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6話 多分、月日が経てばイヤな出来事だけ忘れられ……るのだろうか?

   【6話 多分、月日が経てばイヤな出来事だけ忘れられ……るのだろうか?】


「クスクスクス……ふふっ」

 誰かの笑い声と、頬を撫でられるような感覚。 

「……こうすると……カッコいいかな? うふふっ」

 ――なんだろう? 俺は首を振る。

「あっ、やばっ。おきちゃう」

 声に目を開けると、少女の顔のアップがあった。大きな鳶色の目に金髪。この子には、見覚えがある。船着き場で会った少女、レイシアが俺の顔をのぞき込んでいた。

「あははっ。こんにちは! アマゾニスの島へようこそ!」

 笑いながら少女は体を離す。俺はぼんやりした頭を軽く振って立ち上がろうとして、体が動かないことに気付いた。

「……なんだこれ?」

 俺は、まるで祭壇のような作りの台上に寝ていた。手足は鎖で縛られ、まるで生け贄のような扱いだった。

 台の四方には柱が立ち、頭上の天蓋を支えていた。これが豪奢な部屋の中であれば深窓のお嬢様が眠る天蓋付きのベッド、ともなるんだろうけど、あいにく潮風吹きっさらしの砂浜にあるし、硬い板の上で背中は痛い。

 頭だけ上げてあたりを見渡す。もうすぐ沈むだろう太陽があたりを赤く染めている。少し離れた場所で数人の人影があった。全員、女だ。おばさんも若い子もいて楽しそうに話をしながら小屋のようなものを建てている。……あれはテキ屋のような……? まるで盆踊りか神社の祭りの準備をしているかのようだった。

 俺は再びレイシアに顔を向けた。彼女は船着き場で会った時とは全くかけ離れた格好をしていた。銀の飾りであしらえた革の鎧を着込み腰には、洋風の剣を下げていた。およそ一般的とは言い難い外見。

「えと……聞きたいことが山ほどあんだけど」

 俺は手足を拘束する鎖を鳴らす。

「まずはコレ外して欲しいんだけど」

 レイシアは大げさな仕草で眉間にしわを寄せる。

「ん~ざんねんだけどソレははずせないなっ。それに、しらないひとにはジコショウカイしましょう、ってコトワザしらないの?」

「……そのコトワザから君は何の教訓を得るの?」

「えっと? しつれいじゃ? ダメよ?」

 なんかとっても親近感がわいた。

「あははっ。ま、とりあえずこれ、いらない? のどかわいてるでしょっ?」

 人懐っこい笑顔でレイシアは俺の隣にしゃがむ。手には紙コップを持っている。

「おお! み、水ッ!?」

 自分がどれほど喉が渇いているかを思い知った。

「俺は、ゆうた! 『ゆうた』の『ゆう』は『YOU』なカンジで!」

「はいっ、YOUTA。ゆっくりのんでねっ」

 体を動かせない俺は、顔だけ伸ばすと彼女の差し出すコップに口をつけ、すするように呑み込んだ。

「ごくごく……? ッぶ! ブホーーーーーーーッ!?」

 吹き出した水を軽やかに避けるレイシア。

「か、海水じゃねえか!」

「あははははははっ! いまそこで! くんできたっ!」

「……テ、テメー……」

 波打ち際を指さしケラケラ笑う。やはりこいつは侮れないようだ。

「あはははは。ごめんごめんっ。さ、こっちがほんものっ」

 後ろ手に隠したもう一つのコップを出す。いくつか入っている氷が涼しげな音を立てた。

「……自由になったら覚えてろよ……!」

「あはははっ、しーらないっと」

 レイシアはクスクス笑いながら俺の頭に手を添え、口にコップを近づけてくれた。しなやかでひんやりした指。柔らかな髪が俺の頬にかかる。潮風に混じり女の子の良い匂いがした。シャンプーの香りだろうか? 

「ごくごく……? ッぶ! ブホーーーーーーーッ!?」

 また海水だった!

「あははははは! またも! またしてもあっさりと!」

 レイシアはおなかをかかえて笑い転げていた。

「あはっ! あははははっ! ……は、鼻からっ! 鼻からワカメがでてるぅうっ……あはははははっ!」

「こ、こ、このクソアマ……」

「あはははははっ! ふっ……ぐっ、げほっグホゲホッ、く、くるしっ! キ、キミ! あたしをわらいころす気っ……!?」

「いま死にそうなのは俺だよ!」


 レイシアはたっぷり1分ほど笑い転げた後、腰に付けたポーチからスポーツドリンクのペットボトルを取り出し俺に向けた。

「あー……わらったっ……ふふっ。さーこんどはしょうしんしょうめい、ほんものっ」

「……ホントだろうな?」

 おそるおそる口をつけるが果たして、それは普通のスポーツドリンクだった。夢中で一気に飲み干す。

「……おおお……生き返ったあ……」

「あははっ、ごめんね。でも、YOUTAのリアクションさいこうだったよっ、ふふっ」

「……クッ……。まあ、飲み物くれたからその点は多めにみることにしよう。そして俺の名前の発音は、自分で言っておきながら呼ばれてみると何故かムカッとするので訂正させてもらう。『ゆうた』で頼む」

「ん? わかった~。ゆうた、ね。わたしはね『レイシア』っていうのっ」

 レイシアは祭壇ベッドに腰掛けると海に顔を向けた。幼さの残る横顔が夕日に赤く染まる。潮風が彼女の髪を揺らすと光に溶けたみたいにきらきらと輝いた。

 俺はしばし、自分の置かれた状況も時間も忘れて彼女に見とれていた。彼女を構成するパーツの全ては神に祝福されたかのようだった。端正な目鼻。形の良い耳。細いうなじ。しなやかな腕。ほっそりした白い指先には、木炭。

「……木炭?」

 俺はハっとして自分の体を見まわした。

 腹に『2足歩行可』と書かれていた!

「テメー! 俺が寝てる間に!?」

「あははははっ! ばれちゃったっ!」

 レイシアは笑いながら立ち上がる。

「じゃ、わたしもういくねっ」

「あっ、待てこのヤロ! 状況がサッパリわかんねえよ!」

「がんばってね、ゆうた。わたしはキミをきにいったよっ!」

 レイシアは手を振りながら去っていった。

「クッ……なんて屈辱だ……」

 あたりはすでに暗くなりかかっていた。

「……がんばれってなんだろ?」

 俺はいつしか、再び眠りに落ちていった。


「ホレ! 起きろ!」

 何度も頬を張られる感覚……誰かが俺の頬を叩いている。

「ホレッ! 起きろというとるじゃろ!」

「……いでっ!」

 強烈な一撃に俺は眠りから醒めた。反射的に張られた頬を押さえようとしたが腕は動かない。俺の体はいまだ、縛られたままだった。首だけ動かして頭を上げようとすると、周りからどよめきが聞こえた。

「……なんだこりゃ?」

 俺を遠巻きに見るのは大勢の女達、だった。子供からお婆やんまで、全員、おんなだ。砂浜には大きな炎を上げる焚き火がいくつか置かれており、彼女たちを照らしている。

 異様な、光景だった。

 彼女たちのほとんどは古代ギリシャ人のような鎧を着込み、腰には剣をぶら下げている。まるで映画の中のような世界――と思いきや、手に持つのは……綿アメだったりパックの焼きそばだったり。俺を指さし笑っているのもいればケータイをこちらに向けてフラッシュを焚いている人もいて……と、あのケータイで写メってるのはレイシア、だ。視線が合った彼女は俺に小さく手を振る。隣にはなつめや可憐ちゃんの姿もあった。

「どこを見ておるッ、こちらを向け!」

「ッて!」

 惚けている俺の頬をまた何かがひっぱたく。

「――――なっ!?」

 死角で気付かなかった俺の頭上に上半身裸のババァが立っていた。頭には金の冠をかぶり衣服といえば腰蓑のみ。……腰蓑を衣類にカテゴライズ出来るかは知らないが。

「手間をとらすでないわ」

「……あのぅ……見知らぬおばあやん? 色々と――例えば俺の置かれた状況やそれに至る経緯、アンタらの衣装etc、お尋ねしたい事柄は山盛りなんですが……まずはこの質問からさせてください」

 俺は深呼吸した。

「――なんでおばあやんのチチはウネウネうごいてるの?」

「熟れきった? 女の神秘?」

「やっぱり! 俺をひっぱたいてたのはそれかッ!?」

「ホッホッホッホ! 女の乳に嬲られ起こされるなんぞ中々あるものではないぞ?」

「こ、こ、このババァ……! お、俺の『初乳体験』をそんなものでッ!」

 衝撃は、怒りへ……そして哀しみへと形を変えた!

「これからの長い人生きっと何度も思い返すであろう初乳体験をそんなタクアンで染めやがったな!? クッ!」

 気付くと俺は人目をはばからず泣いていた。

「ホーッホッホッホ!」

「はさんだりズリったりすんなぁ!」

「……さて。おぬし、名は何という?」

「ううぅ……っ、グスっ……お、おれの名前は、ゆうた……ゆうたTHE☆BOY……決して『☆』を忘れるな……ッ、うぐっ」

「ふむ。しかし、ゆうたTHE☆BOYよ。おぬし、酷いことになっとるぞ?」

 ウネウネチチがどこから持ってきたか手鏡を掴み、俺の顔を映した。

「額に肉とか書いてあるが?」

「レイシアちと来いやぁ!」

「あははははははっ!」

 レイシアは地面をバンバン叩いて笑っていた!

「全くやる気がなくなるわい……さて、ゆうたTHE☆BOY! ワシがアマゾニスを統べる女王じゃ! ……まぁ村長みたいなもん?」

 松明の幻想的な明りがババァを照らす。

「戦いは全て見届けた。前回の勝者サトルに頼りすぎていた感も否めないが、天より授かった運も勝負のうち! なにより最後の一騎打ちはなかなか見事じゃった。イニシエよりの習わしに則り……おぬしに我々アマゾニスと契る栄誉を授けようぞッ!」

「……ち、契るって?」

「そんなもん決まっておろう。おぬしの小ダネ、戴いてやると言うとるんじゃ」

 ……コダネ。俺は反射的にレイシア達を見た。

 心臓の鼓動は否応なしに早くなり生唾を飲み込む。

「……マジかよ……」

「さて。それではまずワシが相手をしてやるかのぅ!」

「……………………は?」

 俺は耳を疑った。

「ちょ、ちょと待ておばあやん! 俺の素敵なファーストオペレーションをなんでテメーとこなさにゃならんにょにゃ!?」

「ホッホッホ! ワシもヒッポリュテーの再来と言われた女だが……若い男とは久しぶりじゃ。胸が高鳴るわい!」

 ババァの胸は高鳴ると言うよりウネっている。

「お、俺に選択権はッ!?」

「おぬしは何を勘違いしとるんじゃ? そんなもんあるわけなかろう」

 ババァは俺に指とチチを突きつけた。

「ワシらを自由に出来るとすれば、それはワシらに戦いを挑み、勝利した者のみ! ワシらはアマゾニスの末裔! 古くは周りの国を襲い男を掠って子を作っていた部族よ。お前ら男なぞ子を作るための手段でしかならん。今のぬしは掠ってきた奴隷と同じじゃ! 身の程をわきまえい!」

 こ、これは話が違うんじゃ……いやどの話と違うかと言われても困るんだが。

「レ、レイシアッ? 助けてくれよ!? このクレイジーなおばあやんに何か思うところはないのか!?」

「……大ババさまのわざっ、すべてぬすんでやるっ!」

「盗まんでええわ! っつかこんなツッコミさせんな!」

「ホッホッホ! もうすぐワシにも『ツッコミ』するんじゃがの?」

「ヒィィィイイイーーーッ!!!」

 ウネウネと近づくタクアンに舌を噛み切ろうと決意した、その時だった。

「そこまでだッ!!!」

 砂浜に響き渡る怒鳴り声。

 松明に照らされ浮かび上がるシルエットに俺は希望の光を見た。

「マモル!?」

「そうさ! お前の無二の親友……マモルよ!」

 両手に竿を持ち颯爽と現れたマモル。傍らにはオヤジさんと古傷さんの姿もあった。

 ……やはり普通に無事だったようだ。

「フフフ……阿手内の勝利はお前だけのものではないぜ? 俺達がいたからこその勝利ッ! すなわち俺達にもハーレム権利が……ってあれ?」

 アマゾニス達を威嚇しながら歩み来るマモルが小首を傾げた。

「……ゆうた、オマエなにババァといちゃいちゃしてるの?」

 俺の顔はずっとババァのタクアンに撫で回されている。

「ウッ……グスッ……マ、マモルゥ?」

「……え~と……ケータイケータイっと」

「なッ、バカ、テメエッ!? 何写メってんだコラァ!?」

「……一斉送信、っと」

「ウ、ウォォオオ!? そんなんバラまかれたら俺の元々グレーチックなハイスクール☆ライフがドス黒いものにッ!?」

 泣き叫ぶ俺をよそにババァがずいっと前に出る。

「虎木亜の鮫……いや、サトル。久しぶりじゃのう……」

「大ババ……いや、ミチコ……六本木のバーで別れて以来、じゃな」

 二人の間に並々ならぬ因縁を感じた!

「祭りの騒ぎに乗じて上陸とはのう。よく来た、と言いたいところじゃがこの島で男どもに自由に闊歩されるとはアマゾニスの恥! ……皆の衆、引っ捕らえろ!」

 ババァの怒号にアマゾニスたちは一斉に動き出した。数百人はいるであろう女達は実に統率されたフォーメーションで……食べかけのたこ焼きやらリンゴ飴や水風船を非戦闘員らしき者に手渡し、代わりに弓や盾を受け取る。

「ゴミはこっちだよっ!」

 レイシアが大きなゴミ袋を持って走っていた。うむ、なんてエコロジー。

 月夜の浜辺に女戦士達がずらりと並んだ。

 皆、素肌に黒々と走る戦化粧を施している。手には半円形の盾、弓、槍、剣。さすがに、剣や槍の穂先は鉄ではなく木製だった。

 隊列を組んだアマゾニス達にババァが合図を出すと、彼女たちは鬨の声をあげた。

「マ、マモルちゃんッ! やっぱり出るのが早かったぞッ!?」

「し、仕方ないだろ古傷さんッ! ゆうたが俺より先に夏の思い出を、なんて思ったら体が勝手に……! 相手があんなババァと知ってたら止めなかったわ!」

「落ち着け、お前らッ! こうなっては仕方ないッ。ワシから離れるなよ!」

 ……マモルには後ほど何らかの形で復讐する事を誓った。

 抜いた木剣に月光を映し、アマゾニス達は押し寄せる波のようにマモル達に襲いかかる。

「やぁぁぁあああ!」

「い、いきますっ!」

 その先陣をきる一団になつめと可憐ちゃんの姿がある。

「……あれ? レイシアは行かないの?」

 彼女はまだ俺の足もとに座ってのんびりしていた。

「ん? めんどいし?」

「こ、こらレイシア! オヌシも行かんか!」

 ババァが叱りつけるが気にするようでもないレイシア。木炭を取り出すと飽きもせず俺の体に落書きを始める。……俺はもはや突っ込む気も失せていた!

「まっ、あれはたぜいにぶぜい、でしょっ」

 レイシアの指す方を見ると、既にマモルたちは大勢のアマゾニスに囲まれていた。大きな焚き火を背に3人は釣り竿を構える。……しかし何と異様な光景なのだろうか。

「……どう見ても夜釣りに来たオッチャン達が謎のコスプレ集団に襲われているようにしか見えんのだが?」

 じりじり包囲を詰めるアマゾニス達の中から、一人が歩み出る。

「久しぶり、ね。マモル」

 松明に揺れる黒髪の持ち主は、なつめだった。

「……なつめか」

 マモルの釣り竿がなつめへと向けられる。

「アンタは観毛内の連中みたいにみだりにケンカなんて売ってこなかったし、それに何より可憐のことで借りがあるけど……ここにいたっては容赦しないわよ。悪いけど覚悟してよね!」

 正眼に木剣を構えるなつめだが、意外な事に船着き場でクレオ達に向けた態度より明らかに柔らかく見える。幼馴染み、というやつだろう。なんか羨ましかった!

「ぜ、是非もなし! だ、だけど、可憐は……あいつは元気でやってるのか? ここにはいないみたいだけど……ま、まさか体の弱かったアイツのことだから入院してたり、まさかまさか死ん――」

「こ、ここにいますっ!」

 舌っ足らずで、鈴を転がしたような声。月に照らされマモルの前に現れたのは……巨躯で少女、少女けど巨漢、可憐だった。胸の前で手を組み、小脇にはゴツイ棍棒を抱えている。

「マモルさん……お久しぶりです」

「……ええと……ドチラサマ?」

「あ、あのっ、こんなじゃわかんないですよねっ。わたし結構背も伸びたし! それにそれに、今日は特に厚化粧だし!」

「そ、その声は……可憐……ッ!」

「そうです! 可憐です! 幼少時の事とはいえ、わたしはマモルさんとシキタリに則り勝負をし……そして、負けました。シキタリに従うならばわたしは既にマモルさんのモノ……」

 頬を赤く染めた可憐ちゃんに対してマモルは真っ青だ。

「マモルさんがこの島に滞在しても何ら問題はないと思うのですが……!」

「可憐、あんた……」

 なつめは構えていた木剣をおろす。

 だが、マモルは釣り竿を砂浜に投げ捨てた。その場にどっかり腕組みをして座り込む。

「……斬れ、なつめ」

「は? 何のつもり?」

「もはや……俺がこの島に来た目的は、果たされた……ッ! あんなに小さくて病弱だった可憐がこのようにゴツ、いやたくましく育ち過ぎた姿を見れてざんね、いやいや安心した。心残りはねえ! ひと思いにやってくれッ!」

 マモルは、頬を濡らしていた。普段おちゃらけてばかりで落ち込んだ姿なんて見た事のない悪友。彼はこの幼馴染みとの再会を心から楽しみにしていたのだ……!

 ざまあマモル!

「……ちょう待てや、マモルちゃん……」

 低く唸るような声を出したのは今まで黙り込んでいた古傷さんだった。その肩はぶるぶると震えていた。

「……幼馴染みが何人もいるどころか、すでにこの島のおなごを手に入れてるとは…………一体何が不満なんじゃあ! マモルちゃんだけズルイぞおおお!!!」

「うわ!? どうしたんだ、古傷さん!? 落ち着いてよ!?」

 どうやら古傷さんの中で何かが壊れたようだ。竿をかなぐり捨て、居並ぶアマゾネス達に手当たり次第ダイビングし始めた。悲鳴を上げながらもきっちりタコ殴りにするアマゾネス達。少し、古傷さんに同情してあげてもいい。

 あっさりと取り押さえられた古傷さんに、オヤジさんはため息をついた。

「やれやれ……。マモルも古傷も、こうなっては仕方ないかの。ここは期を待つとするか……」

 持っていた釣り竿を放り投げ、オヤジさんはマモルの脇に座り込んだ。

「何をしとるんじゃ。はよう縛ってしまえ!」

 ババァにせかされたアマゾネス達は、3人を俺の前へと連行し座らせた。

 月夜の砂浜は、再び落ち着きを取り戻した。

 アマゾネスの多くは、武装を解いて食べ物をつまみ始めたり、お喋りに興じたり。その中でレイシアやなつめ、可憐ちゃんなど若い子ばかりが俺たちの前にずらりと並び座る。彼女たちをよく見てみると……可愛い子も多くて……。だが、このままではその子達の誰一人とさえ仲良くなることも敵わないワケで。

 チチ丸出しババァは何やらブツブツ言いながら古傷さんを見ている。

「……その顔に傷の男……やはり、おぬし見覚えがあるのう」

「ヒ、ヒッ!?」

 古傷さんは顔面蒼白で震えていた。

「はッ? 阿手内島ではオヤジについでの腕っ節を誇りどんな荒海も恐れずスナメリを捕らえては犯してしまう色んな意味で猛者の古傷さんが、まるで生まれたての子鹿のように震えている……ッ?」

「お、同じホニュー類だし? は、肌もなめらかで弾力があるんじゃあ!」

 どうやら古傷さんの錯乱モードは未だ継続中のようだ。

「おお……思い出したぞい! おぬし、以前この島に忍び込もうとした男じゃな?」

「ヒッ!?」

「その傷はワシのチチがつけたものじゃ。また嬲られにきたのかえ?」

「ヒィィイイ!? い、いやじゃあ!」

 どうやらあのタクアンは凶器にもなるらしい。

 いや精神を破壊する兵器としては最高峰といえるが。

「……なんじゃお前らさっきから。そんなにこのチチが気にくわんのか? そいじゃ、ちと『化粧』を変えるかの」

 ババァは腰蓑から木炭を取り出し、タクアンに何やら文様のようなものを描きはじめた。 と、俺は目を疑った……! しなびたチチがみるみるうちに張りのある巨乳に姿を変えてゆく……!

「ホッホッホ! どうじゃ! これも戦化粧の応用じゃよ!」

「こ、このミュータント……チチだけ十代になりやがった……」

 マモルのおののく声。

「だが、なんか悪意のあるコラみたいで余計にムカツクぞ?」

「……あ、あのもんよう! ようちぇっくっ!」

「レイシア! チェックすんな……いや、待てよ……元々若く可愛いレイシアが使えば違和感なく、かつお手軽に?」

「あとでゆうたにかいてみよっと」

「レイシア! 俺に使ってどう……いや、待てよ……そのシチュエーションも男なら一度は味わってみるのも……?」

「話終わらんから進めるわ! ――ほれほれ? これならどうじゃ?」

 しびれを切らしたババァが古傷さんに襲いかかった。

「ぐッ!? そ、そんな得体のしれねえチチをワシに押しつけるなぁ!」

「ほいほほいほい! どうじゃどうじゃ!」

「クウッ! 感触は最高なのにツラはババァのそれ! ワシの体が……精神が……! 真っ二つに裂けそうじゃあ!」

「そぉれそぉれそぉれ」

「だ、だがワシも虎木亜の男……若い本物の乳を触るまでは負けるわけにはッ!」

「ぼいーんぼいーん! ……時々化粧を戻して巻いてみたり」

「ガァァァアアア!?」

 とうとう……古傷おじさんは絶叫とともに体を痙攣させ、そのまま動かなくなった。

「ぬぬ! こ、こやつ舌を噛み切りおった!?」

「ふ、古傷さん……最後まで意地を通したんだねッ」

 マモルは涙を流しているが……ま、多分生きてるだろう、普通に。いつものように。

「なんじゃつまらんのう。どれ次は若造、お前いってみようかの」

「……え?」

 ババァがマモルを舐めるようにみつめる。

「ヒ、ヒィッ!? タ、タクアンがっ! ゆ、ゆうた助けてくれッ!?」

 既に半泣きのマモル。俺は親友の危機に居ても立ってもいられなかった!

「……ババァ! 待ちやがれッ!!!」

「ゆ、ゆうた! 俺のために……ッ!」

「ええと、レイシア? 俺のケータイがポケットに入ってるはずなんだけど代わりに写メっといて?」

「ウ、ウオォオオ!? こんなんバラまかれたら俺の元々ヘヴィメタルなハイスクール☆ライフがデスメタルなものに!?」

 俺のポケットをあさるレイシアが首をかしげた。

「なにがちがうんだろっ?」

「……そこな美少女……おお、レイシアか。久しぶりだな、元気だった? ま、今はそんなことはいい。ちとここに座りなさい。――うん、それでいい。いいかいレイシア? ヘヴィメタルとデスメタル。この2ジャンルは確かに素人には一見違いが分からないかも知れない。が、実はそこにはコウモリと鳥のように大きな違いがあるんだよ。そもそもヘヴィメタルっていうのはだね、1970年代後半に――」

「ババァ。マモルこの話になると長いから次いって」

「お、おう? さて……ムッ? 若造、おぬし初めて会うはずじゃのに……どこかで見たような?」

 現実逃避に失敗したマモルはブンブン首を振る。

「いや……その面影……! も、もしや?」

「――そうじゃ」

 今まで黙って夜空を仰いでいたオヤジさんがつぶやく。

「……十数年前の大凪潮の年、ワシとお前との間に出来た……マモルじゃ」

 オヤジさんは頬を染めていた。

 言葉を失うババァとマモル……。

「そ、そ、そそそんな……!」

「ウネウネウネ(チチがうねっている)」

「こっ、こんな再会シチュもこんな母親もいやだぁあああああああああ!」

「あ、レイシア。これもちゃんと撮って。題は『海女僧島の夏~ミラクル再会~』で」

「かんどーてきなばめんだねっ……グスッ」

「これは感動の涙じゃねえんだよ!」

 フラッシュに焚かれながらもレイシアに突っ込むことは忘れないマモルだった。

「そうか……息子よ……」

「ウゥッ……グスッ……こんなストレンジャーが俺の……グスッ」

「どれ。立派に育ったワシの息子。味見してみるか」

「……W、WHAT?」

「最近はよく観毛内の連中が攻め込んでくるんじゃがの、皆叩きのめしてばかりで『楽しんで』ないわい」

「アアアアンタ! 認めたくないが俺の母親なんだろッ!? 親子でんな話があるか!?」

「……鮭は自分の生まれた川に戻ってくるという」

「ズ、ズボンを下ろすなぁああ!」

「息子……のムスコよ。十数年ぶりの里帰り。おかえりなさい……そしていただきます」

「ウワァァァアアアッ! た、助けて、おかあさーん!?」

「ん? ハーイ。おかあさんはここじゃよー?」

「ヒ、ヒィィィイイイーーーッ!!!」

 月夜に、長い断末魔が響いた。


「なんじゃつまらん……気絶してしまいおったか」

「……」

 マモルの髪が真っ白になっていた!

「さて、今度はゆうたTHE☆BOYの番じゃが」

「え、ええっ!? お、オヤジさんがまだいるじゃ……」

「ふふん。ヤツはこれからワシが連れて帰り時間をかけて楽しむことにする」

「……」

 オヤジさんは頬を染めていた。

「なつめ! こちらに来い!」

「は、はい!」

 名を呼ばれ慌てて前に出るなつめ。

「おぬし、こいつと契ってみよ」

「……へ? あ、あたしがですか!?」

「!?」

 俺となつめは、同時にお互いを見た。視線が一瞬絡み合い、慌てて目を逸らす。

 なつめの背後でアマゾニスたちの悲鳴とも期待ともとれる歓声があがったみたいだが、自分の胸の動悸の音の方が大きかった。

「おぬしももう16になるしのう。男を虜にする術を覚えても良い頃じゃ」

「16になるって、ま、まだ16なんですけど! レ、レイシア! アンタからも何とか言ってよ!?」

「なっつっめっ! それ、なっつっめっ!」

「盛り上げてんじゃないわよ!!!」

 アマゾネスたちはレイシアを中心に手拍子を始めていた。

「な、なっ……アンタたちも他人事だと思って……ッ!?」

 後ずさるなつめに、レイシアが不気味な笑顔で迫る。

「ふっふっふっ、なつめちゃんっ……! すうねんにいちどのお祭り、このみんなのもりあがりのなか……はたしてアナタはKYをつらぬきとおせるカナっ?」

「くっ!」

「それとも、このしまでさいきょうといわれるアマゾニスのせんし、なつめちゃんともあろうものがおとこのひとりやふたりにビビってるとでもっ?」

「レイシア……アンタ後で覚えてなさいよ……?」

 怒号と化したなつめコールの中、彼女はゆっくりと鎧を外し始めた。

 やがて、白い質素なワンピース姿になったなつめは目を閉じると一度深呼吸し、俺を睨む。

「さあ! か、覚悟しなさいよね! コ、コ、コダネを搾り取ってやるんだから!」

「えー……? コ、コダネとか言うなよ、年頃の娘が……わっ!?」

 なつめは首まで真っ赤にしながら言い放ったかと思うと、俺の体に馬乗りになった。

 一層沸き起こる女達の歓声と悲鳴!

「マ、マナ板ショー!?」

 すべらかで柔らかい太ももやらお尻の感触が腹にダイレクトに伝わり、俺は後頭部に疼きを感じた。……これは理性が焼き切れる寸前の印、だ。きっと。

 なつめは天蓋から降りているロープを引っ張る。と、四方に暗幕が落とされた。視界を閉ざす、厚い布。な、なんてエロスな作り……。

 かすかに入り込む焚き火の明かりに、なつめの姿がほのかに浮かぶ。

「……」

「……」

「……で、ど、どんな風にしてくれんの?」

「な、なにもするワケないでしょ!? バカじゃないの!」

 なつめのパンチが顔にめり込んだが、さして痛みも感じなかった。きっと俺の頭の中でイケナイ脳内麻薬物質がだだ漏れしているからに違いない。

 上気した頬に、潤んだ唇……慎ましく膨らんでいる胸、そしてへその上に感じる彼女の熱い体温。

「このまま少し待ってから出てけば皆も気が済むでしょうよ。その後はアンタ達を海に放り投げてやる……ッ!」

「ええっ!? 何て夢のない結末!?」

「ふん、そうだ。どうせなら皆に大恥晒しながら帰るといいわ!」

 なつめは立ち上がると俺のジーンズに手をかけた。口元は妖しく歪み、その目はらんらんと輝いている。

「う、うお!? ちょちょちょっと待っ……イヤーーーッ!」

 絹を切り裂くような俺の悲鳴と共に一気にジーンズは下ろされた。

「……何よこれ」 

 かろうじて、パンツだけは引っかかっていた。

 リビドーに突き動かされご起立された相棒によって。

「いやはや。わんぱくな相棒でお恥ずかしい。はっはっは」

「こっ、コレだから、お、おとこはッ! そんな汚いモノ踏みつぶしたげる!」

「危ねえ!? しょーがねえだろうよ! お前みたいな可愛い子にくっつかれたら誰でもこうなるわ!」

 すんでのところで相棒への踵落としを避けて立ち上がるも、間髪入れずになつめはパンチを繰り出してきた。目に見えぬほどの速さと回転数のコンビネーションブローが襲いかかる!

「か、可愛いとか! ど、どうせアンタもスケベな目的でこの島に来たんでしょ!」

「ち、ちげーよ!」

 別に違うことはないのだが一応否定しておく。俺は鼻血を出しながらも何とかなつめの両腕を掴む事に成功した。振りほどこうと暴れるが俺は渾身の力でそれを許さない。

「痛っ……! や、やだ、離してよ!」

 こ、これは……普段強気なあのコが時折弱いトコ見せちゃうと嗜虐心をえらいソソラれる効果!? ……と、そこで俺は重大な事実に気付いた。

「……ってゆーかさ」

「な、なによ」

「……なんで、俺、うごけるの?」

 足下には、ひん曲がって原型をとどめていない手枷と足枷。ついでに脱げた俺のジーンズ。

「し、知らないわよ! ってゆうか痛いって言ってるでしょ!」

「ぶっ!?」

 なつめの渾身のドロップキックが腹にめり込み俺は吹き飛んだ。暗幕を巻き込み砂浜を転がる俺に、アマゾネス達の悲鳴が上がるのが聞こえた。

「な、なつめちゃんっ?」

「レイシア! みんな! こいつを早く捕まえ――」

「……やっぱりさいしょはイタイもんなんだねぇ?」

「違うわボケーーーーーッ!!!」

 頭にかぶった暗幕を引きちぎると、目の前にはマモル達の顔があった。

「な、枷を引きちぎるとは!? アレスの帯もなしにどうやって!?」

 ババァの手には俺のウォレットチェーンが見えた。気を失ってるときに奪われた、のか。

 と、するとこの力は、なんだ?

 あのゴツイ手枷を引きちぎり、大の男をなぎ倒すなつめに匹敵する力。クレオとの戦いの時の無理矢理流れ込むような力ではなく、これはもっと自然、まるで元々自分の中に眠っていたようなものを感じる……!

「ゆうたくん、ぼやっとするなッ! 好機じゃあッ!!!」

 怒鳴り声にはっとする。オヤジさんが縛られたまま、口で何かを腹巻きから引き出すと俺に投げてよこした。拾い上げたそれは、伸縮式のコンパクトな釣り竿だった。

「ミチコ……いや大ババを討てえッ! 海女僧は小さくとも戦闘国家! 大将を倒せばワシらの勝ちじゃあッ!」

 確かにアマゾネス達は、まだ混乱している。俺は釣り竿を手にババァに向かおうとし、しかし足を止めた。

 目の前には、なつめが立ちはだかっていた。

 彼女は一度大きな深呼吸をすると木刀をこちらに向ける。

 怒りと屈辱のせいだろうか、頬を薄く朱に染め、唇を堅く噛みしめ――その姿には、微塵の隙も感じられなかった。

 俺は、覚悟を決めると釣り竿を握りしめる。

「なつめ……」

「……なによ」

 びっと人差し指をなつめに向けた。

「おまえのお尻、大きいけど柔らかくてとっても良かったですッ!!!」

「なっ!?」

 反射的に両手でお尻を押さえるなつめ。

「隙あり!」

 硬直した少女の足を払うのは、拍子抜けするほど簡単だった。

 ワンピースの裾をなびかせ倒れ込んだ彼女の下着はあらわになってしまい、反射的に隠そうとした彼女の手を見逃すことなく釣り竿で薙ぐ。

「あ……え、うそ!?」

 木剣は、主の手を離れ大きく弧を描き砂浜に刺さった。

「おおっしゃあッ! 俺の勝ち!」

 ぺたん、と砂浜に座り込んだなつめを横目に、俺は一直線にババァに向かった!

「ぬ、ぬぬぅ! ま、まさか!」

 動揺したババァに渾身の力で釣り竿を振り下ろす。

 このクリーチャーには遠慮はいらん!

 もんどり打って倒れたババァの顔に、俺は釣り竿を突きつけ声の限りに、叫んだ。

「この戦いはッ! 俺の! 勝ちだあああああ!!!」

 

 東の空は、うっすらと白んでいた。

 焚き火はすでに消えかけ先程まで空を支配していた月は海に沈もうとしている。

 俺を取り囲むアマゾニス達は、皆顔を見合わせ困惑の表情を浮かべていた。

「ホッホッホ……なかなかやるのぅ」

 ババァは笑いながら体を起こした。

「アレスの帯なしで、この腕前。そしてこの多勢に向かう勇猛な意志! おぬしならアマゾニスの相手にふさわし――」

「まだ、そんな事言ってるのかよ」

 俺はアマゾニスたちを見回した。

「シキタリとか子孫を残す為とか、選ばれた者だとかさ。そんなもんは知ったこっちゃねえ……」

 皆が俺を見ていた。

 レイシア、可憐ちゃん、地べたに座り込んだままのなつめ。……マモルと古傷さんはいまだ意識がない様子。合掌。

「お前らの言ってることにはなぁ! 『愛』がねえんだよ!」

「!!!」

 もちろん俺のやってる事にも言ってる事にも愛は微塵もないどころか、むしろ下心しか無いのだが、勢いというのはおそろしいもので、皆は雷に打たれたように立ちつくしていた。その中でひとり、レイシアだけが楽しそうに笑っている。

「あははははっ。オオナギシオのおまつりも、ここらでおひらきかなっ」

 アマゾネス達を見回してぱんっと手を叩く。

「カタチはどうあれ、わたしたちの負けだねっ。いちばんつよいなつめちゃんは1対1で負けちゃったし、大ババさまもこのとおりだしっ」

 ババァはため息をつくと、肩をすくめて見せる。

「つまり……わたしたちアマゾニスは征服されちゃったのですっ」

 レイシアはびっと俺を指さした。

「ゆうたっ! いまからあなたがっ、わたしたちのオウサマですっ!」

「お、王様……俺が!?」

 どっと沸く歓声と罵声。

「なつめちゃんもなっとくしてよね?」

 うつむいたなつめの肩は小刻みに震えていた。スカートの裾をぎゅっと握りしめ、その横顔には……光るものがちらりと見えて。

「お、おい。大丈夫か? ケガとか――」

「誰の……きいって……」

 俺の差し伸べた手を無視して、なつめはゆらりと立ち上がった。

 涙を浮かべた彼女はキッと俺を睨む。

「誰のおしりが大きいって言うのよーーーーッ!!!」

「ブホーーーーーッ!?」

 彼女の放ったケリは、見事に俺の顔面をとらえたのだった。



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