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第41話 恐怖心と混乱

今日は3話更新と言ったな? あれは嘘だ。

5話更新して、明日6話更新します。それで完結です。結局1話増えて51話になりました。

10万文字ちょうどぐらいと思っていたら、ややオーバーしました。

 ルーカス達は人数を減らし、42人から36人となっている。20階ではぐれてしまった6人を、助ける方法はない。

 それよりも助かったメンバーで、先へ進む必要がある。まだ安全は、確保されていないのだから。

 南側20階にあるエレベーターで、11階か12階まで行くプランが、現在最も賛同者の多い意見である。

 南側10階は浸水している可能性が高い。そこへ更に、悪い情報が入る。保安部の無線から報告が届く。


『スコットだ。北側5階は、見事に浸水していたよ。本部と連絡がつかないのは……恐らく』


 北側1階の基地局へ行っていたお陰で、偶然助かった数名の隊員達から、北側の現状が報告された。

 彰人(あきひと)の予想が、正しかったと証明された。手分けをしてくれたらしく、南側10階を見に行った者からも報告が来る。


『ギュンターだ。南側10階は、アンタらの言う通り浸水している。知らずに確認していたら、9階まで水没するところだったよ』


 本当に南側10階が浸水していた事で、バートが驚いている。本当にアルファが、南側も把握していた。

 彼はそんな筈ないと思っていたが、状況が全てを物語っている。何もかも、彰人の話した通りだ。

 保安部の本部まで浸水している可能性が浮上し、南北両方の10階を、どうにか抜ける必要が出た。

 南側であれば、まだ9階が無事だ。確認に行った隊員が、現在も9階に居る。水中を進むなら、1階分で済む。

 運動神経に自信がないトミーは、泳ぐ量が少ない方を望む。1階分と5階分では大変さが違う。


「なら南側から、抜ければ良いじゃないか」


 小太りのトミーは、昔から運動が苦手だった。50メートルを泳ぐ事すら、ゴメンだと思っている。


「忘れましたか? 南側の10階は、ホホジロザメの飼育がされていました。かなりリスキーですよ」


 彰人がトミーの提案を否定する。ガンマやデルタだけでなく、ホホジロザメまで居るかもしれない。

 そんな場所を抜けようだなんて、あまりに危険過ぎる。少なくとも彰人は、南側10階を抜けたくない。

 ホホジロザメの危険性は、この中で誰よりも知っている。しかも今は、20階の逃走劇で負傷した者も居る。

 転んで怪我をした者、焦って擦過傷が出来てしまった者。血の匂いに、ホホジロザメが反応する可能性は十分ある。


「彼等だって、見捨てるわけには行きません。逃げるなら、北側にするべきですよ」


「だ、だけど、僕は長く泳げない」


「バートさん、確かアクアノートには、ダイビングの装備がありましたよね?」


 在り処は知らないものの、彰人は昔テレビで見た事があった。アクアノートのダイバー達が、話していた映像を。


「……ああ。南側の12階に、ダイビング用の各種設備がある」


「ならまずは、12階へ行きましょう。酸素ボンベも無しに、水中を進むのは不可能です」


 彰人の提案に、他の者達は従う。生存者達は不安に怯え、冷静に考える余裕がない。

 今もまともに冷静さを保てているのは、彰人達学者組とルーカスだけだ。

 トーマスやアイリスも比較的冷静だが、2人は立場的に弱い。バートも含めて、こうなった元凶だ。

 他のスタッフ達が、彼等には懐疑的だ。大人しく従い続けはしないだろう。向けられる視線も厳しい。

 今バート達を責めても、ただ疲れるだけだ。気持ちだけで言えば、今すぐぶん殴りたいと思っているけれど。


 今度は大きなトラブルもなく、彰人達は無事に南側12階へと到着した。エレベーターを出て移動する。

 12階は研究室が少なく、ダイビングの訓練などを行う施設が中心となっている。海の巨大なスポーツジムだ。

 バートの案内で、ダイバー達が利用する海中拠点、南側12階の南端へと向かう。

 そこにはダイビング用の器具、耐圧スーツなどが置かれている。装備次第では、直接海中へ出られる。


「彰人達先生方は、ダイビングの経験が?」


 ルーカスが彰人達に、ダイビングの経験を尋ねる。各種器具の使い方を知っているか聞く為だ。


「僕達は経験者だよ。メイジーとソフィアもね」


「オッケーなら教えられるな? 使い方が分からない奴! こっちに来てくれ!」


 ルーカスは、ダイビングの経験が無い者達を集める。ウェットスーツの着方などを教える為だ。

 そんな中で、トミーだけは別の場所に向かっていく。彼の行先にあったのは、小型の潜水艇だ。


「こっちの方が、確実じゃないかな?」


 トミーは潜水艇を指差すが、彰人達は呆れている。ツッコミどころがあり過ぎるからだ。

 どう見ても小さすぎる上、強度もそれほど高そうに見えない。彰人が律儀に問題点を指摘する。

 

「全員は乗れませんよ。それに、アルファに見つかったら終わりです」


 誰もトミーの案を受け入れようとしない。ここに居る生存者は、アルファの姿を知っている。

 彼女が泳いでいる海に、出たいとは思えない。中も安全とは言えないが、外よりもマシだ。

 だがトミーとしては、泳いで逃げる方が不安だ。より早く地上に出て、安心したい。

 彰人達は外に出るなんてあり得ないと判断し、レクチャーを続ける。暫くして、ルーカスが声を上げた。


「おいよせ! 外は危険だって言われただろう!」


 ルーカスの制止を振り切って、トミーは潜水艇に乗り込んだ。彼は小型の潜水艇なら、操縦経験がある。

 資格こそ持っていないものの、資産家の友人から教えて貰った。この潜水艇も動かせそうだ。

 ルーカスや彰人がやめるように外で叫んでいても、トミーは全く聞き入れる気がない。

 元々臆病な性格である彼には、今の状況が耐えられない。早くこの空間から抜け出したい。

 冷静な判断能力を失ってしまったトミーは、潜水艇に乗って南側の海へ出て行った。

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