その1
エイプリルフール企画で始めました!
私は嘘が嫌いなので嘘を本当にしましたよぉー
ではどうぞ!
座敷わらし― それは岩手県などに現れる精霊の1種
座敷や蔵にでては悪戯をするが見たものは幸せになれるという―
「ふぁ〜眠い…昨日何時に寝たっけ?」
コンビニにでアルバイトをし生活を食い繋いでいる男が品物を揃えながら言った
彼は自称ヒーローで困っている人がいればすぐさま助けに行く心優しい正義の味方だという
実際はしがないフリーターでありあれやこれやバイト掛け持ちしていて仕事と体のバランスが保てていない
そんな27歳独身男性と一緒にコンビニでバイトをしている後輩の女の子が喋りかけてきた
「田中さん?あくびなんてしてないで仕事してください荷物多くてこれじゃ日が暮れちゃいます」
彼女の名前は青木雛、高校生であり休みの日だけシフトで入っている
彼女のいうとうりこの調子だと現在午後の3時どのコンビニも仕入れ作業を入れている時間である
しかし田中はそんなこともお構い無しに大きなあくびをした
「昨日寝不足なんだよ、現役じぇーけーにはわからんよこの辛さは」
「おじさんのくせにコンビニバイトとかフリーターかって就活でもしたらどう?」
おませな生意気じぇーけーに的をいた的確なアドバイスいや煽りを田中は耳ではなく全身で受け止めた
彼のハートは硬かった
揺るがない心
それが彼がいつまでも就職しない理由の1つのであった
「就活なんてしませんーそっちこそ学生なんだからバイトなんてしないで勉強しなさいよ学べるのは今のうちだからね?」
「なにそれ、ちゃんと両立してるし!おじさんに言われる筋合いはないね」
「はいはいそーですか」
お互い痛いところを傷付き合い我に返り言い過ぎたとおもう
だかお互い謝らない
謝ったら負けだと思っているから
そんなこんなでバイトが終わり片付けをしている最中だった
急にサイレンの音が鳴り出し外が騒がしかった
救急車や消防車が何台もコンビニを通り過ぎる音が聞こえた
田中は何事かと思い急いで外に飛び出した
するとコンビニのすぐ近くの一軒家から火が出ていた
やがて屋根にまで登り火だるま状態になっていた
消防車が消化していても一向に消える様子がない
青木がコンビニから出てきて外の様子を見て驚愕した
「お疲れ様でーす、ってえ!なにこれやばすやばす!」
ちまたで流行っているのか変な表現をするが助ける様子もなく写真を取り始めた
田中は彼女の行動に苛立ちを覚えたがそれどころではない
すると消防士の方が人を抱えて崩れゆく家から出てきた
その女性が叫んだ
「中に!娘がいるの!まだいるから早く!あー!」
その悲痛な心叫びを聞いてある男は黙ってはいられなかった
昔から困っている人がいたら助けてあげるのが好きだった田中
その魂が今ここだと言わんばかりに己を鼓舞した
「ちょ!田中さん!?なにしてるの!」
生意気じぇーけーの言葉は男には届かなかった
男は気づいたら足が炎の中へ向かっていた
娘さんを助けなきゃその一心で走った
すかさず消防隊に止められるが振り払い
田中は火炎の渦に飛び込んだ
突如ピシッと音とともに炭化していった骨組みが砕け一瞬で崩れ去った
「田中さーん!」
青木の叫びは消火活動している音でかき消され本人には届かなかった
(昨夜午後6時ごろ岩手県二戸市において火災が発生しました直ちに消防隊が駆けつけたところ1家はほぼ全焼焼け跡から一人の遺体が発見されました重傷者1名軽い怪我は複数名いますが命に別状はないとのことですえー次のニュース…)
俺はどうしちまったんだ?体が重たい…ああそっか俺死んだんだ〜
あの女の子助かったかなぁまぁいっか最後くらいカッコイイことやれて満足…ってカッコイイかこれ?
男は無意識下のなか色々考えた今までの行いなどかまるで走馬灯の様にぐるぐる渦巻いている
すると中に小さな光が現れた
だんだん大きくなりシルエットが次第に見え始める
その姿は子供のようでなにか語りかけはじめている
しかし遠くの方にいるからかあまりよく聞こえない
「…かわ…きて…!」
曖昧だか一瞬ハッキリと聞こえた
「私の分かりに生きて…!」
その声で目が覚め起き上がる
その場見覚えのない場所であった
すると看護師が来て点滴を変えながら言った
「目が覚めたんですね、大丈夫ですか?具合の方は…なにか食べ…」
どうやらここは病院のようだ
田中は看護師の話を制し尋ねた
あの後現場がどうなったのか
俺はどうして生きているのか
知りたかった
だか看護師は話そうとはしなかった
答えを言えばどうなるとか話ではなく
言いたくないのかもしれなかった
田中が諦めかけた時に思い口を割った
「女の子が亡くなりました」
やはりそうかと田中は思った
期待していた答えいや予想していた答えだったがかなりショックであった
「そうですか…やっぱり俺助けられなかった…」
ヒーロー失格だ
なにが正義の味方だ
女の子ひとりも守れないでなにができる
彼は自分を責めた
助けてあげられなかった罪
俺はその罪を一生償うと決めた
だか看護師から思いもよらぬ回答がきた
「ご遺族の方が貴方に感謝したいと仰っていましたよ」
なにがなんだか分からくなった
どうして感謝されるわけだ?
田中はさっぱり分からなかった
むしろ助けるつもりが助かって普通怒るはずなのに
そう思ったのだ
続けて看護師が言う
「田中さんの勇気ある行動に尊敬したと、あの火災の中自ら入っていくのは貴方だけだったと」
男は泣いた
自分行動がやっと役に立ったいや助けになったことを実感した
いつも不甲斐ない自分が感謝をされたのだ
男はいつまでも泣いた
日が暮れるまで泣いた
夕暮れ時窓の外を見ると落ち葉が落ちていく光景が映る
どれほど泣いただろう
霞んでよく見えてはいなかった
「おじさんだいじょーぶ?」
不意に誰かに声をかけられた
周りを見渡しても誰もいない
空耳だと思い聞き流そうとするが
「ねぇってば!」
バッと寝ている布団に飛び飛んで来たのは
ぱっつんショートヘアで着物をきた4歳児くらいの女の子だった
目の色は青くその瞳はキラキラと輝いて見えた
驚きのあまり声がでなくなった田中
すると幼女がまた言った
「みぃちゃんだよ!よろしくね!おじさん!」
これから始まるのは俺の第2の人生なのかこの子の第2の人生なのかそれはまだ誰も知らない…
私の他の作品の「Eternal chair」もどうぞよろしくお願いします!