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第21話 〜迷宮前にて〜

いつも通り短いです。

もっといっぱい書いて、いっきにドン!ってやりたいんですけどなかなかねぇ……。

「この依頼(クエスト)でよろしいでしょうか?」

「はい」

「迷宮内は危険ですのでお気をつけ下さい」

「わかりました」


俺たちは一度、迷宮で怖い思いをしているので油断する事はないが、初心者の冒険者は迷宮を甘く見て、帰ってこない事が多々あるみたいだ。


「咲、迷宮に行くか」

「うん……ちょっと、まっ……」


俺は何か言おうとした咲を連れて外に出る。

ギルドの前は人通りの多い一本道だ。

多くの人が右から左、左から右へと忙しなく足を運んでいる。


「えっと……どっちだ……?」

「もしかして、分ってないの?」

「お、おう」

「じゃあ、なんで私の前を歩こうとしたのよ?私はてっきり分かってるものだと……」

「咲は知ってるよな?」


咲は情報量は誰もが認めるものなので知らないはずはない!と、思う……。


「私も知らないのよね……」

「て、事は……」

「戻ってギルドの人に聞くしかないね」

「ま、マジですか?」

「マジです」

「でも、恥ずかしくないか?一度、堂々と出て行ったのに、実は迷宮の場所知りませんでしたって……」

「そんなの仕方がないじゃない。知らないものは」

「さ、咲さん……」

「私は聞きに行かないわよ」

「その心は……」

「だって私はさっき聞こうとしていたのをりゅーくんが先走るから」

「そ、それは咲が知ってると思ったから……」

「はい、とっとと、聞いてくる!」

「はい……」


恥ずかしい思いをしながらも俺は何とか咲の場所に戻ってきた。


「それで、どこにあるか分かった?」

「バッチリだぜ!着いてこい!」

「なんか、急にどうしたの……?」

「なんだ?俺はいつもこんな感じだけど?」

「はー、もういいよ。付いていけばいいのね」


俺は咲を連れて、ギルド職員から聞いた場所に向かう。


「意外と大丈夫だったでしょ?」

「だ、大丈夫なわけないだろ!あの時の恥ずかしみは……」


咲はちょっと引きながら


「そ、それはお気の毒に……」


それから2人は少し気まずい雰囲気の中無言で迷宮へと向かい、15分ぐらい歩くと迷宮が見えてきた。


「あれじゃない?」

「うん、多分あれだな……」


この迷宮は初めて行った迷宮とはだいぶ、雰囲気が違い賑わっていた。

迷宮の入り口には色々な屋台が立ち並び、まるでお祭りでもあるかのようだ。

咲の表情が明るくなったと感じるのは気のせいではないだろう。


「よってみるか?」

「うん!そういえば、エラちゃんが迷宮に着いたら呼んでって言ってなかったけ?」

「そういえば言ってたな」


俺は自分の剣に向かって呼びかける


「エラ!エラ!おい!エラってば!聞いてるのか?一応迷宮に着いたぞ」


すると、剣が少し光ってから小さな少女が現れた。


「そんなに大きな声を出さなくても聞こえとるぞ、それに声なんか出さんでも念話も出来るでないか」

「そういえば、そうだったな。ははは」


俺は頭を掻きながら笑う。

俺とエラは念話ができるのだ。初めて会った時は他の人には見えず、俺が一人でブツブツしゃべっているみたいだったので、エラに教わったのだ。


「で、ここが迷宮だと?迷宮はもっと暗くて、不気味な所だと聞いていたのだがな」

「うん、俺たちも初めて行った迷宮とはだいぶ雰囲気が違うって話していたんだ。って聞いてないし……」


エラはいつのまにか前にある屋台に走って行ってしまっていた。

それを咲が追いかけている。

つまり俺は一人で喋っていた悲しい奴になっているのだ……。


「りゅーくん!こっち来てー」


どうやらしっかり俺の事も覚えてくれていたみたいだ。


よかった、よかった。


「今、行く」


2人の所まで行くと屋台から漂う、食べ物のいい匂いがして来た。


「龍二!これ欲しい!我に買いたまえ」

「確かにいい匂いはしてるが、それ食えるのか?」


このいい匂いとは裏腹にそこに並ぶのはカエルを燻製したようないわゆる下手物だ。


「龍二、これがいい。早く買え」

「わかりましたよ」

「そうか、買ってくれるんだな」


エラは上目遣いで俺を見る。

これが可愛くなければ何とも思わないのだが、何と言っても可愛いのでどうしても甘くなってしまうのだ。

たまには厳しかしないといけないのかな……。


エラにカエルの燻製(仮)を買ってやるとエラは嬉しそうにカエルの燻製(仮)にかぶりついた。

エラは一瞬目線を落として気がする。

俺は恐る恐るエラに感想を聞く。


「どうだ?うまいか?」

「ま、ま……」

「もしかして……不味いのか……」

「誠に美味い!」

「よかった美味かったのか、普通にうまいって言ってくれよ」


ま、ま、なんて言われたら『ま、ま、不味い』って言われると思った。


「よかったね、りゅーくんに美味しい食べ物買ってもらえて」

「うん!」

「それじゃあ、迷宮に行きますか」

「そうだね」

「よし、行くのじゃ」


俺たちは迷宮の入り口へと向かった。


♦︎♢♦︎♢


「そこの君たち、少し止まりたまえ」


道端に立っていた男に声をかけられた。

俺と咲はとっさに顔を隠す。エラはなんだか面倒なのが嫌なのか剣にいつのまにか戻っている。

忘れているかもしれないが俺たちは国王から追われている立場なのだ。もうここまで指名手配の通達が来ているかもしれない。

と、言うより来ているだろ。

今まで声をかけられなかったので余裕ぶってたのが失敗だったかもしれない。


「ギルド証をだせ」


俺たちは黙ってギルド証を出す。


「Dランクだな」

「はい」

「じゃあ、Dランク冒険者には5層より下層は危ないから進入禁止だ。しっかり守れよ」

「分かりました」

「じゃあ、効率良く稼げるように頑張れよ」


そう言って、男は初めの立っていた場所に戻った。


あれ?五層よりしたは進入禁止って、初めて迷宮に潜った時って何層だったけ?

もっと下層まで潜っていた気がするが……。

多分だが、王都にある迷宮よりも難易度が高いのだろう。

うん、そうだなきっと!


「りゅーくん、何してんの?早く行こうよ」

「おう!」


俺たちはそれから誰にも話しかけられることなく迷宮の入り口にたどり着いた。

次回で迷宮の中に入ります

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