2/129
第1話:火矢
トスッ パチパチパチ・・・
耳元に聞こえる微かな音に
深い眠りからまどろみへと移行する。
あ・・・れ・・?
私・・・ ここでなにを・・・
「ぅあっちぃっっっっ!!」
耳元を抑えてその原因を確認すると
耳元に火矢。なぜに火矢???
鬱蒼としげる草むらから ガサガサとかき分けてくる音。
「ブキーッ」
「ひっ ひやあぁぁぁぁぁっ!」
冗談ではない、豚のような人間?が
矢や剣を構えて向かってきていた。
なんで?なんでなんで?
私はさっきまで草むらの中でのたうっていたはずだ。
じわじわと思い出してくるが
あーこれ死んだんだわ そして異世界転移?にしては
最初からハードモードすぎやしないかい?
とにかく走り出す。体がガクガクだ。
だれか!!おまわりさん!!この世界にゃいないか
とにかく前へ! もちろん真っ暗な森の中で走れば
坂もあるわけで。私は暗闇に転がり落ちた。
「わあぁぁぁぁっ!!」
ザブンッ
運良く水に落ちた。深いけど細い川の様子。
暗闇で見えたのは向こう岸に
複数のテントと明かりがうつっていたから。
助かった。その時はそう思った。