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悪魔-デモンズ-  作者: 北郷 信羅
第6章 悪魔
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11,最強

 奏と信冶は苦戦していた。相手はたった1人の軍人。政府軍の実質の総隊長となっている賢吾である。

「信冶っ、下からッ!」

奏は叫びつつ、賢吾に向かって抜刀する。彼女の刀は左腰の鞘から右上方に向かって放たれた。と同時に腰を低く落とした信冶がその斬撃の下で水平に剣を振る。互いに互いの力を抑制することもなく、まさに最高のコンビネーションであった。

「ッ!」

しかし賢吾の実力は、それを上回っていた。奏と信冶、2人の攻撃を尽く受け流しているのだ。

「ぐッ……!」

それどころかすぐに反撃に転じ、奏たちを跳ね飛ばした。

「……強い……!」

信冶は焦りを隠せない。

「負けないッ!」

奏は、半ば自分に言い聞かせるように叫び、賢吾に向かって再び突進した。

「待っ、奏!」

信冶の制止も聞かずに、彼女は刀を振る。実際のところ、奏も焦っていたのだ。

「あッ……!」

奏の刀は、賢吾に止められる。賢吾は剣を振り上げて彼女を跳ね上げた。そして体勢の崩れた奏に素速く斬撃を放つ。

「……ッ!」

賢吾の剣は、ギリギリのところで信冶に止められた。

「ぐ……!」

しかし強引に割って入ったため、信冶の姿勢は乱れている。

「その子のためか。……いい度胸」

賢吾は剣を強く払った。賢吾の攻撃のタイミングがわずかに遅れたことで、奏は体勢を立て直してその攻撃を受けることができたが、同時に信冶の体勢が崩される。

「信冶ッ!」

次の瞬間、高速の斬撃が信冶を駆け抜けた。

「!」

信冶はなんとか防いで致命傷こそ避けたが、彼の守りの穴を抜けたいくつかの斬撃は信冶の肩や、腕、脚と体中に傷を負わせた。

「中途半端な戦いをする奴は……」

言いかけた賢吾に向かって、奏が抜刀する。しかし彼女の刀は賢吾に届かず、逆に強い力で地面に叩き付けられてしまう。

「……死ぬんだ」

地面に転がる奏を見下ろして、賢吾はそう続けた。

(勝てないっ……!)

奏は相手と自分との実力差を思い知る。

「奏っ……!」

信冶がなんとか起き上がってもう1度賢吾に斬りかかろうとした、その時だった。


 「……なんだ?」

建物の外で大きな爆発音が響いた。

「……ふう。ようやくここまで来れたな」

激しく燃え上がる炎の中から姿を現したのは、総一郎と修だった。

「何者だ?」

賢吾が問う。

「何者かって訊かれると、『杉田総一郎』って答えるしかねえな……、俺肩書きとかねえし」

総一郎が答える。

「お前名乗れば?」

これは修に向けて言ったものだ。

「名乗る必要なんてねえ」

修は吐き捨てるように言う。

「そうか。……まあいい」

そう言うと同時に、賢吾は動いていた。

「!」

次の瞬間、激しい金属音が鳴り響く。賢吾が素速く抜いて振り下ろした剣を、総一郎が受け止めたのだ。

「速……!」

奏が唖然とした様子で呟く。

「ほう……、受け止めたか」

賢吾は感心した様子を見せる。

「うわ、面倒くせえのに当たったなー……」

総一郎は苦笑して言った。

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