禁断のくらら・アーリーディズ☆特別篇【夢から覚めた夢】前篇
大座談会の続きと、今後始まる予定の“禁断のくらら・アーリーディズ”の予告編を兼ねています。
「くらら・・・」
柔らかく透き通る声が楽屋のテーブルに突っ伏して眠るくららに、呼び掛ける。
《アタシを呼ぶのは・・・》
「くらら・・・、くらら・・・」
声の主はかなり小柄な女の子である。
《もう少し、もう少し、このままでいさせてよ・・・、久しぶりに会えたんだから・・・》
「くらら・・・、起きてよ・・・」
声だけでは起きないと判断したのか、女の子はくららの身体を揺すりだす。
《えっ?なんで揺れてんの?》
「くらら、マリアママのライブ始まるよ。起きないと~、くらら~!くららが企画したんでしょ~。」
焦った女の子はかなり必死に揺り起こした。
《えっ・・・?、ライブ・・・?、マリアママ・・・?、アタシが企画・・・?ライブ?ライブ!》
ガバっとくららは跳ね起きる。
「奈々、ゴメン。アタシ、夢見てた」
奈々と呼ばれた女の子は、少し呆れて、
「あれだけ深く寝入るのは、よっぽど疲れていて、でも、それ以上に楽しい夢だったんだね?あのヒトでも出てきた?」
奈々は子猫の様に悪戯っぽく笑う。
尤も、奈々自身は子猫というよりは、子犬。
しかも、ツインテールにしているので、《パピヨンみたいだわ》と密かにくららは思っているのだが・・・。
「あのヒト?まさか」
くららの顔が朱くなる。
「図星の様ね。他に誰が出てきたの?ちょっと聞かせなさいよっ」
どんな夢を見ていたのか、奈々は興味があるようだ。
「でも、奈々、マリアママのライブ始まるんじゃ・・・」
「ううん、鉄さん達に言われて、早めに起こしたんだよ。ホントは、後、30分あるよ。くらら寝起き最悪だから・・・、はははっ」
奈々は少し呆れて笑う。
「とりあえず、これ飲んで、少し頭起こして、この奈々ちゃんに話してみなよ」
奈々はオレンジジュースの缶を差し出した。
「うん」
くららは手早く缶ジュースを開け、一口飲む。
軽くため息を吐く(つ)くと、
「奈々、話するけど、笑わんとってよ」
と念押しした。
奈々は頷く。