天使?
青く青く広がる海
光の柱が降り注ぎ、海の中の生物はまるで踊っているようだ。
いや、実際に踊っていた。
半身魚、半身人の人魚たち。
空になった貝を笛代わりにし海の中の岩場で吹くもの、踊るもの、談笑するもの。
合わせて4人居た。全員女で、談笑している金髪の髪が二人、同じ顔をしていた。
長く豊かな髪が流れに合わせて漂っている。
「そういえば、見た?天使の夢を。」
「えぇ、見たわぁ。」
ふと音がやむ。
「ライヒット様、コリヤット様、それはどのような意味があるのですか?」
ブラウンの髪をしていた笛吹きの女がワクワクした目を向けた。
「私も聞きたいわ!」
踊っていた赤茶色の髪の女も笑顔を向けた。
「そうねぇ」
「じゃあ」
「「シュタイン王を呼んできて頂戴」」
抜群の掛け合いで最後は二人はもって言った。
「私呼んでくるわ!」
赤茶色の髪の人魚が元気に言った。
「ルーニー、お願い。それとトゥーディはジャカランダを持ってきて頂戴」
「は~い!」
のんびりとした声とは裏腹に、二人とも動きは素早かった。
「これから、面白いことが起きそうだわねぇ。」
「この海も、地上もね。」
全てを知っているかのように、二人はにこやかに微笑んだ。
*****
「シュタイン様!あれじゃないですか!?」
「何か、落ちてきますよ!」
「よし、言ってみよう。」
ライヤットとコリヤットはこの海でおこることを予言する双子だ。
時々どっちがどっちかわからなくなる。
ほくろが目の下にあるほうが、コリヤットだった気がする。
二人はオレを呼んでこう言った。
「「今から天使が天から落ちてくる。助けることでこの海は大きな安泰を得られるだろう。」」
「しかし天使は海では過ごせぬ。」
「そうねぇ、人間に預けてきなさい。」
そういわれ、指定された場所から少し顔をだし空を見ていたら、
少し先の場所で雲をかきわけ、上から人が降ってきていた。
勢いよく海に落ちるとそのまま深く沈んでいく。
追いかけて沈んでいく人をみると、唯の人間の女に見えた。
黒い髪に白い肌、不思議な衣服を見につけている。
落ちた勢いを海が受け止め、やがて女の体は少しずつ浮上してきた。
すると ぴくりと体が動き、うっすら目を開けた。
その瞬間、
「怪物!」
と叫び、もがきたしたが、直に空気を出し切ったのか、また意識を手放していた。
「あ〜あ、気を失ってますよ、この天使様」
「お前の目が大きすぎるからだ、ピクター。」
レモンくらいありそうな黄色い大きな目玉を持つ小さな体の魚が
シュタインの顔の前をちょろちょろ浮いている。
「私じゃありませんよ、シュタイン様の耳ですよ。ほらこの天使は人間と同じ耳をしてます。」
「こいつは人間だろう。なぜ降って来たのかはしらないが・・。」
シュタインは青緑の目に同じ色をしたギザギザの緑色の耳、青色の揺れる髪
そして半身が魚で尾をなびかせている。
シュタインは落ちてきた女を抱えると浜辺の近くの岩に乗せ 口付けをした。
「ヒュー かっこいい〜!」
「ちがう、ジャカランダの薬だ。しばらくすれば回復するだろう。」
「そんな貴重な薬を!」
「使わなければ、意味がないだろう。二人にもらったんだ。人間が来た。行くぞ。」
「はいはい〜。」
ちゃぽんという 水音とともに二つの影は消えて行った。