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振り返ればあやかしがいる。  作者: アイザワ咲香
第零章 僕が死んだ日の話
5/12

 僕は子供を頭にのせ、木造住宅の立ち並ぶ街をオオカミと共に歩いていた。

今から子供の家に向うらしい。

始めはいたるところにいる付喪神に驚き変な目で見られていたが、だんだん慣れ、今では普通に歩けている。


「ここが日本じゃないとすると、お前は一体ここをどこだと思っておったのだ?」

「まぁ、天国とかそういう類の……」

「ガッハッハッ!なるほどなぁ」


 オオカミは大きな口で笑う。


「まぁ、お前さんが勘違いするのも仕方ない。地図には乗っていない場所だからな。――別次元とでも言えばいいのか?」

「いや、ワレは平行世界の方がわかると思うぞ」


 別次元、平行世界……全然わからない。


「まぁ、難しく考えるな。お前さんが住んでいた世界のお隣さんだと思っておけ。山の上にある鳥居をくぐれば、お前さんがいた世界に行けるからな」

「え、僕がいたところに戻れるんですか?」

「戻れはするが……。人間としては戻れないな。それでも行きたければ、俺が一緒に行ってやるよ」

「ワレも行くぞ!」


 そういえば、僕は死んだんだった。


自分があまりにも元気なため、死んだことを忘れかけていた。

僕は生きていた時のことを思い出すが、常日頃ベッドの上にいたため、あまり思い出がない。


でも、いつかは僕がいたところに行ってみたいな。……両親の様子も見たいし。


「じゃあ、行く時はよろしくお願いします」

「任せとけ!」


 オオカミは自分の胸を軽く叩いた。


「そういえば・・・」


 僕はふとあることを思い出す。


「今更ですが、お名前聞いていませんでしたね。――僕はアカシといいます」


 僕が名乗ると、二人は顔を見合わせて困った顔をする。

あれ?聞いたらダメだった?


「あの」


 僕が声をかけると、子供が申し訳なさそうな声で言った。


「すまんなアカシ。ワレには名前がない」

「え?」

「ワレだけではない。――妖には名前がないのだ」

「基本的に俺ら妖には親がいない。気がついたら妖として産まれていたんだ。だから、名付けるやつがいないんだよ」


 オオカミは「悪いな」と謝った。


「じゃあ、普段はどうやって呼び合うんですか?」

「見た目で呼ぶぞ。ワレの事は皆『坊っちゃん』と呼ぶ。母上が『あねさん』と呼ばれているせいだろうな。ちなみに母上と父上はワレを『息子』と呼ぶぞ」

「俺は『オオカミ』だ。……『犬』と呼ぶクソ野郎もいるがな」


 オオカミは大きな舌打ちをする。

余程犬と呼ばれるのが気に食わないようだ。


「しかしまぁ、そうだな。名前を今決めるのも面白いかもしれん」


 子供は楽しそうに笑う。


「アカシ、ワレの名前考えてくれないか?なんでもいいぞ」

「僕が決めていいの?」


 子供は大きく頷く。


「あぁ、よいぞ。是非かっこいい名前を」

「じゃあ、カゲロウで」


 僕はさっさと決める。


「安直ではないか!?」


 カゲロウは不満げだが、僕の場合こういうのはあまり考えない方がいい。


「昔、ゲームで主人公のペットの名前を決める事があったんだけど、決まるまで2時間かかった」

「2時間!?」

「さらに後日、名前が気に入らなくなって変更したんだけど・・・何になったと思う?」

「いや、わかるわけがないだろ。どんなペットかもわからんし」

「変更前はポチ」

「犬だな!ていうか、二時間考えてそれか!……で、変更後は何になったのだ?」

「いぬ子」

「名前を考える才能ゼロか!!」

「まぁ、そうなんだろうね。――カゲロウから変える?」


 カゲロウは頭を抱えながら首を振った。


「カゲロウで良い。お前が考え直したところで『カゲ男』とかふざけた名前になりそうだからな」


 僕は驚く。


「なんでわかったの?」

「……冗談で言ったのだが」


カゲロウは盛大なため息をついた。



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