零 渚のレクイエム
え、誰?
ああ、宇宙人さんなの。こんにちは。あたしは麗子。
でもごめんね。せっかく会えたのに。あたし、もうすぐ死ぬんだ。
どうしてって? うーん、もう疲れちゃったからかな。いろいろ。
だから助けてくれなくてもいいよ。でもありがと。最期にいいことあった気分。
この体を貸して欲しい? なにに使うの?
へえ、地球人と仲良くするために。
どうせ死ぬんだし、こんなあたしでよければ好きに使って。
あなたも大変だね。どこから来たのかわからないけど。きっと遠くから来たんでしょ。
お礼? いやいや、そんなのいいよ。もう死ぬし。
でもせっかくだから優しくて素敵な地球人と仲良くなって。
あなたはちゃんと幸せになってね。あたしにはできなかったことだから……。
どこにそんな人がいるのかって言われても。それがわかったら死んでないし、あはは。
お父さん、お母さん、ごめんなさい。麗子はダメな子でした。
昔はよく三人で海に来たね。ドライブして途中の酒屋さんでアイス買って食べたよね。
ごめんね、宇宙人さん。あたしもう行くよ。お別れだね。
さようなら。頑張ってね。
生まれ変わったら、あたしも優しくて素敵な人と仲良くなれますように……。
完
お付き合いありがとうございました。