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エッセイ

記憶を記録すること

「高校生の頃によく行っていた甘味処が店じまいしたよ」と、知人から聞いたのです。


 その店は、地方都市にあるデパートと商店街の中間にあって、かつては歩いて街の中心部を周遊するたくさんの人で賑わっていました。


 もう30年も前のことになりますが、当時の私は演劇部にも入っており、デパートの近くにあった市の公会堂で高校生の演劇大会があったときや、学校の文化祭で公演をした後などは「打ち上げ」と称してこの甘味処に集いました。


 もちろん、打ち上げ以外でも「打ち合わせ」によく利用していたのです。


 メニューは確か回転焼き、あべかわ餅、ぜんざい、かき氷といったものがメインだったと記憶しています。


 中でもブルーハワイという名前の、様々なフルーツがトッピングされて水色のシロップがかかったかき氷はみんなの憧れの的でした。


 何人もの高校生に回転焼きだけで粘られたらお店の方も困ったでしょうが、困ったようなそぶりは全くみせずに私たちに対応してくださったことには今でも感謝しています。


 今はデパートへ行く人も商店街へ行く人も少なくなってしまい、街の中心部は人通りそのものが閑散としているそうです。そのため、お店を維持することが難しくなっていたのでしょう。寂しいことです。


 そういえば、全国でアーケードが撤去される商店街が増え、多くの街で「旧市街」は、昔の景色とは全く別のものになっているとも聞きます。


 甘味処から歩いて5分の所にあった商店街もアーケードが撤去されたと聞きました。


 高校生の頃、黄色や緑色の大きな電球に照らされながらセーラー服の恋人と一緒に歩いた長い長いアーケード……。


 こちらも思い出が消えていくようで、大変寂しいことです。


 『消えゆく甘味処とアーケード』みたいなテーマで小説を書きましょうか……。いえいえ、小説というよりもルポルタージュの方がふさわしいかもしれませんね……。


 もし現地でいろいろなお話を伺ったら、おそらく寂しくて涙が出てくるでしょう。古くなったお店の中には朽ち果てて倒れそうになっている建物もあるそうです。きっと見たら悲しくなって泣いてしまいます。


 でも、いつか書いてみたい……。



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