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ともしびスペース  作者: 厚木さめ
7/8

七話

テスト期間だったので更新できませんでした。

申し訳ありません。

  授業は毎回退屈で、家に帰ってもテレビを観ているだけで1日が終わってしまう。時々母を見かけるのは複雑な気持ちになるが。

  だからメイアは、母が比較的出演しないニュース番組を好んで観る。と言っても、ニュースの内容も似たり寄ったりだ。なにしろこの街のことしかニュースにならない。世界にこの街以外の街があるのかさえ曖昧だからだ。それに、この街はとても狭い。だからニュースは青の羽社か芸能人のスキャンダル、天気のことくらいしかない。時々学校を取材したりはあるようだが。

「ニュース速報です」

  ぼんやりとテレビを眺めていたメイアに、キャスターの声が耳に入る。

「街の外で、人間が発見されました」

  目の前が真っ白になった。

  テレビの映像が変わる。街の外、ゴミの積もった世界を映している。だが、メイアはそんなもの目に入らない。

  この街の外に人間がいた。

  その事実がメイアを打ちのめす。

「それを見つけたのは、私じゃなかった」

  新たな発見をするのは、自分自身だと思っていた。

  だから毎日街の外を見ていた。

  けれど、メイアは何も見つけられなかった。

  自分は特別ではない。主人公ではない。

  きっと主人公は、街の外で見つかった人。

「つまんない」

  メイアは呟いた。

  母はきっと言うだろう。メイアはお母さんみたいに可愛いんだから、いいお嫁さんになれるわよ。そして幸せな家庭が築けるわ。こんな世界であってもね。と。

  メイアは首を振る。

「私は、普通の女の子なんか嫌なのに」

  メイアが憧れるのは、この世界を救えるようなヒーロー。青の羽社なんか目じゃ無いほどの、英雄。

「でも」

  なれるの?

  また、メイアの中に母の声が響く。

  なれるわよ。私は女優。あなたはその娘。なりきるのは得意なはずでしょ?

「そうね」

  メイアはまた呟く。

「私が主人公にならなくちゃ。街の外から来た人なんて、モブにしてやるわ」

  だって私は、女優の娘だもの。

  馬鹿にしていたはずの職業が、今はなんだか頼もしく思えた。

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