倦怠の季節
「例えば悲しみに質量があって、その切片みたいなものが道に落ちてるんだ。それがずっと続いてて僕はそれを辿っている。やがてある曲がり角で途絶える。目を凝らして辺りを捜すんだけどそれはそれっきりでどこにもないんだ」
「―――それで?」
「That's all.それだけ」
ただただ不毛な会話を延々と繰り返した。
嫌いなものは多く、それ以上にすべてがどうでもよかった。
常に瞼は重い。常に意識は混濁をしている。救いようがない馬鹿だなと自分で思っていたが、救われた自分というのも想像できなかった。
生きていくことが面倒くさい。その認識だけが僕の心を支配していた。揺るがない信念とも言えた。
高校二年の夏、僕は倦怠の中にいた。