七話
テスト期間だったので更新できませんでした。
申し訳ありません。
授業は毎回退屈で、家に帰ってもテレビを観ているだけで1日が終わってしまう。時々母を見かけるのは複雑な気持ちになるが。
だからメイアは、母が比較的出演しないニュース番組を好んで観る。と言っても、ニュースの内容も似たり寄ったりだ。なにしろこの街のことしかニュースにならない。世界にこの街以外の街があるのかさえ曖昧だからだ。それに、この街はとても狭い。だからニュースは青の羽社か芸能人のスキャンダル、天気のことくらいしかない。時々学校を取材したりはあるようだが。
「ニュース速報です」
ぼんやりとテレビを眺めていたメイアに、キャスターの声が耳に入る。
「街の外で、人間が発見されました」
目の前が真っ白になった。
テレビの映像が変わる。街の外、ゴミの積もった世界を映している。だが、メイアはそんなもの目に入らない。
この街の外に人間がいた。
その事実がメイアを打ちのめす。
「それを見つけたのは、私じゃなかった」
新たな発見をするのは、自分自身だと思っていた。
だから毎日街の外を見ていた。
けれど、メイアは何も見つけられなかった。
自分は特別ではない。主人公ではない。
きっと主人公は、街の外で見つかった人。
「つまんない」
メイアは呟いた。
母はきっと言うだろう。メイアはお母さんみたいに可愛いんだから、いいお嫁さんになれるわよ。そして幸せな家庭が築けるわ。こんな世界であってもね。と。
メイアは首を振る。
「私は、普通の女の子なんか嫌なのに」
メイアが憧れるのは、この世界を救えるようなヒーロー。青の羽社なんか目じゃ無いほどの、英雄。
「でも」
なれるの?
また、メイアの中に母の声が響く。
なれるわよ。私は女優。あなたはその娘。なりきるのは得意なはずでしょ?
「そうね」
メイアはまた呟く。
「私が主人公にならなくちゃ。街の外から来た人なんて、モブにしてやるわ」
だって私は、女優の娘だもの。
馬鹿にしていたはずの職業が、今はなんだか頼もしく思えた。