながら、窃盗団を探す係となっていた。


「うーん。今のところは見つからないよ。キョウコの方はどう?」


「こっちも探しているんだけど……」


「あっ、いました!」


「おっ、でかしたぞ雪丸! どの辺にいる?」


「パティスリーの辺りですね」


「あぁ、あそこか。あそこはD班の担当区域だったな。D班! 窃盗団らしきガキ共がパティスリーの裏路地付近にいる! すぐさま向かってくれ!」



D班(イサミ、くりのん、ドルチェ、オリーヴ)の四人はすぐさまパティスリーの路地裏に駆け付けた。


「いた! シゲルさん達の言った通り!」


イサミ達はすぐさま確保態勢に入る。


「ゲッ、見つかった!」


「何でだよ! 幾らなんでも見つかるのが早すぎんだろ!」


「そんなこと言ってる場合じゃないわ! 逃げるわよ!」


「くっそぉ!!」


 D班に見つかった瞬間、窃盗団の少年達は一目散に逃げ出した。


「待てぇ~っ!」


「逃がしませんわよ!」


「待ちなさ~い!」


「おんどりゃあーっ! 幾らガキでも容赦しねぇぞゴラァ!!」


「うわぁ、こっち来るなぁ!」



数分の逃走劇の末に、何とか路地裏に隠れてやり過ごしていた。


「はぁ、はぁ……此処まで来れば……」


「どう? 追いかけてきそう?」


「取り合えず、追って来てはなさそうだけど……」


「なら、今のうちに別の場所で金目のものを――」


此処まで遠くなら来られまいと、三人の窃盗団達が暗著していた……その時だった。


「今だ! えーい!」

「それぇ!」

「確保ー!」

「やれぇい!」


その掛け声と共に、頭上から捕獲網が降って来たのだった。


「えっ? うわぁ!」

「きゃあ!」

「うわぁあ!!」


窃盗団の三人はそれに気づかず、罠に嵌ってしまったのだ。


「「「「大成功ー!」」」」


I班(tate脇、めざましトメテ、ゆぴあ、ナギ)がハイタッチをしながら大喜びする。


「おっ、上手く行ったわね!」


「作戦、大成功じゃん!」


いつの間にかD班も駆け付けていた。どうやら、二班による共同作戦だった模様。


「クソーッ! 俺達を嵌めたなぁ!」


「こうでもしなきゃ、アンタ達を捕まえられないでしょう?」


「観念しなさい!」


「クソォ!」


窃盗団の少年達は悔しそうに顔を歪ませる。


――


一方で、B班(シロエ、ナズナ、ソウジロウ、ユーマ)の四人も、三人の少年達を確保していた。


「何でだよっ、バンダナは外して置いたのにっ!」


「バンダナを外したからって、バレないかと思っていたのかい? 甘いな」


「素顔が見られていないからって、油断は禁物。窃盗団の殆どは身長170cm以下であることは既に把握しているよ」


「という訳だ。アンタらは大人しく捕まって置きな」


「畜生ぉおおっ!」


「離せよぉっ!」


 シロエは念話でC班と会話をしていると、ソウジロウ達の方へ向く。


「今、C班と連絡が取れた所だよ。これで十八人の窃盗団が捕まった」


「残るはあと半分くらいでしょうか?今の所は特に何もありませんね」


「そうだね。ただ、油断は禁物だ。引き続き警戒を続けよう」



 シロエ達は奮闘している中、その陰で廃棄されたビルから状況を窺っている四人の子供達が居た。


「ふ~ん、中々やるじゃねぇか。流石は戦闘系ギルドって所だな」


「あの子達、中々手強いね」


「だが、それでも俺達の方が有利だ。何せ、この人数だからな」


「どこがよ! もう大勢の仲間が捕まっているのよ! 私達、かなりピンチじゃない!」


「ヴォルト兄ちゃん、これからどうするんだよぉ~」


「落ち着け、お前ら。こういう時こそ、余裕をもって行動することが大事だ」


 窃盗団のリーダー格の少年は余裕そうな態度を取っている。


「ラビ、状況は?」


「うん、現在捕まっているのは十八人。残りは僕ら四人を含めて二十三人だね」


「これだけいれば十分だ。後は俺に任せろ」


 窃盗団のリーダーらしき少年ヴォルトはビルの屋上から隣のビルに移る。


「ヴォルト、無理しないでよね」


「分かってらぁ」


「ヴォルト~♡ アキバから出たらヨコハマでデートしようねぇ~!」


「うっせぇ!」


 素っ気ない声を上げながら、ヴォルトは単独で動き出す。


「さぁて、俺を楽しませてくれる輩がいるかねぇ?」


 ヴォルトは口元に笑みを浮かべながら呟いた。



「ハイ、捕まえたで―!」


「うわっ!」


「大人しくしなさいよ。全員纏めて神殿送りにされたくなかったらねっ」


 C班(リンリン、麗華、五十鈴、ルンデルハウス)も無事に子供達を捕獲できた模様だ。


「くそぉ、こんなの聞いていないぞ!」


「何で俺らがこんな奴らに捕まらなくちゃならないんだよっ!」


「お黙りぃ! あんたらみたいな悪ガキ共は、お仕置きせんといかんねん!」


 リンリンは怒りの形相で子供達を睨み付ける。その様子に周りの三人も呆れ顔になっていた。


「アハハハ……だけど、確かに窃盗はあまり感心しないねっ」


「これに懲りて、真っ当な〈冒険者〉になることだな!」


「反省するなら、今にでも許してあげても良いですわよ?」


「ぐぬぅ……うるさい! 俺達は大人なんかに屈したりしないぞ!」


「そうだそうだ!」


「はぁ? 何を言ってるの?」


「大人に屈したりしない? 君達は大人が嫌いだと言うのか?」


「そうだ! 僕達は子供だ! 大人の言うことを聞く義務はないんだ!」


「……成程、そういうことでしたのね」


「どういうことだ? ミス・麗華」


「彼らは〈大災害〉後、恐らくですが大人に反骨心を持っているのですわ。いいえ、持ってしまわれたのでしょうね」


「何だって? それは本当なのかい? 少年達」


「あぁ! そうだよ! 悪いか!」


「あ、貴方達……」


「五十鈴さん、どうやら彼らには彼らの言い分があるみたいですわね」


 五十鈴は窃盗団となってしまった子供達を見て、複雑そうな顔をする。

 そんな折、突如として念話が入って来た。


「もしもし……どうしたのミノリ」


『大変です、シロエさんから緊急事態の要請です!』


「緊急事態!? 何があったの?」


 五十鈴は驚いたように聞くと、ミノリは恐る恐る口を開いた。


『D班が……イサミさん達が、全滅させられました!』

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