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ともしびスペース  作者: 厚木さめ
4/8

四話

遅くなりました。

「ただいま」

  メイアがドアを開けると、きつい香水の香りが漂ってきた。

「おかえり」

  母親が笑顔で出迎える。

  年齢を誤魔化しすぎた顔で。

「そろそろ年相応な格好してよ、お母さん」

「あらやだ、私は生涯若くが目標よ」

  科学。

  それは、アンチエイジングも進化させた。不老不死にはまだ至っていないが、肉体の見た目の年齢はやすやすと誤魔化せる。

  母親の職種には、ぴったりの科学の産物である。

「で、今回はなんの役をしてきたの」

  女優が、母親の職業だ。

「女子高生」

  得意げに母親が言うのを見て、メイアは眉を寄せた。

「女子高生は流石に無理がない?」

「科学はすごいわ。どれだけでも若返ることができるんだもの。というわけで、女子高生の姿にまで若返ってきちゃった」

  星が瞬くようなウインクと共に、母親は笑う。

「本当、青の羽社はすごいわねぇ」

「青の羽社製品だったのね」

「そこ以外、信用できますか」

  青の羽社の製品は、他の企業よりも副作用が少ない。そして、大概の科学の産物は青の羽社のものなのだ。科学者をどこよりも有する企業、青の羽社。この世界をゴミ溜めのようにしたことにも、青の羽社に責任の一端はある。

「で? アルセに告白はしたの?」

  母親がにやにやと見つめてくる。

  メイアは言葉に詰まった。

「してないわよ、好きでもないし」

「嘘ね。あなた、アルセ以外の人とは関わろうとしないもの。アルセはあなたにとって特別。そうでしょ? ね? それはきっと恋なのよ。恋だわ。間違いないの」

  メイアはうんざりとした顔をした。

「次はなんの役をするのよ」

「恋する女の子」

「私をモデルにしないでくれる?」

  母親は、まだにやにやしていた。

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