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アイビーの夢  作者: 飛沫
1/1

親友の部屋

途中で分岐があり、選択によって結末が変わります。

 最近、親友の様子がおかしい。顔色が悪く疲れが取れないと言っていたのだが、数日前からついに学校を休み始めた。

 今日はちょっと強引だが、彼の部屋に押しかけてみることにする。


 突然の訪問だったにも関わらず、彼の母親は歓迎して招き入れてくれた。親友とはいえ部屋に入るのは久しぶりだ。

 彼はベッドに寝ており、頭まですっぽり毛布を被っている。

「突然来てごめん……大丈夫?」

 声を描けてみるも反応はない。寝ているのだろうか。

 カーテンが閉められているせいで部屋は薄暗く、空気も淀んでいるような気がした。

「窓、開けていい?」

 答えはないが沈黙は肯定と受け取ろう。

 カーテンを開け、窓を押す……が、なかなか開かない。鍵が掛かっていないことを確認し、力任せに押し開けた。

 ブチブチという音と共に緑色のものが顔に当たる。

「……っ!?」

 後ろに飛び退くと、垂れ下がっているのは濃緑の蔦だ。どうやらはびこる蔦が窓を覆っていたらしい。ベッドの軋む音に振り返ると、親友が状態を起こし、異様に光る瞳でこちらを見ていた。ちぎれた蔦の葉が1枚、ひらりと机に落ちた。それを拾おうと手を伸ばした際に、見覚えのない写真が目に入る。

「この写真って……」

 彼は横になり、質問を拒むように背を向けた。

 写真に写っているのは3本の薔薇の花。そのうち1輪は蕾だ。怖いほどに美しい紅色に目を奪われた。

 特に変わった写真ではない。それなのになぜか、気になって仕方がなかった。


 長居するのも迷惑だろうし、そろそろ帰ろう。

「えっと、まぁお大事に」

 様子が普通ではないのが心配だがどうすることもできない。

 ドアノブに手を掛けた時だった。

「立ち止まってはいけない……引き返してはいけない……見つめてはいけない…………」

 掠れる声が微かに聞こえた。

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