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振り返ればあやかしがいる。  作者: アイザワ咲香
第零章 僕が死んだ日の話
6/12

「オオカミ、お前も決めてもらったらどうだ?」

「いや、俺は……自分で考える」


 僕には名付けてほしくないようだ。

賢明な判断だと思う。


「そうだな……。『大神』はどうだ?『オオカミ』の『カ』を変えただけだが、人間っぽくて良い名前だろ?」


 オオカミは満足げに笑う。


「シャッシャッシャッ!『犬神』の方がよくない?」


 突然独特な笑い声が聞こえた。

声のした方を見ると、少女がにやにやと笑いながらこちらの方に向かって歩いて来る。

少女は赤いリボンのついた黒いセーラー服を着ており、腰まで伸びた髪も同じように黒かった。

しかしそれとは対照的に白い肌をしており、リボンの赤がよく映えている。

普通の少女に見えるが、左側の頬にはうっすらと鱗が浮びあがっていた。

オオカミはその少女を見て、嫌そうな顔をする。


「お前、何の用だ」

「さぁ?」

「貴様……!」


 オオカミは唸り声をあげる。

僕はどうしていいか分からず、頭上を見る。カゲロウはいつの間にか頭の上から降りており、雑草をちぎったりして遊んでいた。


「カゲロウ、あれほっといていいの?」

「ほっとけ、いつもの事だ。あいつらは顔を合わせるたびに喧嘩しておる。――犬猿の仲というやつだな」

「犬猿……。あの子はサル?」

「いや、蛇だ」


 人間同士でも犬猿の仲という言葉使うし、使い方は間違っていないのだが……片方の見た目が犬であるため、若干違和感を感じる。


「そんなに怒らないでよ犬神さん」

「大神だ!」

「犬神の方が似合ってるよ。犬なんだから」

「犬じゃねぇって言ってるだろ!俺はオオカミだ!」


 喧嘩は収束する気配がない。

カゲロウはチラリと横目で二人を見ると、ため息をつきながら立ち上がった。


「仕方ない。母上を呼ぶか」

「呼ぶって……どうやって?」


 カゲロウは何も答えず、僕に向かって言った。


「母上、来てくれ」

「ぼ、僕に言われても……」

「貴方じゃないわ。私よ」


耳元で色っぽい声がし、肩に手を置かれる。

慌てて振り向くと、白い髪の綺麗な女性が立っていた。


「こんにちは、アカシ君」

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