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悪魔-デモンズ-  作者: 北郷 信羅
第4章 訓練
23/58

2,課題

 6人は正史の自宅から数百メートルのところにある、彼の道場に入った。


「ここにいる間はこれを使え。真剣は俺が預かる」

そう言って、正史は5人に木刀を渡した。

「まずはお前らの力を見る。1対1で打ち合ってくれ。……奏と信冶、お前らからだ」

2人は頷いて、部屋の真ん中に進み出る。

「ここで打ち合うの、久しぶりだね」

奏はいつもの構えをとる。

「そうだね」

信冶も刀を自分の正面に構える。


 「よし、始め!」

奏の刀が蝶のように舞い、信冶を襲う。

「!」

信冶は右に左に刀を逸らすが、反撃に出ることができない。

「すご……!」

梓は呆気にとられている。

「信冶は戦闘スタイルを見直す必要がありそうだが……、刀の扱いに関して奏に教えることはもうないな」

正史も言う。

「あいつは……『心』の方か」

「心?」

梓が聞き返す。と、その時、奏の刀が信冶の左肩に当たった。

「そこまで!」

正史が叫んだ。


 「次、瑞紀と啓太!」

「えっと、私は……?」

梓が控えめに訊く。

「待ってろ」

正史はそう言ってから、

「始め!」

と再び声をあげた。

「手加減しねえからな?」

啓太は瑞紀の出方を窺っている。

「いらないよ、別に」

瑞紀も両手に短い木刀を握って啓太の様子を窺っている。

「来ないのか?」

啓太が挑発するが、瑞紀は乗らない。

「来ねえなら、こっちから行くぞっ!」

啓太が先に踏み込み、瑞紀に向かって刀を振り下ろす。瑞紀は冷静にそれを受け流した。しかし啓太はすぐにまた、攻撃を仕掛ける。


 「うわ、一方的だ……」

梓が呟く。啓太の容赦ない連続攻撃を、瑞紀は受け流すばかりである。

「そう見えるか?」

「え?」

正史の言葉に、梓は怪訝な顔をする。

「だって……」

「覚えとけ。ただガンガン斬り込むだけが攻めじゃない」

「でも……奏だってあんなに攻めてたし……」

梓は納得いかない様子で反論する。

「奏は『攻めることのリスク』を分かってる。だから勝てる。だが、啓太はそれを分かっていない。そういうやつは……」

と、ここで瑞紀が隙をみて啓太に斬り返した。

「うッ……!」

啓太はなんとか受け止める。しかし瑞紀は2本の短刀で素早く打ち込み、啓太の反撃を許さない。

「……このッ……!」

啓太は強引に刀を振ってその連打を止めると、再び斬り込んだ。が、中途半端な斬撃を瑞紀がかわすのは容易いことだった。


 彼の斬撃をかわした瑞紀は、がら空きになった啓太の体に一撃を入れた。

「そこまで!」

正史が叫んだ。

「……瑞紀はもう少しパワーが欲しいところだな……」

そう呟いたあとに、彼は梓の方を向く。

「よし、お前の番だ」

「はいっ」

「相手は俺がする」

「えっ!?」

梓は少し戸惑っている。

「早くしろ」

「え、でも……」

「何だ?剣術の訓練だから、魔法はなしだぞ」

正史が焦れったそうに言う。

「お年寄りに刀振るのは……」

「頭かち割ってやろうか?」

「梓、やってみ」

信冶が言う。

「勝てるもんなら」


 その数分後、梓は床に転がされていた。

「何、何この人ッ!?」

「師だって言ったじゃん」

信冶が言う。

「お前は基礎から叩き込んでやる」

正史が梓に言った。

「……さあ、個別に訓練するぞ」

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