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第48話 僅かな生存者達

朝の更新3話目です。

 ガンマを倒したルーカスが、北側4階へと到着した。バートから合流地点を聞いていたので、彰人(あきひと)達より移動はスムーズだった。

 水面から上がって、頭を振る。海水が周辺に飛び散る。待機していた保安部の隊員が、ルーカスに声を掛けた。


「アンタだけか?」


「そうだ。少佐――バートはどうした? こっちに来ていないか?」


 ルーカスが確認した限り、バートの姿は7階には無かった。爆発物や銃火器が入った防水バッグは、1つだけだった。

 ならデルタを倒すか、逃げ切っている筈。ルーカスはそう思っていたのだが、保安部の隊員は首を横に振る。

 防水バッグと共に、どこへ消えてしまったのか。見ていないルーカスには、見当もつかない。

 バートの持ってた爆弾も無いと、火力が反撃してしまう。アルファを倒せるか、分からない。

 愚かな事をやった元上官だが、死んで欲しいとまでは思っていない。むしろ生きて、罪を償えと思っている。


「じゃあ彰人……日本人が来なかったか?」


「それならさっき来たよ、怪我した女性を連れて」


 どういう事だと、ルーカスが問う。保安部の隊員は隠す事でもないので、素直に説明する。

 メイジーがイタチザメの襲撃を受け、重症を負ってしまった。今は彰人達が、南側9階へ連れて行き治療中だ。

 しかし今は医者が1人も居らず、応急処置しか出来ない。医療スタッフは、多くが40階の居住エリアに居る。

 つまりそれは、医者たちの生存が絶望的だという事だ。夜勤もやっている医療エリアは、南側の36階にある。

 浸水していると、予想される35階の真下だ。仮に生きていても、ここまで上がって来る手段がない。


「だからその……早くハワイへ連れていかないと……その……」


「助からないってのか? 尚更不味いじゃないか」


 4階で待っていた者達は、既に現状を理解している。つまり、アルファを倒さないと逃げられない。

 急がなくてもいいなら、昼の12時を待てばヘリで定期便が来る。だが現在はまだ朝の7時だ。

 5時間も果たして、重症のメイジーが生きていられるか。助けたいなら、急いだ方がいい。

 ならば尚更、バートがどこに居るのかが重要だ。早くアルファを倒して、船でメイジーを運ぶ必要がある。

 これ以上の犠牲は、ルーカスも出したくはない。必要以上に人が死に過ぎている。


「まだ下で生きている人だって、いるかもしれない。早く潜水士を呼ばないと、間に合わないぞ」


 ルーカスが悩んでいると、誰かが歩いて来る足音が聞こえる。その足音の正体は、バートだった。


「アンタ、生きていたのか。どこに行っていたんだ?」


「振り切ったと思って防水バッグを回収したら、奴がまた戻って来てな。仕方なく5階の窓から海に出て、直接船着き場へ向かったのさ」


 デルタを電気ショックで倒したが、代償に防水バッグを失ったという。海の底へ沈んでしまった。

 火力が半減してしまう点については、代案があるとバートは言う。北側1階には、武装したヘリが2機あるという。


「ガトリング砲と4連装のミサイルランチャーを装備している。私と保安部は、あれでアルファを攻撃する。ルーカスは機雷を作ってくれ」


「俺は構わないが、相手は水中だぞ? どうやってヘリで攻撃する?」


「私を恨んでいるのだろう? ならば、狙ってくる筈だ」


 自らを餌に、巨大な魚を釣ろうという事らしい。大胆な作戦だが、そう悪くないかもしれないとルーカスは思う。

 あれだけ執拗に人間を攻撃する以上、所長であり全ての元凶であるバートは、一番殺したい筈だと。

 方向性が決まったので、ルーカスは遠隔爆破が可能な、お手製の機雷を製作に向かう。

 バートは残った保安部の隊員を集めて、ヘリでの攻撃準備を開始する予定だ。ありったけの弾を叩き込むつもりでいる。

 

「なあ少佐、何か水に浮く物はないか?」


「1階に使っていないブイがある。そこの君、案内してやってくれ」


「了解しました!」


 ルーカスは保安部の隊員と1階へ行き、使用されていないブイをかき集める。

 アルファは、20メートルもある巨大なサメだ。ダメージを与えるには、相応の火力が必要だ。

 最低でも、戦車を破壊する程の火力は必要だろう。威力を計算しつつ、ルーカスは機雷を作り始めた。


「俺は大丈夫だから、彰人に伝えてやってくれないか? ハワイへ向かう準備をしろと」


「さっきの日本人だな? 伝えておくよ」


 保安部の隊員に伝言を頼み、ルーカスは機雷の製作に集中する。メイジーを助けるには、急ぐ必要がある。

 素早く用意して、迅速にアルファを倒す。機雷を30分で作れば、8時前に戦いを始められる。

 10分で倒せば、8時半までには出発出来る。メイジーが助かる確率は、その分高くなるだろう。

 特別仲が良いわけではないが、助かって欲しいとルーカスは思っている。もうこれ以上、誰かが死ぬ必要はない。


「待っていろよ、デカブツめ」


 メイジーだけではなく、まだ懸命に生きているかもしれない人々。その全てを救う為、ルーカスは必死で手を動かす。

 アルファという人の手で生み出されてしまった、恐ろしい怪物を葬り去る。

 全てを終わらせてから、バカな事をやったバートをぶん殴る。そう決意して、機雷を作り続けた。

残りは夜に更新します。51話が最終話です。

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