第14話 〜冒険者ギルド〜
俺たちはハリスさんと共に隣町のエスカトールまだやって来た。
俺たちは移動中何度か魔物に遭遇した。
迷宮でいう、7から9層ぐらいで出てくる魔物だ。
うさぎを少し大きくしたようなバザークラビットなんど色々だが、ハリスさんが雇った護衛の冒険者が全て討伐してくれた。
「俺たちも手伝う」と言ったのだが、「冒険者にもなっていない未熟者は邪魔」だと言われてしまった。
そんな嫌味も何度か言われながら3日でエスカトールに着いた訳だ。
ここは首都に近い事もあって、俺たちが召喚された国、アストリア王国の中でも栄えている方だ。
俺たちはハリスさんにお礼を言って冒険者ギルドに向った。
冒険者ギルドは綺麗だった。
内装はしっかりとしていて様々な鎧や武器を持った冒険者達が賑やかに話したり、受付カウンターで何かしている。
クエスト完了の報告か発注でもしているのだろう。
掲示板には沢山の紙が張り出されており、魔物の討伐からお手伝いなど多岐に渡っている。
依頼一つ一つにランク付けされているようだがそれがどんな意味を成しているかは分からない。
とは言っても何となく想像は出来るだが……。
俺達は登録をするべく、カウンターに向かった。
「こんにちは。今回はどのようなご用件でしょうか?」
これは決まり文句なのだろう。
「えっと……、冒険者ギルドに登録したいんですけど……」
「はい、分かりました。新規登録ですね。少々お待ちください」
後ろで堀井と咲はうんうんと頷いている。
咲はともかく堀井はこの職員と話せなさそうだ。
可愛いお姉さんなのだが……。
空手で全国大会に出ていたような男とは思えない。
「お待たせしました。では、この書類に必要事項のご記入をお願いします」
「あ、はい」
そう言ってお姉さんから羽ペンを受け取る。
必要事項と言っても、名前を書く欄しか無かった。
「これだけで良いんですか?」
思わずそう聞いてしまった。
「はい、冒険者には身分など関係無いので」
たしかにこれだったらどんな奴でも冒険者になれる。
俺がサインしたのに続いて堀井と咲もサインをした。
ここの文字は日本語とは違うが、キリシュさんから教えてもらっていたので問題なく進める事ができた。
この国の文字は日本語全く違うが、読み方などがローマ字みたいな感じだっなので、比較的すぐに書けるようになったのはまた別の話だ。
「はい、ありがとうございます。では次にこの書類を読んでサインしてください。冒険者になるにおいての注意事項の紙です」
内容はこうだ。
まず、人に迷惑かけるような事は禁止。
具体的には自分以外の人が発注したクエストを自分が横取りするような事は禁止だ。
ギルドにある備品を壊してはいけない。
これは当たり前の事だ。
他にも当たり前の事しか書かれていない。
それから、冒険者はランクがあり、皆Fランクから始まるらしい。
そして、自分のランクの一つ上のクエストか一つ下のクエストしか受けれないらしい。
面倒な制度だ。
そして最後にこれらの事に違反した場合、登録を抹消する事があります。
と書かれている。
「よろしいでしょうか?」
「はい」
お姉さんが俺たちが読み終わったのを見計らって話しかけてくる。
「それではここにサインを」
そして、さっき読んでいた紙の1番下にサインを書く。
それをお姉さんは受け取ると、2枚1組にして丁寧に棚へと並べる。
そして、どこからか免許証ぐらい大きさの木片を3枚持ってきた。
「これに魔力を流しこんでください。それではリュウジさんから」
俺は木片に手を当てて魔力を流し込む。
すると、あら不思議!文字が浮き上がってきた。
リュウジ ドウカワ
種族:人間
職業:精霊魔法師
「これはリュウジさんの魔力にしか反応しません。身分証明書にもなるので無くさないでください。もし、無くした場合、再発行が出来ますが、2度目以降の発行にはお金が掛かるので気をつけてください。それではサイトさんこちらへ」
そして、堀井と咲が登録が済んだ。
「ランクの上げ方について説明します。さっきの紙にも書かれていましたが、冒険者ギルドではランクによって仕事が種類分けられています。これは、実力が無いものが強い魔物と戦って死者が増えた事によって作られたルールです。冒険者の命を思ってのルールなので、ご理解よろしくお願いします。そして、ランクの上げ方なのですが、発注したクエストをいくつか成功したら上がる事ができます。これはランクによって基準が違うので、その度にギルド職員にお聞きください。そして、逆に何度か続けて失敗してしまうと落ちる事もあるので気をつけてください。これで、冒険者ギルドについての説明を終わりますが何か質問はありますか?」
俺は堀井と咲の顔を交互に見る。
どちらも横に首を振ったので、特に何も無いのだろう。
「大丈夫です」
「わかりました。また、何かありましたら、ギルド職員にお聞きくださいませ。それと、皆さまはこれから一緒クエストを受けたりしますか?」
「多分そうなると思いますけど……」
てか、絶対にそうなる!
よな……。
「それでは、パーティーなど組んではいかがでしょうか?」
「パーティーですか……」
パーティーはもう少し討伐系のクエストを受けれるようになってからで良いと思う。
始めのほうはお手伝いクエストばかりで得意分野が分かれる。
1人ずつ、好きクエストを受けた方が効率が良くなる気がする。
まぁ、咲と堀井にも意見を聞くが。
「咲、堀井、どう思う?」
「私は今は要らないと思う。個々でやったほうが早く終わりそうだし」
咲は俺と同じ意見なようだ。
「堂川、お前はどうなんだ?」
堀井は自分の意見を言う前に俺に聞いてきた。
「俺も咲と同じで個々の方が効率が良いと思う」
「そうか、お前がそう言うんだったらそれが正しいだろう」
堀井ってここまで、俺を信頼してたっけ……。
なんだか裏がある気がもしない事も無いがここは何も気づいて無い事にしよう。
「じゃあパーティーはもう少し経ってからってことで」
「わかりました。パーティーを組むときは職員にお申し付け下さい。すぐに登録出来ますので。詳細はその時に」
「わかりました。ありがとうございます」
俺達はギルドを出た。
今日はクエストを受けずに明日から本格的に始めよう。
よし!次は宿を探すぞ!
宿はすぐに見つかった。
凄く安かった。
なんと、一泊が小銅貨3枚だ。
部屋はそれほど広くは無かったが、綺麗に掃除されていたので良い宿と言えるだろう。
ベットが3つあったのは特に良かった。
俺は久しぶりにベットで寝る事が出来たのだから……。
そして、ベットに潜ると10秒としない内に俺は眠ってしまった。
明日から頑張ろう……。




