奇襲
「大変だあっ」
ガラガラガッ、と立て付けの悪い扉を開けて声を荒げる青年は、この一室の中で、「情報要員」とも呼ばれる者だった。
「どうした悠介」
悠介は、自分の名前を呼んだ声の主を見つけると、気の所為か、それとも何かに怯えてなどいるのか、何時もよりも青白い顔で言葉を紡ぎ出した。
「リーダー……奇襲だ……!」
その瞬間、全員が悠介の方を向き、細やかな静寂を生み出した。
やばいんじゃないのか、そう誰かが呟いたのをきっかけに、室内に騒がしさが戻る。戻るというより、もう通り越す勢いで、音量は大音量まで上昇した。