禁断のくらら・アーリーディズ☆特別篇【夢から覚めた夢】後篇
コンコンと楽屋の扉がノックされ、ドアが開くとJJが顔を出した。
「お嬢、奈々ちゃん、今、リハ終わったんがケド。ボクのママがライブの前に、二人の為に1曲歌いたいから来てくれっテ。アノ曲を聴いて欲しいらしいヨ」
くららは驚き、
「もしかして、“Eternal Lover”?」
JJは優しく頷くと、
「しかも、アカペラだよ。早く来るサ~」
くららと奈々は、顔を見合わせると、
『行く~~』
慌てて楽屋を後にする。
ただその時に、くららのスカートのポケットから一枚の写真がヒラリと落ちた事を、誰も気付かなかった。
暫くして、楽屋にマリアママこと“マリア=カーレィ”が、本番前のブレイクを取る為に戻って来た。
足元に落ちている写真に気が付き、拾い上げる。
マリアは、いつこんなパーティーしたのかしら?と少し不思議がったが、自分の息子らしき人物がが写っている事に気付いた。
写真の裏にメッセージが書いてもあった。
『未来の何処かで・・・。龍之介』
自分の命のリミットがそんなに長くないと感じている彼女は、優しく微笑むと、ペンを取り龍之介のメッセージの下に追記した。
“I wish your destiny...with love,xox. Maria”
そして、未来の息子を頼もしく感じると、楽屋の壁に大事そうにピンで写真を止めた。
離れた位置から写真を眺め水で喉を潤していると、楽屋の扉がノックされ、くららが顔を出す。
「マリアママ、時間だよ。ライブお願いします」
マリアはくららを呼び込み、ハグをした。
そして、色々な意味を込めて小さくサンクスと呟き、ステージに向かう。
くららは後ろを追い掛けた。
無くしてはいけないものを見失わない様に・・・。
マリア=カーレィ最後のステージが、始まろうとしていた。