親友の部屋
途中で分岐があり、選択によって結末が変わります。
最近、親友の様子がおかしい。顔色が悪く疲れが取れないと言っていたのだが、数日前からついに学校を休み始めた。
今日はちょっと強引だが、彼の部屋に押しかけてみることにする。
突然の訪問だったにも関わらず、彼の母親は歓迎して招き入れてくれた。親友とはいえ部屋に入るのは久しぶりだ。
彼はベッドに寝ており、頭まですっぽり毛布を被っている。
「突然来てごめん……大丈夫?」
声を描けてみるも反応はない。寝ているのだろうか。
カーテンが閉められているせいで部屋は薄暗く、空気も淀んでいるような気がした。
「窓、開けていい?」
答えはないが沈黙は肯定と受け取ろう。
カーテンを開け、窓を押す……が、なかなか開かない。鍵が掛かっていないことを確認し、力任せに押し開けた。
ブチブチという音と共に緑色のものが顔に当たる。
「……っ!?」
後ろに飛び退くと、垂れ下がっているのは濃緑の蔦だ。どうやらはびこる蔦が窓を覆っていたらしい。ベッドの軋む音に振り返ると、親友が状態を起こし、異様に光る瞳でこちらを見ていた。ちぎれた蔦の葉が1枚、ひらりと机に落ちた。それを拾おうと手を伸ばした際に、見覚えのない写真が目に入る。
「この写真って……」
彼は横になり、質問を拒むように背を向けた。
写真に写っているのは3本の薔薇の花。そのうち1輪は蕾だ。怖いほどに美しい紅色に目を奪われた。
特に変わった写真ではない。それなのになぜか、気になって仕方がなかった。
長居するのも迷惑だろうし、そろそろ帰ろう。
「えっと、まぁお大事に」
様子が普通ではないのが心配だがどうすることもできない。
ドアノブに手を掛けた時だった。
「立ち止まってはいけない……引き返してはいけない……見つめてはいけない…………」
掠れる声が微かに聞こえた。