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第44話 惨劇の始まり

本日4話目です。

 ルーカスとバートは、北側10階を泳いでいる。保安部の本部を目指して、慎重に進んでいる。

 海中は常に危険が付きまとう。どこかに潜んでいる、ガンマとデルタ。そして危険な生物達。

 気にするべきはそれだけじゃない。漏電している場所があれば、感電死の危険がある。

 様々な機械が北側には置かれており、大量の電気が使用されている。現在は予備電源なので、多少はマシだが。


「ルーカス、こっちだ」


「まだ着かないのか?」


「もうすぐそこだ」


 彰人(あきひと)達と別れてから、10分以上が経過している。結構な距離を、2人で移動して来た。

 足ヒレがなければ、もっと時間が掛かっただろう。素足の人間なんて、水中で出せる速度は遅い。

 プロの水泳選手ならまた違うだろうが、彼らはただの元軍人だ。海軍だったとは言え、装備ありきの話だ。

 泳いで移動するような任務なら、それ相応の装備を使用する。馬鹿正直に素足で泳がない。

 数分掛けて進んでいると、バートの宣言通り、保安部と書かれた看板が見えた。


「あそこだ」


 バートのハンドサインに従い、ルーカスは後ろを着いていく。中に入ると、複数の死体が浮かんでいた。

 どれも溺死のようで、襲われた形跡は見られない。だが死体の数が、あまりにも多い。

 災害の対応に集まって、海水で一網打尽にされたのだろう。ルーカスはそう判断した。


「酷いな……」


「仕方のない事だ。行くぞ」


 少しぐらいは責任を感じないのか。ルーカスは問いたくなったが、グッと堪えておいた。

 ガンマとデルタが居るかもしれないのに、こんな場所で喧嘩なんてしていられない。

 今は無駄な体力を使っている場合ではない。ルーカスは黙って従っておく。少々腹は立つが。

 バートの案内で、保安部の倉庫へ辿り着く。海水でカードリーダーは沈黙している。


「どうするんです?」


「待っていろ」


 バートはポケットから、鍵束を取り出す。停電などのトラブルで、カードキーが使えない時の対策だ。

 ドアの一部をスライドさせて、鍵穴を露出させる。鍵束から目的の鍵を使い、ロックを解除する。

 ルーカスがドアを開けると、僅かに水流が生まれて、中に浮かんでいた死体が出て来た。


「……っと。驚かせるなよ」


 室内に入ると、様々な銃火器がラックに収められている。使えそうな物を、持って来た防水バッグに入れていく。

 まず優先すべきだった、プラスチック爆弾は無事だった。これでアルファを倒す機雷を作れる。

 散弾銃なども、一応無いよりはマシか。ガンマやデルタが相手なら、多少のダメージになるだろう。

 色々と考えながら、ルーカスは持っていく物を精査する。全部は持っていけない。

 そんな時、急に通信が騒がしくなる。別れて行動している彰人達に、何かが起きている様子だ。


『来るな! 来るなぁ!』


『誰か早くなんとかしてよ!』


『またアイツらだ! 俺達を殺しに来たんだ!』


 いくつもの悲鳴が聞こえ、通信は阿鼻叫喚だ。襲撃を受けているのは確実だ。もちろんガンマとデルタだろう。

 聞き返さなくても、バートとルーカスは察した。保安部が戦っている様子だが、あまり芳しくなさそうだ。

 苦戦しているのか、もしくは蹂躙されているのか。どちらかと言えば、後者のように聞こえる。

 勇ましい声よりも、悲痛な叫びの方が圧倒的に多い。全員が一斉に話すので、通信が意味を成していない。


『嫌だ! 嫌だ! ぐぇ……』


『やめてぇぇぇぇ!』


『この悪魔め!』


 通信の様子からするに、全滅してもおかしくない。このままでは不味いと、2人は確信した。


「これを使え!」


 バートが1台の水中スクーターを手渡す。水色の丸っこい卵型をしている。捕まって使用するタイプだ。


「こんなの、よくありましたね」


「規律を守らないバカどもが、返却していなかったお陰だ」


 どうやら保安部の人間が、勝手に借りて倉庫に置いていたらしい。2台あったので、2人で救援に向かう。

 モーター音と共にスクリューが動き、素早く海中を進んで行く。ただ泳ぐよりもよほど早い。

 10分以上掛けて移動した距離を、半分ほどの時間で移動した。そのまま2人は、上の階を目指す。

 途中の漏れ聞こえていた会話から、今は7階に居る筈だ。無駄を省き、真っ直ぐ7階を目指す2人。

 その間にも、悲痛な叫びが聞こえて来る。どれだけ犠牲になったのか、聞こえて来る悲鳴が減っていく。


「不味いぞルーカス! このままでは全滅だ!」


「急ぐしかないでしょう!」


 少々危険だが、最高速度までスピードを上げる。浮いている物と、衝突するリスクが跳ね上がる。

 柱や突き出しているオブジェなど、回避しながら進んでいく。8階へ侵入し、7階を目指す。

 どうやら彰人達が健闘している様子だが、彼等は戦闘のプロではない。いつまでも戦えないだろう。

 急がなければならない。だが持って来た荷物も大切だ。失えば、アルファへの対抗策が減ってしまう。

 手榴弾なども入っているので、下手な扱い方をすれば、諸共に海の藻屑になる。爆薬の量はかなりある。


「もうすぐ7階だ、急ぐぞ!」


「ああ!」


 襲撃はまだ続いているらしく、戦闘中の声は聞こえている。どこで戦っているのか、探しながら2人は先を急ぐ。

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