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第33話 アルファ達の狙いは

本日の更新3話目です。

 メルビスとバートは睨み合っているが、ルーカス達にとっては、今重要な事じゃない。

 まずは安全な場所へ避難するべきであり、どこへ行けば良いのか、考えねばならない。

 責任の押し付け合いをするメルビスとバートを、ルーカスが一旦その話を止めるよう窘める。


「オーケー、どっちが悪いかなんてどうでも良い。あんな生き物を作った、アンタら全員が悪い。少なくとも俺達にとっては、()()()()()()()()。それよりも、今からどうすればいいんだ? なあ、教えてくれよ?」


 ヒートアップしているメルビスとバートも、まだ安全を確保したとは言えない。

 外がどうなっているのか、浸水はどこまで進んでいるのか。入り込んだガンマとデルタは、今どこに居るのか。

 何故保安部の本部へ連絡しても、誰も返事をしないのか。スマートフォンが圏外になっている理由は何故か。

 脱出するにしても、何を使ってどう脱出するのか。何も決まっておらず、分からない事だらけだ。

 なまじ人が殺されたところを見て来たメルビスとバートは、ここで言い合いをしている場合ではないと気づき黙る。


「少しいいでしょうか? そもそもアルファ達の目的が何か、理解しておくべきでは?」


 軽く手を挙げながら、彰人が発言する。相手の目的が分からない事には、避難のしようがない。

 ただ気まぐれに攻撃を始めたのか、何か目的があるのか。飽きたら止めるような攻撃なのか。

 システムがダウンした状態だと、何をして何をやらないのか。これはただの災害ではない。

 明確に意思を持って、行動しているアルファ達による攻撃だ。意図を知るのは大切だ。


「確かに彰人の言う通りだわ。相手が何をしてくるか、分からない事には下手に動けないわ」


「アンタ達がこれまで何をやったのか、ちゃんと説明して頂戴。でないと、相手の出方が分からない」


 メイジーとソフィアも彰人に続く。注意すべき事、予想出来る次の行動は何か。

 例えば船に乗って逃げても、追いかけて来ないのか。知っておくべき事は多い。

 アルファ達を作ったバートや、トーマス達に視線が集中する。説明しろという空気が高まる。

 真っ白な広い通路で、立ち尽くすバートとトーマス。2人に代わって、アイリスが答える。


「……その、もしかしたら、怒っているのかも……ベータが死んでしまったから」


 おずおずと答えたアイリスの言葉に、彰人達は納得の色を示し始める。有り得ない話ではないと。


「そう言えば、そんな事を言っていましたね」


 彰人は朝に聞いた話を思い出す。先月に手違いで、ベータというオスの個体が死んだという話を。

 イルカに次いでシャチが好きなメイジーも、行動原理として、そこまでおかしくないと判断する。


「シャチはとても愛情が深い生き物よ。そのDNAを持つ以上、十分にあり得る話よ」


 動物行動学者のソフィアもまた、アイリスの予想を補強する。人間に復讐心を持つ動物は居ると話す。


「仲間を殺されて怒るのは、何もシャチだけじゃないよ。ライオンやチンパンジー、犬や猫、カラスだって怒る。動物にだって、感情はあるもの」


 彰人達とアイリスの話を聞いて、逃げて来たスタッフ達が、責めるような視線をバート達に向ける。

 彼らはスタッフとして働いていただけで、ベータの死に直接的な関わりはない。

 ただ高い給料と、今日までは好条件だった労働環境を求めただけ。巻き込まれて死ぬなんて御免だ。

 自分達は何も関係がないから、だから大丈夫じゃないか。そんな空気がスタッフ達の間で広がる。

 バート達を差し出そうと騒ぎ始める。しかしそれは、甘い考えではないかと、彰人達がすぐに否定する。


「そう簡単に済むとは思えない。子供達が、人間を殺したと言いましたよね? 食べたのではなく」


「そもそもシャチは、人間を味方と思っている節があるわ。普通なら、見境なく殺すなんてしない筈よ。ソフィア、貴女はどう思う?」


「私もただ殺すなんて、意味もなく行う可能性は低いと思う。絶対にしないとは、言えないけど」


 バート達を生贄にしようとしていた、スタッフ達の顔色は再び悪くなっていく。

 彰人は更に、オオメジロザメをベースに作れらた点を憂慮する。オオメジロザメの凶暴性はかなり高い。

 サメの中でも危険性でトップを行くのが、ホホジロザメとイタチザメ、そしてオオメジロザメの3種だ。

 そこにメガロドンまで混ざっている場合、どこまで高い凶暴性を持っているか、今や未知数だ。

 シャチだって、ハンターとしてかなり凶悪な一面を持っている。可愛いだけの生き物ではない。


「おいおい待ってくれ、じゃあ何だ? 俺達はアザラシやアシカと、同じ立場だっていうのか?」


 ルーカスは3人に向かって問う。勘弁してくれと、全身で表現している。あまりの事態に、笑ってしまっている。

 彼はそこまで生物に詳しくない。だが昔、テレビで見た事がある。おもちゃのように、獲物を殺すシャチの映像だ。

 アザラシを尻尾で撃ちあげて、海面に叩きつけている姿を。執拗に追い回して、殺している場面を見た。


「……それより酷いかもしれない。何であれ、きっとアルファ達は、そう簡単に僕らを逃がしはしないだろう」


 彰人の言葉が、悲惨な状況に追い打ちを掛ける。ようやく人間達は、最凶のハンター達に狙われている可能性に思い至った。

今日の更新はここまでです。

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