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第31話 保安部にて

今日も2~3話上げます。

 アクアノート保安部、その本部は北側の10階に設置されている。

 監視カメラを確認する為のモニタールーム、取調室や被疑者拘束用の牢、そして武器庫等がある。

 現在そのモニタールームにて、大混乱が起こっている。停電が起きてから、何もかもが目茶苦茶だった。

 

 基幹システムが破壊されてしまい、あらゆる設備に不具合が出ている。監視カメラもその1つだ。

 映っているものと映らないもの。操作を受け付けるカメラと、一切受け付けないカメラ。

 全く法則性がなく、何をどうすれば良いのか、彼らには分からない。解決の糸口すらない。


「クソっ! どうなってやがる!」


「所長と連絡は!?」


「駄目です! 内線が通じません!」


 モニタールームの中は、大騒ぎになっている。突然の停電から、地震まで立て続けに起こっている。

 何事か確認しようにも、パソコンや内線が使えなくなっている。バートの指示を仰ごうにも、連絡が出来ない。

 地上にある基地局が沈黙したのか、スマートフォンも圏外になっている。現状使えるのは無線のみ。

 基地局を確認させる為、数名の隊員を地上へ向かわせたばかりだ。そろそろ連絡が来る予定となっている。

 電波さえ復旧出来れば、バートとすぐ連絡を取れる。一応40階にも、隊員を向かわせている。


「こんな事は初めてだ」


「一体何が起きたというんだ」


 ベテランの隊員達も、困惑しているぐらいだ。今までに前例が無い出来事だった。

 とにかく出来る事からやって行こうと、総指揮を執る隊長の方針に全員が従っている。

 可能な限り素早く現状を把握し、解決出来る問題であれば行動する。無理なら対処を考える。

 何よりもまずは、現在置かれている状況を把握する事だ。そうでなければ動きようがない。

 内線を諦めたのか、各詰め所から無線で連絡が入り始めた。どこの隊員も困惑している。


『本部、こちら北側30階だ。何が起きたのか教えてくれ』


『南側50階だが、北側の連中と連絡が取れない。何か聞いていないか?』


『こちら南側1階、もの凄い揺れだったが地震か?』


 飛び込んで来るのは、どれも現状を尋ねる質問ばかり。応答したところで回答は出来ない。

 現在調査中と答えるしかない。分からないのは、本部だって同じだ。適当な憶測を話すわけにもいかない。

 混乱が広がる中で、地上の基地局へ向かわせた数名から、無線連絡が入る。どうやら何か分かったらしい。


『再起動させたが、電波は復活しそうにない。次の指示を頼む』


「了解、少し待て。隊長、どうしますか?」


 指示を請われて、隊長の中年男性は唸る。渋い顔立ちの体格に優れた隊長が悩んでいる。

 暫く考えていると、監視カメラを見ていた隊員が大きな声をあげる。全員がそちらを見る。

 それは北側40階の映像だった。どこから入って来たのか、大量の水が40階へ流れて来ている。

 水道が破裂でもしたのか、それともどこかが浸水したのか。非常に不味い事態なのは確かだ。

 隊長は慌てて40階に向かった者達へ連絡を入れる。現在地はちょうど40階らしい。


『こちらマーク、どうかしました?』


「今どこに居る? 所長とは会えたか?」


『もうすぐ居住エリアに――おいコリンズ、早く開けろよ。何? ドアが重い? 俺に代われ』


 開けるなと隊長は叫んだが、それ以降彼らとは連絡がつかない。巻き込まれてしまったのだろう。

 頭を抱える隊長だったが、再び南側1階にいる隊員から連絡が入る。何かが起きているらしい。


『なあ、プールの様子がおかしいぞ。アザラシ達がイルカのプールへ、地上から移動している』


「またイルカと遊びに行っているだけじゃないのか?」


『いや、どうもそういう感じじゃない。必死っていうかさ、何かから逃げているみたいだ』


 南側に勤務している者達は、アルファ達の存在を知らない。だが本部の隊員達は、全員が知っている。

 もしや、アルファ達が逃げ出したのか。一瞬そんな考えが、本部の隊員達の脳裏をよぎる。

 だがそんな筈はない。例え停電が起きても、予備電源でプールの囲いは保たれる。

 隊長を始めとして、本部の隊員達はその可能性を否定する。だがもし、停電した瞬間に南側へ行ったとすれば。


「おい、念の為に5階の観覧室で確認してくれ。誰でもいいから、今すぐ行ってくれ」


 隊長が指示を出し、数名の隊員達が本部から出て行く。その瞬間、何か大きな音が聞こえて来た。

 何の音だろうと、騒いでいた隊員達が静かになった。モニタールームに静寂が訪れる。

 入り口の近くに居た隊員が、ふと足下に目を向ける。少しずつ水が、室内に入って来ている。

 思わず背後にあるドアを見た。振り返った先にはドアがある。その隙間から、水が流れて来ている。

 まさかと思い、ゆっくりと室内にいる仲間達を見た。40階は既に、監視カメラが映っていない。


「うそ、だよな?」


 入り口の近くに居た隊員がそう呟く。次の瞬間、ドアが吹き飛んで大量の海水が流れ込む。

 鉄砲水が如く、モニタールームを海水に沈めていく。隊員達は逃げ惑うが、何の意味もなさない。

 本部の隊員達が、何かヒントを掴む前に全滅。それ以降、地上や詰め所の隊員達は、本部と連絡が取れなくなった。

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