表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

鉄板

作者: クリプトン
掲載日:2018/02/05

ネタ作り…それは創作活動に携わる人なら誰しもが通る難関だ。

どうやらこの2人も相当高い壁にぶち当たっているようで…


    ミスティア・ローレライ…鳥獣伎楽メンバー。作曲担当。

    幽谷 響子…鳥獣伎楽メンバー。作詞担当。


    明転

    ミスティア・ローレライ宅。

    中央テーブルに向かう響子、紙を広げペンを持っている。

    奥炊事場でミスティアがお茶を淹れている。


    響子、頭を掻き悩む。そのままテーブルに突っ伏す。


響子 「あーもうダメだあ…」

ミスチ「何がダメなのよ」

響子 「全くフレーズが浮かばないの」

ミスチ「全く?」

響子 「出だしから」

ミスチ「絶望的じゃない」

響子 「そうなんだよ絶望的なんだよ」

ミスチ「だからこの前から言ってるじゃない。

    そんなに書くの難しいなら新曲はお預けにすればいいのにって」

響子 「そうやって半年も新曲発表を延期してるんだよ?

    流石に今回こそ出さないとやばいって」

ミスチ「そう思ってるのってきっと響子だけよ」


    響子にお茶を差し出す。


響子 「サンキュ。でも…みんなが良くても私が許せないの。だからこうして」

ミスチ「あら、見事に真っ白ね」

響子 「うう…」

ミスチ「どんな曲にするかは決まったの?」

響子 「それがどんなジャンルにしようかさえ決まってないんだ。

    ロック系にするかバラードにするか…

    いっそのこと冒険して民族音楽にするか」

ミスチ「ま、何だっていいんだけどさ。

    作るんだったらなるべく早くしてくれないと。

    それに合わせて曲作るの大変なんだから」

響子 「分かってるんだけどなあ…」

ミスチ「…そうだわ!随分前に作った曲あるじゃない?

    ほら、あの…恋の…恋の…」

響子 「『恋のキューカンバー』?」

ミスチ「じゃない、そっちじゃない方」

響子 「あ、じゃあ『恋のチェーンソー』だ」

ミスチ「それ!その曲出したときすごい反響あったの覚えてる?」

響子 「ああ、みんな口を揃えて言ってたね」

2人 「意味不明」

ミスチ「ね。あれは自分で歌ってても訳がわからなかったわ」

響子 「ひたすらチェーンソーの声帯模写してたもんね。

    ブルーン!ブルルーン!バリバリバリバリヴィーーン!って」

ミスチ「でもあんな曲でもファン投票でいっつも上位に入る曲じゃない?」

響子 「確かに」

ミスチ「…あれの続編作ってみない?」

響子 「え」

ミスチ「あのときはコテコテのパンクで攻めに行ったから成功したのよ。

    ガンガン歌って、ガンガン叫んで、ガンガンギターかき鳴らしてさ。

    だったらそこからヒントを貰えば…」


    響子、立ち上がる。


響子 「ネタにも困らない!」


    ミスティア、立ち上がる。


ミスチ「パンクバンドとしても面子が保てる!」

2人 「一石二鳥!」

ミスチ「ってことで響子!」

響子 「なんだ!」

ミスチ「次の新曲も叫ぶぞ!」

響子 「あいさ!」


    2人座る。ペンを走らせる響子。


響子 「叫ぶんだったら暴力的なワードがいいよね」

ミスチ「もちろん!硬くて凶悪そうなものだったらなお良し!」

響子 「硬くて凶悪…あっ!」

ミスチ「思いついた?」

響子 「鈍器はどうだろう?」

ミスチ「いいね!『♪どっどっどっ、鈍器ー』って感じで」

響子 「…それどっかで聞いたことあるなー」

ミスチ「あー…」

響子 「でも武器系の線はアリだと思うよ」

ミスチ「そうか、よーし!他何かないか?」

響子 「前のがチェーンソーなら…トマホークは?」

ミスチ「却下。弱そう」

響子 「そうかな?」

ミスチ「想像してごらんよ。(弱々しく)トマホーク…」

響子 「…」

ミスチ「(もっと弱々しく)トマホーク…」

響子 「んんーそうか…ダメだ、思い浮かばない」

ミスチ「そっか…」


    時計を見る。


ミスチ「あれっ!?響子、もうこんな時間だよ?」

響子 「え?…うわ本当だ!じゃあ今日はもうこれでお暇するね!」

ミスチ「うん。何か思いついたら連絡して?」

響子 「もちろん!じゃあね!」

ミスチ「うん。じゃあね」


    響子、上手にはける…がすぐに戻ってくる。


響子 「降ってきた降ってきた降ってきた!」

ミスチ「え?雨?」

響子 「違う!アイデアが降ってきたの!」

ミスチ「?」

響子 「…グレネードランチャー!」

ミスチ「おお!」

響子 「何かこう、決まるじゃん。『グレネードランチャー!』って」

ミスチ「いいね!それでいこう!」


    BGMスタート:「恋のグレネードランチャー」


響子 「♪止まらないこの思い」

ミスチ「♪君にズバッと届けたい」

響子 「♪胸を貫くほどの恋」

ミスチ「♪撃ち抜いちゃうぜ」

響子 「はい、ドーン!」

ミスチ「ドーン!」

響子 「ドーーーン!」

ミスチ「ドーーーン!」

2人 「ドーーーーーーーーーーーーン!」

響子 「♪死んでもご愛嬌」

2人 「♪恋のグレネードランチャー!」


    BGM F.O


ミスチ「…これだよ!これでもう一曲完成だよ!」

響子 「やったね!早速歌詞起こしてみるね!」

ミスチ「もう夜遅いよ?」

響子 「泊まる!」

ミスチ「また?」

響子 「いいじゃないの、この調子でガンガン曲作ろう!」

ミスチ「オッケー!」


    暗転

    響子、舞台中央に板付。スポットライト当たる。


響子 「こうして本番のライブは大成功!

    暴力的なパンクから落ち着いたバラードまで、何と全て完全新作だったんだ。

    特に『恋のグレネードランチャー』、あれはお客さんも大興奮したみたい。

    ま、ともあれこれで鳥獣伎楽の鉄板ネタができたってことで。

    私たちのお話はこれにておしまい!」


    暗転

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ