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ある男と女の出会い(女の語り)

 私は王子に近づいた。

 王子と王子の婚約者の仲が良くないことは噂になっている。

 王子の言うことを平然と拒否して、どこかへ去っていく王子の婚約者。いつもそんな飄々とした彼女に対して睨みつけている王子は悔しそうだった。「自分の方が位が上なのに」と言っている姿も見られた。地団駄を踏んで、はしたない音を立てるところも見たことがある。


 私はこの二人の仲を引き裂いて、自分が次期妃の場に収まることを考えた。もちろん、私は次期妃という場のみではなく、将来絶対に妃になる女だ。こんな風前の灯みたいな二人の仲は簡単に脆く崩れ去るだろう。元々破局寸前のような仲だったものね。


 私は王子の元に赴いて、王子に笑ってあげた。彼の言うことには従順になり、耳を傾けた。

ふふふ、顔が良くなかったら、絶対に結婚をしようとするなんて思わないタイプ。だって、彼わがままなんだもの。


「僕の話、聞いてくれてるの?」


「僕の好きなところを言ってみて?」


「僕は次期王だよ? 君は僕の前に立ったらダメだよ。慎まやかでいないと。あんな女と一緒になってしまうよ」


 自分に酔いしれているのではないかと思うような数々の発言。しかも、他の女と比べる男は最低最悪な男だ。どれだけ、自分のことばかりを考えているのかしら。脳天をかち割って脳みそを見てみたいわ。あなたの容姿が整っていない。次期王様だという決定打、その紫の髪色ではない。この場合は、私はあんたと付き合ったり、話したりすることはなかったわ。こんな自分のことしか考えていない男なんてごめんよ。ご機嫌をとるのに一苦労するもの。


 あなたの価値はその人目をひく容姿と次の王様であるというステータス。その紫の髪がなかったら、絶対にあなたの隣にいようなんて思わないわよ。せいぜい、私のために王様になってちょうだい。あんな女と比べたことは一生根に持ってやる。私の方が美しいに決まっているのだから、比べる価値もないというのにね。本当に男としては無能なやつよね。普通はこんな美しい女がいたら、跪いて褒めてもいいくらいなのに。


 手始めに、あなたが王様になったら、私は国の財産を好き勝手に使わせてもらうわ。その権利を手に入れるために、私はあなたを見事に操ってみせる。早く私がエリオットの隣で本当の笑みを浮かべられるようにして欲しいわ。


 エリオット、お願いよ。早く王様になって、私をあなたの妃にしてちょうだい。


 うっとりと未来へと思いを馳せる。私より地位が低くなったなら、あの女の屈辱的な顔をするだろう。私はその未来をを想像しながら、偽りの仮面をつけて彼の側にいる。

Copyright(C)2018-莱兎/世理

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