八話
次の日、アルセがメイアを迎えに来た。どうやら街の外から来た人のことを話したいらしい。
通学路をゆっくりと歩きながら話す。
朝日が道を照らして、少し眩しかった。
「どう思う? メイア」
「どうもこうもないわ。まず会えなきゃ判断できないでしょ。どんな人なのかしらね」
「さぁ。あれ以来具体的なニュースはやらないしね」
そう。外から来た人の情報は、一切出て来ていないのだ。だから想像ばかりが先行しているニュースが溢れている。
「会えないものかしら。外がどうなっているのか、聞いてみたいじゃない?」
「そうだね」
アルセが微笑んだ。
「メイアはこんな街嫌いだから、外の人の話を聞いて、できれば外の世界に出たいんだろ」
メイアはくす、と笑う。
「なわけないじゃない。私はこの世界を救うのよ。ヒーローになるの」
アルセは面食らったように目を見開く。
「メイアってそんなに善人っぽい奴だったっけ? 何だよ、例のニュースを見ておかしくなっちゃったのかい?」
「そうかもね」
メイアは目を細めた。
「外の人よりも話題になりたい。目立ちたいのよ、要は」
「なるほどね」
アルセは頷く。
「母親の血だね」
「あと、お父さんの血よ」
「あぁ……、お父さん」
アルセは申し訳なさそうに目を伏せた。
「気にしないで。気にしてないから」
メイアは微笑む。
二人は学校の目の前に着いていた。
「さて、また階段を上らなくちゃね」
アルセもほっとしたように笑う。
「毎度毎度地獄だよ」